鋭いところに目をつけていますね。デンマークの家畜は畜舎における飼育つまり「舎飼い」が中心であり、放牧はあまり行われていないのです。デンマークは大陸氷河によって土地が削られ、土壌はやせています。そのため、国家的な農業振興策が行われ、「協同組合」による農業に特徴がみられるのです。

土地利用は計画的に行われ、その広い範囲が食料自給率を高めるための小麦畑として利用されました、デンマークの「耕地率」が高いのはこれが理由です。ヨーロッパ全体では小麦の自給率は100%を超え、輸出もさかんなのですが、国別にみると小麦の自給を達成している国は少ないのです。多くの国は小麦自給率が80〜90%程度にとどまり、一部の農業国からの輸入に足りない分を依存している状態なのです。その「農業国」に該当する国こそ、フランスであり、ハンガリーであり、そしてデンマークなのです。フランスやハンガリーや気候や土壌に恵まれた豊かな国であるのに対し、デンマークは寒冷で荒れ地が広がる国です。しかし、そういった国が小麦の重要な輸出国であるのですから、その努力は大変なものであったことが想像できるでしょう。協同組合による農業政策が行われ、国土の広い範囲が小麦畑となりました。

ですので、牧草地に利用できる部分は少ないのですよ。牧草地も協同組合によって管理がなされ、そこで集中的に牧草が栽培されます。豚や牛などの家畜(デンマークはホイットルセ−農牧業区分では「酪農」地域に分類されますが、実は豚の方が飼育頭数が多いのです。豚肉の加工品であるハムやソーセージはこの国の重要な輸出品ともなっています)は、畜舎に入れられ、他所から運ばれた牧草が与えられることで成長します。

 

いかがでしょうか。厳しい自然環境であるからこそ、工夫された合理的な農業や家畜飼育が行われている様子が想像できるでしょうか。恵まれない国だからこそ、徹底的に努力で補う。デンマークは世界的にみればかなり「変わった」国ではあるのですが、それ以上に「見習うべき」国であるとも言えるかもしれません。

 

なお、デンマークの場合、ブドウの栽培限界の北に位置していますので、『耕地・樹園地』の割合が高くとも、実質的には耕地のみであり、果樹園は存在しないと考えていいと思います(せいぜいリンゴがあるぐらい?)。

 

2つ目の質問ですが、耕地面積割合の高い国ですね。デンマークを例外とすれば、この値は「人口密度」に比例します。人口が狭い土地に過剰に住んでいるということは、その食料供給を補うために、限られた土地を耕地として有効に利用することが求められるわけです。逆に言えば、耕地として適した土地が多いからこそ、そこで収獲される穀物によって多くの人口が支えられるわけですね。人口密度が高いことが特徴である2カ国、バングラデシュとインドにおいて「国土面積に対する耕地面積の割合」が高いのです。

 

あまり多くの国を覚えても使えませんので、この2つだけ(そして人口密度との関係性だけ)理解しておいてくださいね。