今、井本英一氏の『古代の日本とイラン』を読んでいるのですが、人によって注目している点が違うので面白く読んでいます。


 井本氏は境界としての「」に注目しておられたようで、そこに日本とイランとの接点を見出していますが、古代人の思想や信仰に関わる重要な部分なので、ちゃんと分かる事、分からない事を明確に書き分けているので信用出来ます。


 その本の中に可杯(べくはい、変わり盃)の起源と思われるものが書いてあったので、「盃コレクター」としては食い付かざるをえませんよね。


 まず、ベクハイというのは、


 ↑ はサイコロと三種の盃を写したものですが、サイコロの出た目の盃で飲み干さなければならないルールの元に使われる、宴会用のゲームの道具になります。

 ただ飲むだけの盃と違い、形や用法が色々とあり、とにかく変わった盃の事をベクハイと纏めて呼称するのだと思います。

 こうしたベクハイの中で、高知県などは底に穴の空いた盃で飲んだりします、もちろん穴は指で塞いで酒を注ぎ、飲み干すまでは置けない仕組みになります。

↑ 底に穴の空いたもの。

 他にも底が尖っていて、酒が入っていると置けないものなどもあります。

 ↑ コマのようなベクハイ。

 本の中で紹介されていたのは、「穴の空いた酒杯」です、

 このリュトンというのは角形の盃で、動物の口に穴が空いていて、可杯と同じ様にほっとくと流れ出る様になっています。

 リュトンという名前の意味が古代ギリシャ語の「流れる」なのですから、そのまんまな名前なんですね。

 日本のベクハイとは用途が違うようですが、案外ルーツは同じような意味で、無くなるまで飲み干しなさいよ!という用途で作られたものではないでしょうか?

 龍海