笠原ひさ子著の『小野家の女たち、小町とお通』を読んでみました。
真田淑子著の『小野お通』が出た後に書かれているので、やはり分かりやすく良かったです。
小野小町は説話が生まれた原因について言及されており、他の小町本と似てはいましたが、若干視点が異なっており、参考になる事もあり、オススメ出来るものです。
目的としては藤原氏の「小野お通」について詳しく知る事が目的でしたので、丁度よかったです。(美作のお通については柳田国男からの引用が数行くらいだったでしょうか。)
まずは分かりにくい人間関係ですが、
母:小野お通 父:渡瀬羽林
娘1:お伏(おふせ、手紙ではおいぬとも)
娘2:お図(おづう、通称おつう、圓子)
一応はこのような構成になるらしいのですが、「お伏」は笠原さんが娘だと解き明かしており、私も同意するので「お通」の別名ではなく、「お伏」という娘がいたと思います。
娘二人はどちらも真田と縁づいていて、お通も真田との縁があったされているので、母娘で真田と深い関係がありますが、婚姻の約束をして子を成しながら、結婚せずに、子供だけ欲しいと言ってくる真田に対してお通は怒っていたらしいです。
著者の笠原さんは「お通」は「小野氏」の可能性が高いと思っていたらしく、ソコカシコに匂わせる言葉が書かれているのですが、資料として出てくるものには「小野氏」の痕跡は無いといえると思います。(お通の手紙に「四か小野」とあり、滋賀小野と読み、小野氏と結びつけようとはしていますが、後半は滋賀小野=お伏、と解釈されていて、チグハグな所もありました、多分スッキリしていないのだと思います)
結論としては、世にいう「小野お通」とは真田縁のお通であり、美作の小野お通についてはどーでもいいということは、よくわかりました(笑)
しかし、真田のお通さんですが、小野の匂いを感じてしまうのは何故でしょう?
正直、藤原らしくない感じがします。
もしかすると、母方が小野氏だったりするのかな?