今日の問題です。「地誌と見せかけて系統地理」の典型です。選択肢の文章は「読んだらダメ」です。キーワードのみ取り出す。1;北欧=地熱=火山 2;欧州=季節風 3;ノルウェー=水力発電 4;欧州北部=新期造山帯 正しいのはどれ? 2000B追9

 

 

正解です。1は誤り。地熱発電は火山の近くですが、欧州で火山があるのはアイスランド、イタリアなど地中海沿岸。2も誤り。欧州は偏西風。4も誤り。欧州北部は古期造山帯。欧州における新期造山帯の北限はカルパティア山脈。残った3が正解です。

 

以下、詳しい説明です。

 

いい問題。これができないようでは話にならない。

1;「地熱発電」は火山地帯のキーワード。日本をはじめニュージーランド、イタリアなど新期造山帯の険しい山岳地形を持つ国に多く火山はみられ、地熱発電が行われているケースも多い。また新期造山帯ではないものの、火山国(正確には溶岩台地というべきだろう。噴火する火山ではなく、大地の裂け目から溶岩が染み出してくるのだ)のアイスランド島でも地熱発電が行われている。02B本第1問問1・問5、01A追第1問問7(アイスランドの説明「島はプレートの境界に位置しており、島内の活火山の熱を利用した暖房や給湯の設備のある民家が多い」)。

ノルウェーは古期造山帯、スウェーデン・フィンランドは安定陸塊であり、図2の範囲では火山の分布はみられない。

2;「風」の問題。「季節風」はモンスーンアジアとよばれる東アジアから南アジアにかけての湿潤アジアのキーワード。本選択肢については「偏西風」に改める。

3:ノルウェーの水力発電ネタはセンター試験初出かな。しかし非常にメジャーな話題であるのでしっかり押さえておいてほしい。

ノルウェーは古期造山帯の国である。低い丘陵性の山容である。しかし山並みが海に迫っているので、傾斜は急。短く勾配のきつい河川が数多く流れ出している。これを利用しての水力発電がさかん。ノルウェーは冬季も温暖な国であり、河川水の凍結も少ないことも水力発電には有利。ノルウェーが水力発電国であることはぜひとも知っておこう。02B本第1問問7で出題されている。

4;新期造山帯ではない。

ヨーロッパの地形は、北でなだらか、南で急。北半分の地域は平原(安定陸塊)や丘陵(古期造山帯)から成る。この地形の差は、99B追第1問問3にあるような河川の勾配に現れる。97A本第1問問5では北ヨーロッパ平原の国々で河川交通がさかんな様子がポイントとなっている。