今日の問題です。地理では民族という概念は薄く、それは言語によって区分されているのです。我々もこれからは「民族」という言葉を「言語」に置き換えて暮らしませんか。 1998A追5 #毎日チャレンジ地理 

 

正解です。ベルギーが好例です。北部はゲルマン系言語、南部はラテン系言語。言語分布のラインは国の中央を通過しています。②が誤り。「民族=言語」であり、民族という言葉を忘れ、言語という概念を中心に人類の区分を考えた方がいいですよ。

 

問5 ヨーロッパの民族分布。とくに知識は不要で、図をしっかり観察することによって解答が導かれる。

先にも述べたように、ヨーロッパには白色人種(コーカソイド)のインド・ヨーロッパ語族に分類される民族が主として分布する。代表的なものに、ゲルマン民族、ラテン民族、スラブ民族があり、それぞれ北部ヨーロッパ、南部ヨーロッパ、東部ヨーロッパに分布している。イギリスの一部などに分布するケルト人や、ギリシアのギリシア人などはそれら3つの大きな民族系統には属さないものの、やはり白色人種の一部である。

図3をみると「ウラル系」というものもあるが、これは黄色人種(モンゴロイド)に含まれるウラル・アルタイ語族のこと。フィンランドやハンガリーなど一部の国は、白色人種ではないのだ。

選択肢参照。1;「複雑な民族移動」という言い方があいまいであるが、とくに間違ったことはいっていないと思う。とりあえず保留。2;「完全に一致」というのは怪しい。3;東ヨーロッパは主に「スラブ系」地域であるが、ラテン民族の国もあるようだ。これはルーマニアである。白地図など利用して、国の位置は必ず頭に入れておかないといけない。国の位置を名前が一致するようにしておこう。4;ギリシア語はもちろんギリシアで使用されているであろうし、トルコ語はトルコだろう。図3においてギリシアとトルコの位置を確認。たしかに「その他」になっているようだ。ここでもやはり国の位置と名前がわかることが大前提になっている。

2についてもう一度考えてほしい。センター試験において他民族国家の代表例として登場してくる国としてベルギーがある。民族ネタが多い地理Aはもちろんのこと、地理Bでも取り上げられたことがあるので過去問の中から出題例を探してみよう。

オランダとフランスに囲まれた小国ベルギーは、北半分のフラマン人と南半分のワロン人によって狭い国土が二分される多民族国家である。フラマン人が使用するフラマン語はオランダ語とほぼ同じ。ゲルマン系の言語であり、彼らはゲルマン民族である。またワロン人のワロン語はフランス語に近く、ラテン系の言語を用いる彼らはラテン民族である。

多民族国家、そして多言語国家の代表例としてベルギーを確実に押さえておきたい。図3においても、ベルギーの国土はこの2つの民族の境界にまたがって広がっているはずである。

ヨーロッパにおける多言語・多民族国家としては他にスイスも知っておこう。ドイツ語人口(つまりゲルマン系)が最も多いが、一部にフランス語やイタリア語などを使用する者も分布し、彼らはラテン系である。