●質問
機長初心者マーク、2度目の質問です。
寒い日の朝って、インキがメチャ硬いじゃないですか。
あの、インキの硬さって、なんとか成らないんですか?
例えば、1年中、同じ硬さのインキとかは出来ないのでしょうか。
●回答
そう、寒い日の朝は、インキがメチャメチャ硬いのです。
私なんか、プラスチックのヘラを、3本も折っちゃいましたもん。
インキってね、流動性の有る「液体」なんですね。ただ、水のように、
サラサラの液体ではなく、流れ難い、ドロドロの液体ですよね。
インキの硬さは、そのまま、印刷品質に影響を与えてしまいます。
例えば、カチカチに硬いインキなら、網点が小さく、キリリと着きますし、
ドロドロに軟らかいインキなら、網点が大きく成り、ボヤ~ンと着きます。
網点の品質だけを考えるなら、硬めの方がイイんですが、硬いインキで
上質紙など、表面の弱い紙を刷ると、紙剥けを起こしてしまいますよね。
硬いインキは、湿し水を絞りやすく、汚れも出難く、乾燥も速いんですわ。
それに対して、軟らかいインキは、汚れが出やすく、乾燥も遅いんですよ。
と、言うことはですねぇ、インキってのは、網点品質、汚れ難さ、乾燥、
なんてことを考えた場合、出来るだけ硬めのインキが良い!ってことに
成るんですね。しかしながら、紙の表面が弱い物に関しては、やはり、
軟らかめのインキを使わざるを得ないワケでして。
最初に、インキは液体だと言いましたが、液体ってヤツは、温度の変化で、
粘度や流動性が大きく変わってしまうんですよ。例えば、エンジンオイル
のような「油」も、そうですよね。寒冷地の寒い屋外なら、ドロドロですが、
夏場にエンジンをガンガン回したら、こりゃ、シャビシャビの軟らかさに
成ってしまいます。
印刷品質を大きく左右してしまうインキだからこそ、その環境に応じて、
シッカリと硬さを選択して行く必要が有り、その選択をするのは、
インキメーカーでも、印刷機械メーカーでもないんですわ。
工場の環境(温度・湿度)とか、用紙の状態、絵柄、機械の状態から、
果ては、お客さんの要求値等々。そうした事を全て把握して、選択して行く
のは、我々、オペレータの、重要な仕事なんですよ。
いろいろ試しながら、実際に自分の目で確認して、覚えて行って下さい。
そうすると、インキの硬さってのが、いかに大切なのか、分かってもらえると
思います。