鋭い質問ですね。そうなんです。ここ、たしかにハッキリしないところなのです。

 

結論から言ってしまえば、クンルン山脈は「古期造山帯」です。クンルン山脈の山頂に行って、表面の岩石を調べれば、それが2〜3億年前の古生代に作られたものであることがわかります。当時の恐竜の化石もあるかも知れませんね。

 

クンルン山脈はいわゆる「復活山脈」です。古生代に巨大な山脈が形成されました。その後、長期間の侵食により山容はなだらかとなり、低い丘陵となったのです。一般的な古期造山帯であるアパラチア山脈やグレートディバイディング山脈と同じですね。

 

ただ、中生代後期以降(数千万年前)になって状況は代わります。南からインド半島がクンルン「丘陵」をめがけて押し寄せてきたのです。インド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートに衝突したわけですね。これによってプレート境界付近に巨大な「大地の盛り上がり」が生じ、ヒマラヤ山脈、チベット高原が新たに誕生すると同時に、その動きによって北に隣接するクンルン地域も大きく持ち上げられ、現在のような高峻なクンルン山脈となったのです。

 

こういった例は比較的多く、中国・キルギスのテンシャン山脈が好例です。形成年代は古く古期造山帯の地形なのですが、近年の地殻変動によって持ち上げられ、標高が「復活」しました。

 

以上より、クンルン山脈は地体構造的には古期造山帯に分類されるが、プレート境界に近く、地震も発生する変動帯の一部であると考えるのが適当に思います。