今日の問題です。都市人口率ってあまり出題されませんので、とりあえず「1人当たりGNIと反比例」って覚えておいてください。ラテンアメリカはこの例外ですが、本問からわかるようにそちらはあまり問われないので、基本だけ理解してしておいてください(^ ^)

 

正解は1ですね。第2次・第3次産業の発達した先進国では都市人口率は高くなります。2が韓国。80年代に高度経済成長の時期を迎え、都市に人口が集積しました。3はフィリピン、4はインドですが、1人当たりGNIが、フィリピン>インドであることから考えてみましょう。

 

以下、詳細な説明です。

 

2008年度地理B本試験[第3問]問3

まず言葉を知らなきゃ話にならない。「都市人口率」とは、全人口のうち都市部に住む者の割合。たとえば、まだ都市なんてものが存在しなかった縄文時代や弥生時代ならば都市人口率は当然0%になるよね(笑)。時代が流れ、現代社会は都市化の時代でもある。産業が発達した先進国では多くの者がすでに都市に居住し、都市人口率も高くなっている。 都市人口の反対の概念が農村人口率(こんな言葉は本当はないけどさ・笑)。都市以外の地域を農村と考え、全人口のうち農村に居住する割合が農村人口率。都市人口率と農村人口率を合わせると100%になると考えてほしい。 

 

 都市人口割合を考える際に、都市人口よりも農村人口をイメージした方が理解が早いと思う。都市人口割合が高い国っていうのはつまり農村人口割合が低い国であり、逆に都市人口割合が低い国っていうのは、農村人口割合が高い国っていうこと。 農村人口については「第1次産業人口割合」と関係があると考えよう。そもそも農業(第1次産業)を営むには農村に住んでいなくてはいけないのだから、第1次産業人口割合と農村人口割合は比例する関係にあるとみなしていい。  で、ここからが重要。すでに君たちは第1次産業人口割合については知っているはず(っていうか、必ず知っとけよ!)。先進国で高く、発展途上国で低い。先進国の中でもイギリスや米国でとくに低い数値となっており、日本はさほどでもない。発展途上国の中でもとくに高い割合となっているのは、タイなどアジアの米作国である。 農村人口割合と第1次産業割合とは比例関係にあることはわかるよね。都市人口割合と農村人口割合は相反するものなんだから、つまり「第1次産業人口割合と都市人口割合は反比例する」という鉄板のセオリーが生まれることになる。ここは絶対に理解して!  第1次産業人口割合がとくに低い国ってどこだった?それはイギリスだよね。っていうことは、イギリスは都市人口割合がとくに高い国っていうことが言えるわけだ。逆に第1次産業人口割合が高い発展途上国では都市人口割合は低くなる。 このことをふまえて図1を参照。最も都市人口割合が高い1がイギリスとなる。  さらにおまけでいきましょう。 

 

「都市人口割合と1人当たりGNIは比例する」というセオリーも実は成立しているんだけど、わかるかな。農業など第1次産業はズバリ儲かる仕事ではなく、これに従事する人の割合が高い国はつまり国民の所得水準も低いということ。つまり1人当たりGNIが低い。 「第1次産業人口割合と都市人口割合は反比例する」そして「第1次産業人口割合と1人当たりGNIは反比例する」のだから、「都市人口割合と1人当たりGNIは比例する」というセオリーにたどりつくわけだ。オッケイかな? 

 

 ちなみに、図において2は韓国、3と4はインドかフィリピンのいずれか(判定不要)である。NIEs(新興工業経済地域)の一つである韓国は工業化も進むなど、インドやフィリピンに比べ1人当たりGNIが高く、その分だけ都市人口割合も高くなっている。またとくにこの国については80年代にも注目してほしい。韓国は1980年代に高度経済成長を成し遂げた国であり、この時期に工業が著しく発展し、国民の所得水準も大きく上昇した。都市人口割合も急上昇している。農民の多くが農村を捨て、都市へと流入し商工業を支える労働力となったのだ。