印刷Q&A 調色機 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

特色の仕事が多く、調色に非常に時間が掛かっているため、
調色機を導入するべきか、真剣に検討しています。
成田さんは、調色機に関して、どう思われますか?

●回答

結論から先に言いますと、私は、調色機導入、大賛成の人です。
その一番大きな理由は、たまたま、調色機メーカーの専務さんと
仲良しだから・・・  藤○専務、とりあえず、宣伝したよ~  

え~と、冗談はさておき、私が初めて調色機なる物を見たのは、
確か30年程前ではなかっただろうかと思います。その当時は、
値段がスゴク高くて、2千万円くらいしたのを覚えています。

この、2千万円の調色機が出た時、私は本当に嬉しかったんですわ。
・・・購入して使うから嬉しいんじゃなく、我々の調色と言う技術に、
値段的な評価が付いたって事が、メチャメチャ嬉しかったんですよ。

私は、若い頃から調色が大好きでしてね、どんな色でも5分以内に作る!
ってのが自慢の一つでした。5分以内なら、調色機よりも速いですよね。
つまり、2千万円の調色機よりも、私の方が優れてるってことですわ。
自分の技術力に、2千万円以上の価値観が有ると評価されたような、
そんな思いがして、本当に嬉しかったですね。

今は調色機も、数百万円で設備出来るように成りましたよね。
例えば、800万円だったとしましょう。これが10年稼働するとして、
1年間に80万円の出費ってことですよね。月に直せば、約6万7千円。

月給6万7千円で、ベテランの調色職人を雇う事が出来てしまう!
これって、スゴイことだと思いませんか。または、年収400万の職人さんを
2年間雇ったと思えば、それでペイ出来てしまうって事ですよね。

調色機にしても、紙積み機にしても、1台の印刷機が相手では、
なかなか、元を取るのが大変ですが、2台、3台の印刷機を相手にして
稼働が出来るのであれば、2年もしないうちに、人件費換算でお釣りが
出てしまいます。機械にやらせる事が出来る部分は、機械にやってもらう
ってのが、一番良いと思うんですよ。

今時の調色機を見てて思うんですが、「紙の地色を測色して調色する」
ってのが、本当にスゴイですね。例えば、色上質紙の地色を測色して、
それを計算に入れたうえで、指定の特色を作ってしまうってやつです。
これは、我々ベテランでも、なかなか難しいですよね。

それから、調色機って、作り過ぎってのが無いんですよ。
例えば、初心者が調色をやると、作り過ぎてしまって、捨てるってハメに
成ってしまう場合が有りますよね。調色機は、決めた量を正確に作って
くれますから、材料費の無駄が無く成るんですよ。

もっとイイのが、リピートとか、増量の場合ですわ。
印刷してて、少しインキが足らなく成った!なんて時、作り増しするのって
ケッコウ大変ですよね。こんな時、調色機は、正確に増量分やリピート分を
作ってくれますから、余分な作り置きをしなくても済むので、材料費や、
置き場所の無駄を省けるんですね。

って、イイことばかり書いてしまいました。もちろん、悪い事も多々有ると
思うんですが、「機械を有効に使う」ってのが、我々オペレータの本当の仕事
だと考えます。どうか、前向きに導入をご検討下さい。