プライメートシティについては一般的な意味と地理用語としての意味があります。

 

一般的な意味としては、単にその国での人口が最大の都市ということです。日本の東京、フランスのパリなどわかりやすいですね。世界の国の数が190ならば、国内人口最大都市も190あることになりますよね。地域限定なわけではありません。

 

ただ、貴方が仰るのはこちらの意味ではなく、地理用語としての意味でしょう。

 

地理用語としてのプライメートシティについては。以下の2つの条件を満たしていることが必須です。

 

1)人口規模が極めて大きいだけではなく、2位以下の都市に圧倒的な差をつけていること。プライメートシティ以外に大都市が存在しない。

 

2)その国の産業、経済の中心であり、文化や工業の中心ともなり得る。

 

3)原則として発展途上国。

 

なお、首都である必要はありません(というか、人口や面積の多い国ではほとんどが「首都ノットイコール人口最大都市」なので、むしろ首都以外にプライメートシティがあることが多いです。

 

先に3)の条件について説明しておきますね。先進国もしくは経済レベルの高い国においては、資本が豊富であるため、国内の複数の都市を開発する余裕があります。一方、1人当たりGNIが低い発展途上国においては経済的余裕がなく、せいぜい一つの都市の開発を集中的に行うのみです。たとえは悪いですが、貧しい家庭において長男だけを大学に行かせて、次男以降や女の子は働きに出るみたいな感じでしょうか。

 

そしてそういった都市は施設や交通手段などのインフラが整うことで産業が発達し、外国からの投資も集中します。雇用が創出され、農村から多くの人口が流入。工業化も進展し、大学など教育機関やメディアなども集まることになります。これがプライメートシティであり、1)や2)の条件箱rを満たしています。

 

ですので、先進国の人口最大都市は一般にこれに含まれません。たしかに東京やパリ、ロンドン、ニューヨークはいずれも国内で圧倒的な人工規模を誇る都市ですが、二番手の都市(横浜、ロサンゼルスなど)も比較的人口が大きく、首位都市のみに全てが集まるわけではありません。

 

また、これが微妙なのですが、中国やインドは規模が大きすぎるがゆえに国内に巨大都市が複数存在します。ペキンやシャンハイ、チョンチンが中国、ムンバイ、コルカタ、デリーがインド。例えば、中国の北部(ここだけで人口が数億人はいます)だけを取り出せば、ペキンはプライメートシティと言えるのでしょうが、しかしあくまで中国全体をみれば他にも大都市は多いわけです。中国やインド、それからサンパウロとリオデジャネイロを有するブラジルには厳密な意味でのプライメートシティはないのです。

 

かつて国が2つに分かれていたために、2つの拠点となる大都市が存在するベトナムも同様にプライメートシティを持ちません。首都ハノイ、南部のホーチミン、いずれも大都市です。

 

また発展途上国だから常に特定の大都市に集中するわけでもありません。南アフリカ共和国が典型で、この国はケープタウンやヨハネスバーグなどいくつもの都市が分立し、バランスを保っています。珍しい例です。

 

韓国については経済レベルが高く、人口2位の開発が行われていないわけではありません。南部の港湾都市プサンも非常に重要で、両都市間を結んだ路線に沿って、韓国は開発軸があります。

 

それからもちろんですが、シンガポールのような極小国の場合、都市=国家ですので、そもそも首位都市も何もありません。むしろ「唯一」の都市です。

 

さらにこれは個人的に思っているのですが、一般的にプライメートシティという場合には国の人口の1割程度が集まっているという計算も成り立っているようです。例えば1億人の国なら1千万人以上。しかし、その一方で、100万人程度の都市をプライメートシティという例は聞いたことがありません。人口1000万人の国で100万人ならば十分に「集中」とも思うのですが。よって、そもそも人口が少ない都市は外して考えるべきですし、小国にプライメートシティは存在しないと言えます。

 

以上のような条件を考え、プライメートシティの条件を満たす都市(国名)を挙げてみます。

 

マニラ★(フィリピン)

バンコク★(タイ)

ダッカ★(バングラデシュ)

カラチ(パキスタン)

テヘラン★(イラン)

イスタンブール(トルコ)

カイロ★(エジプト)

ラゴス(ナイジェリア)

ナイロビ★(ケニア)

メキシコシティ★(メキシコ)

リマ★(ペルー)

ブエノスアイレス★(アルゼンチン)

 

こんなものでしょうか。案外と少ないですね。もちろん「テストに出る」とう縛りで考えていますから、実際にプライメートシティの条件を満たす都市は他にもあるのでしょうが。

 

イランやペルーが出るとは思いませんし。ナイロビも一回出ただけで、決して典型的なプライメートシティでもありません。イスタンブールは「海峡」、「アジアとヨーロッパの文化」という他のキャラ付けが強いのでわざわざプラメートシティとして出題することはないでしょう。

 

このように候補を絞っていくと、出題されるのは「バンコク」、「ラゴス」、「メキシコシティ」ぐらいですかね。首都ではないので、ラゴスのキャラが明確だと覆います。首都は他の都市に移転しています(そちらは人口が大きくない)。

 

最重要をラゴスとして、おまけでバンコクとメキシコシティですかね。覚えておくのは。

 

おっと、質問に答えるのを忘れていました(笑)。たしかに東南アジアには多いようですね。日本など近隣国からの投資も集中し、工業地域としての開発も進んでいるのでしょう。タイなどおもしろい国で。全人口7000万人のうち、なんと半分が農村に居住しているという「農村大国」です。しかしその一方でバンコクのような1000万人都市もあるのですから、変わっていますよね。バンコク以外に大都市がなく、むしろみんな農村に住んでいるのです。

 

さらにラテンアメリカにもプライメートシティは多いですね。こちらはタイとは反対に、農村に住む人は少ないです。都市を中心に植民地開発がなされ、その際に植民地経営の根拠地とされた都市が巨大化したわけですね。