印刷Q&A 本機校正 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

ウチの会社では、本機校正の仕事が有って、その一つ一つが
お客さんの立会いです。もう少し赤くしてくれ、青くしてくれと、
インキの盛り加減で調整しようとするので、一つの校正で2時間
くらい掛かってしまうのがザラです。
何回も試刷りと調整を繰り返すので、その仕事が入って来ると、
本当に憂鬱で、嫌に成ってしまいます。簡単に済ませる事が
出来るように、何か良い方法はないでしょうか。

●回答

私も、そう言う仕事を専門で、しばらくの間やってました。
私がやってたのは、化粧品関係の仕事だったので、色調的には
本当に厳しかったです。しかも、有名なタレントさんとかを
モデルに採用したりしたら、こりゃもう、最高に大変でした。

私もね、最初の頃は、本当に嫌で憂鬱でしたね。
でもね、ある時、思ったんですよ。「なんのための本機校正か?」ってね。
本機校正を、私の機械でやるって事は、その本刷りも私の機械でやるって
ことですよね。ならば、本刷りで苦労をするような校正刷りを作っては、
こりゃ、絶対にアカンってことなんですわ。

我々、印刷オペレータには、本刷りでの品質を保証する義務があります。
色調が厳しい印刷物に関しては特にそうなのですが、色調をブラして
しまっては、こりゃ印刷物としての商品価値が無いワケなのですよ。

ならば、その品質を保証するために、決して譲る事の出来ない一線と
言うのを、絶対に逸脱してはアカンのですわ。無理して校正刷りを
作ってはアカンのです。無理した物など、本刷りでキープする事が
出来るわけがないのですから。

無理のない盛り加減で、端から端まで、一定の濃度で校正を刷る。
部分的にインキを盛ると言う事を絶対にしないで、盛る場合も全体で
盛るようにする。それで満足の行く色調が出なければ、製版の方で、
データ-を修正してもらう。ってのが基本ですね。

あとね、とても大切な事なのですが、我々、印刷オペレータの方が、
その商品に対する知識を、シッカリ勉強し、商品に詳しく成るんですわ。

私の場合は化粧品でしたけど、その化粧品の事を、シッカリ勉強しました。
休みの日に成ると、ドラッグストアーに出掛けて、自分が刷った物が、
どんなふうに使われてるのかを、見に行ってました。

そんな事を繰り返してると、立会いに来られた方が、おっしゃってる意味が
本当に良く分かるように成るんですよ。「もう少し赤味が欲しいなぁ。」
と言われれば、そっか、これは「春のピンク」って言う新色だから、
もう少し、軟らかめの赤味が欲しいんだなぁ。ってね。

立会いに来られた方と、同じ目線で、商品や、その印刷物を見られるように
なると、こりゃもう、絶大な信頼関係が生まれるワケですわ。

印刷オペレータが、自分の刷る商品に対して詳しく成る。
いちいち、そんな事をしてたら、そりゃ大変な事に成ってしまうわね。
でもね、立会で、うるさい仕事とか、自分が億劫だと思う仕事に関しては、
もう一歩、自分から踏み込んでみるのも、非常に有効な手段だと思います。

おかげで、私なんぞ、本当に、いろんな事に詳しいですよ~。
真珠、ダイヤなんて、鑑定士なみに詳しいですし、陶器、化粧品も、
かなりのところまで分かりますしね。
・・・ってことは、私は億劫な仕事ばかりしてたって事なのかなぁ~