外来河川、超重要ワードですよ。この機会に「国際河川」と「外来河川」を区別してくださいね。

 

外来河川は「乾燥河川」と覚えれば全く問題ありませんよ。「流域の大部分を上流の湿潤地域に依存している河川」って意味がわかりにくいですよね。私の著書「間違えやすい地理B用語をセットで覚える本」でも外来河川には触れていますので、良かったら参考にしてください(スイマセン、宣伝でした。。。)

 

「外来セブン」で覚えましょう。簡単です。

 

世界の四大古代文明はわかりますよね。世界史で(というか中学校の歴史の授業で)最初に勉強するので、聞いたことはあると思います。歴史科目は途中からわからなくなりますが、最初だけは覚えていたりしますもんね。

 

黄河(中国)、インダス川(パキスタン)、チグリス・ユーフラテス川(イラク)、ナイル川(エジプト)。

 

残りは3つです。これらをしっかり確認しておきましょう。ここで差が付きますよ!

 

まず「ニジェール川」です。西アフリカの河川で、サヘル地帯やサハラ砂漠を通過しています。大陸縁辺のギニア山地に水源を発し、内陸側へと流れた後に向きを変え、ナイジェリアからギニア湾に注ぎます。ナイジェリア(Nigeria)の国名はこのニジェール(Niger)に由来しているのは言うまでもありませんね。ニジェールという国もナイジェリアの北に隣接しています。ニジェール川流域でフランス領だったところはニジェールとして、イギリス領だったところはナイジェリアとして、それぞれ独立しました。なお、ニジェールとは「川」の意味です。

 

ニジェール川についてはまず流れ方そのものを確認してください。大きなカーブを描いています。さらにそのカーブの部分に位置するトンブクトゥという都市も確認しましょう。かつて存在した黒人王国マリの都で岩塩交易で栄えました。北アフリカのアラブ人との交流によりイスラームが伝わり、トンブクトゥにつくられた日干しレンガによるモスクは世界遺産にもなっています。

 

さらにコロラド川です。アメリカ合衆国の西部は乾燥地域になっており、そこを貫きメキシコへと流れる河川です。水源はロッキー山脈で、中流で深い峡谷であるグランドキャニオンを刻みます。巨大なダムがつくられ(フーバーダム)、周辺地域の灌漑、大都市(ロサンゼルス)への生活用水の供給が行われています。フーバーダムに近接して世界的に有名な観光都市ラスベガスが位置しています。

 

最後はマリー川です。オーストラリア南部の乾燥地域を流れる河川ですが、灌漑により周辺地域は企業的穀物農業地域として小麦栽培が盛んに行われています。東岸の湿潤地域を流れるスノーウィー川をせき止め、山脈の地下に導水路を作り、マリー川流域を灌漑しています。大規模灌漑による環境問題(塩害や砂漠化など)も生じている地域です。

 

どうでしょうか。いずれも乾燥地域を流れ水量は少ないのですが、その貴重な水を有効利用して、周辺では農業灌漑などが行われています。人々にとって「命の河川」、それが外来河川なのですね。

 

国土全体が湿潤気候である日本には外来河川は存在しません。外来河川すなわち「乾燥」河川、上記の7つについてはしっかり確認しておいてください。

 

(以下は参考。国際河川について)

 

参考までに国際河川についても簡単に。これは「複数の国を流れる河川」という定義ではないのでお気を付けを。「国際条約によって沿岸国の船舶の自由航行が認められた」河川なのです。つまり船が通るわけですね。「国際」と書いて「ふね」とふりがなを振っておきましょう。

 

これは5つ知っておきましょう。メコン川、ライン川、ドナウ川、エルベ川、アマゾン川です。雨季と乾季によって流量が変化する河川もありますが、全体に降水量は多く、渇水期はありません。本流にはダムも建設されず、灌漑や発電が行われているわけではありません。

 

「外来(かんそう)河川」、「国際(ふね)河川」。それぞれ頭の中で読み替えて認識しましょう。「外来セブン」と「国際ファイブ」だけですから、簡単ですよね。