こんにちは。質問ありがとうございます。
まずは土壌の名称について。アルミニウムや鉄の酸化物の話をされていますので、おそらく「ポドゾル」ではなく「ラトソル」のことを仰っしゃりたいのだと思います。「熱帯=ラトソル」、「冷帯=ポドゾル」ですので、お間違えなく。
とはいえ、いずれも湿潤土壌であり、酸性を呈する点においては同じですね。たしかに仰せの通り、酸化鉄や酸化アルミニウム(アルミナ=ボーキサイト)そのものは酸性ではありませんから、これが含まれることがラトソルが酸性である理由にはなりません。
実は大気中の二酸化炭素が原因なんですよ。熱帯は降水量が多い地域です。降雨はそもそも PH5.6の弱酸性なのです。大気中の二酸化炭素を溶かし込むため、PHは完全な中性の7.0よりやや酸性よりの5.6となるのですね。
(なお、参考までに。一般に「酸性雨」といえばPH5.6より値が小さい状態を指します。自然の状態ではPH5.6なのですから、硫黄酸化物や窒素酸化物を取り込んで「過度」に酸性が上がった状態の雨こそ酸性雨と呼ぶのです)
ですので、多雨地域においては土壌は明確な酸性を呈することになります(もちろん、酸性雨による過度な酸性化ではありませんので、森林の立ち枯れや湖沼の生態系破壊などの環境問題は起きません)。
冷帯のポドゾルの場合は蒸発量が少ない地域であるので、降水量が多くなくとも土壌中に水分がとどまる時間が長く、それにより酸性化するわけですね。
「二酸化炭素を含む雨水はもともと酸性である」
「湿潤(降水量が多い or 蒸発量が少ない)地域の土壌は雨水により酸性化する」
というわけですね。
一方で、乾燥地域の土壌はアルカリ性となり、その典型的な例は砂漠土です。
こちらは化学物質が激しい蒸発にともなう作用によって、地中から地表面へと持ち上げられるのですが、とくに水酸化カルシウムがつくられます。これはアルカリ性ですよね。乾燥地域ではとくに「土壌の塩性化」が進むことがありますが、これこそ過度なアルカリ性化であり、地表面が水酸化カルシウムによって覆われるのです。
酸性やアルカリ性を好む植物は存在しますが(むしろそれが一般的です)、強酸性や強アルカリ性に適応する植物はほとんどありません。酸性雨によって酸性度が上がった地域で森林の立ち枯れがみられたり、土壌の塩類化により植生がなくなり砂漠化が進行したりすることがありますね。
とてもいい質問だったと思います。こういった科学的な考察はおもしろいですよね。