前回の石鎚信仰の考察から、三種の神器との意外な繋がりが分かりました、三種の神器とは大きく三系統が作って奉じた大王が「天皇」となった事の証の品だという意味なんだと思います。

 

 熊一族が地味に外されているのは、徐市系に対して敵対心があったからでしょうか!?

 

 では、今回も続きです、本当の主題は「蔵王大権現」の正体が知りたいことにありますので、手がかりを探って行きます。

 

 蔵王大権現で検索すると、岡山県矢掛町にある瑞雲寺が出てきます、山号が「龍王山」なのですが、背後にある山は「高妻山」、勧請されたのは元禄年間と、何かチグハグした感じがあるのですが、理由が分からないのでスルーして、このお寺に伝わる祝詞(のりと)に手がかりがありました。

 

「禊祓詞(みそぎはらへのことば)

高天原たかまのはらに 神留かむづまりす 神漏岐かむろぎ神漏美かむろみ命以みこともちて
皇御祖神伊邪那岐命すめみおやかむいざなぎのみこと 筑紫つくしの 日向ひゅうがの たちばなの 小戸おどの 阿波岐原あわぎはら
御禊祓みそぎはらひ たまひし ときに れ せる 祓戸はらひとの 大神等おおかみたち
諸々もろもろの 枉事罪穢まがごとつみけがれを はらひ たまへ きよめ たまへと まをす ことの よし
天津神国津神あまつかみくにつかみ 八百萬やおよろずの 神等共かみたちともに あめの 斑駒ふちこまの みみ り てて
こし せと かしこみ かしこみ もうす」とあります。(お寺ですよ!)

 

 祝詞(のりと)は神社で唱えられるものかと思いきや、お寺で伝承している祝詞もある事を知りました、大事なポイントは「神漏岐(かむろぎ)神漏美(かむろみ)」という神様です、コレは「弊立神社」の時にも言及しましたが、「アダムイブ」の事になると思います。

 

 カムロギ・カムロミの祝詞自体は記紀にも伝承していますのですが、修験道系からの祝詞だと知る事が出来ます。

 

「龍神祝詞(りゅうじんのりと)

高天原たかまがはらに して てんに 御働みはたらきを あらわし たまう 龍王りゅうおう
大宇宙根元だいうちゅうこんげんの 御祖みおやの 御使みつかいにして 一切いっさいを み 一切いっさいを そだ
萬物よろずのものを 御支配ごしはいあらせ たまう 王神おおじんなれば 一二三四五六七八九十ひふみよいむなやこと
十種とくさの 御寶みたからを おのが 姿すがたと へんじ たまいて 自在自由じざいじゆうに 天界地界人界てんかいちかいじんかい
おさめ たまう 龍王神りゅうおうじんなるを とうとみ うやまいて まことの 六根むね一筋ひとすじ
御仕みつかえ もうすことの よしを 受引うけひき たまいて おろかなる こころの 数々かずかず
いましめ たまいて 一切衆生いっさいしゅじょうの 罪穢つみけがれの ころもを ぎ らしめ たまいて
萬物よろずのものの 病災やまいをも 立所たちどころに はらい きよめ たまい 萬世界よろずせかい
御祖みおやのもとに おさめし たまへと 祈願こいねがいたてまつることの よしを きこし して
六根むねの うちに ねんじ もうす 大願だいがんを 成就じょうじゅ さしめ たまへと
かしこみ かしこみ もうす」とあり、「十種の神宝」が龍神に由来する事が書かれています。

 

 地神のシンボル、十種の神宝とは龍神をシンボルとしたものだった訳です、十種の神宝とは、

・沖津鏡(おきつかがみ)
・辺津鏡(へつかがみ)
・八握剣(やつかのつるぎ)
・生玉(いくたま)
・死返玉(まかるかへしのたま)
・足玉(たるたま)
・道返玉(ちかへしのたま)
・蛇比礼(おろちのひれ)
・蜂比礼(はちのひれ)
・品物之比礼(くさぐさのもののひれ)

 

 鏡×2,剣×1,玉×4,比礼×3

 

 「比礼(ひれ)」って何? ってなりますよね、

 上図の「領巾(ひれ)」が同様の物だと考えると、女性が使用するもののようです、シャカ族が女王家でもあった為、女性の装束を三種の神器に加えられ十種神宝としたようです。

 

 これを龍王だけとするのは解釈が間違う事になりそうです、「龍神」とありますので、太伯系・クナト王系・松一族・熊一族がみな龍王系に入った事を意味していると思います、綿津見(海神)=龍神とほぼ同義なんだと思います。(これは部族としてはそれぞれ別でも、みな龍神扱いであったと解釈すべきでしょう。)

 

 この瑞雲寺の奥宮は磐座になっているらしく、途中には「鎮守宮」という鳥居があるらしく、元々は神社であった所が神仏習合で寺となり、神社が消失した事例のようです、近いのでまた行きたいと思います。\(^o^)/

 

 次は「蔵王山」から調べます。

 

 国土地理院の地図で「蔵王山」を検索すると、

 そんに多くありませんでした。

 

1.福山市の蔵王山・蔵王町

 蔵王山から南の深津高地は万葉集に「深津島山」と詠まれているので、もしかすると「深津島山→蔵王山」となった可能性があります。

2.滋賀県の蔵王山・蔵王町

 地名が蔵王のようです、金峯神社はかつて蔵王権現と呼ばれた事から地名がついた模様。

3.愛知県田原市の蔵王山

 山名は、山頂付近に祀られている日本仏教の仏・蔵王権現に由来する。

4.宮城〜山形県の蔵王山

 蔵王山という山名の単独峰はなく、宮城・山形両県にまたがる火山群の総称である。

5.新潟県村上市の蔵王山

 高坪山の総称らしく、山頂に神社もある事から、コチラも蔵王権現を勧請した事に由来すると思われます。


 蔵王(ざおう)の読みは呉音の「ざう」から来るものなので、個人がいるなら太伯系だと考えられます。


 また、四国石鎚山の北にある「龍王山 極楽寺」(※ここでも龍王山)の縁起が最も説明として整っていると思います、内容は役の行者の作った本尊の説明なのですが、石鎚山の峰と神像の関係を説明している様です、「中央を「石鎚金剛蔵王大権現」とし、両脇立を「龍王吼蔵王大権現」「無畏宝吼蔵王大権現」と名づけられ」とあります。


 ここでも石鎚山の三神とリンクするようです、「鏡・剣・玉」は太伯系・猿田彦・シャカラ龍王の子竜王(玉一族)を象徴すると解釈しました。


 つまり中央の天狗岳の猿田彦を「石鎚金剛蔵王大権現」、竜王の玉一族が「龍王吼蔵王大権現」、残りの太伯系が「無畏宝吼蔵王大権現

と解釈して良さそうです。


 やっと全容が見えた様です、石鎚信仰とは猿田彦、玉一族の竜王、太伯系(たぶん大一族)の三人がそれぞれに「○◯蔵王大権現」と呼ばれたものが、三つの峰=石鎚山と同じように、まとめて扱われるようになり、三人の蔵王=「蔵王大権現」と呼ばれる様になったものだと言えると思います。


 つまり、尾道市竜王山蔵王大権現も後から勧請されたものとして良いと思います。


 しかし神輿の様な表現は他では見ませんので、龍王系と猿田彦系がユダヤ系の情報を伝承し、尾道市竜王山の所で伝承の一端が保存されたと考えるべきだと思います。


 龍海