<第1問問4>
[インプレッション]
第1問の自然環境にはこのように大地形に関する問題がしばしば登場し、その多くは知識問題だったりする。でも全然慌てなくていいよ。出る内容はほぼ決まっているし、過去問をしっかり解いて対策すれば十分に解答できる(その代わり、過去問は20回分ぐらいは分析して欲しいな)。今回も「火山の位置」という定番ネタが出題されている。
[解法]
大地形ジャンルで最も重要な話題は「火山の位置」。火山がどこに存在するのか、詳しくチェックしておかないといけない。一覧にしておくので確認しておこう。
(1)環太平洋造山帯。新期造山帯の全てに火山が分布しているわけではなく、例えばアルプスヒマラヤ造山帯においては火山分布は限定的。基本的には「火山は海に存在」とイメージすればいい。日本列島だって、海から突き出した火山の島でしょ?太平洋の外周に沿って火山が並んでいる様子を想像しよう。アリューシャン列島~千島列島~日本列島~フィリピン~インドネシア~ニュージーランド~南極~南アメリカ太平洋岸~メキシコ~北アメリカ太平洋岸。ただし、この火山帯は途中で枝分かれして、一部が大西洋側と通過している。カリブ海の島々があるでしょ?日本列島と同じような弓形の島々つまり「弧状列島」になっている。プレート境界(海溝)に沿って多くの火山島が形成されている。
(2)イタリア半島。イタリアも日本と同じく変動帯の国だが、北部のアルプス山脈には火山がないので注意。やっぱり火山が存在するのは「島」なのだ。イタリア半島っていう「半分が島」の地域に火山が分布する。これ以外にギリシャの島々など地中海には火山は少なくないが、テストで問われるメジャーなものはイタリア半島とその南に位置する島(シチリア島)の火山だけなので大丈夫。一般的に火山がほとんど分布しないアルプスヒマラヤ造山帯の中ではイタリア半島は例外的な地域。
(3)アイスランド。上記の2例がプレートの狭まる境界に沿って形成された火山ならば、こちらはプレートの広がる境界の火山。大西洋の中央を走行する海嶺の上に形成された火山島がアイスランド。
(4)キリマンジャロ。アフリカ東部の大地溝帯は海嶺が陸上に現れたもので、プレートの広がる境界。この大地の裂け目に沿って形成された火山がキリマンジャロ。標高6000mに達し、赤道直下ながら山頂付近は年間を通じ氷に閉ざされる。
(5)ハワイ諸島。例外的な火山。プレートの境界部ではなく、その内側に形成された火山。地下のマントル対流が海洋プレートを突き上げ、火山が形成されている。ホットスポットである。プレートがぶつかる圧力がないので、ハワイの火山は爆発力が弱い。標高4000mの山頂には天体観測所が設けられているが、普通の火山ならば火山灰で視界が悪いから天体観測なんか無理。溶岩は河口から流れ出すだけで爆発を伴わない。
どうだろうか、火山ってこれだけだから覚えやすいでしょ。たまたま日本列島に火山が多いから地球全体に火山が分布するイメージがあるかも知れないけど、それが全然違うのだ。日本は世界で最も火山が過密な地域。この小さな島々に世界全体の7%の火山が集まっている。
このことから火山の場所はわかるよね。5のイタリア半島、それから1のカリブ海の島々。とくにカリブ海の島々は形にも注目してね。日本列島と同じような弓形の島々。弧状列島なのだ。プレートの狭まる境界に沿う。
では次は熱帯低気圧に話を進めよう。これも意外に出現する地域(海域)は少ない。熱帯低気圧の発生する条件としては2つあり、まずは温暖な海域。低緯度の海域であって、さらに寒流が流れていないことが条件。例えば図5で言えば、1は該当。ここは低緯度であり、暖流であるメキシコ湾流の影響が強く、水温はかなり高い。5は緯度が高く水温が十分でないので不可。4は一応低緯度といえるが、沿岸を寒流のカナリア海流が南下し、熱帯低気圧は発生しない。3も同様。こちらも緯度は低いものの、寒流のベンゲラ海流が流れ込み水温が低い。2は微妙なのだが、ここもやはり熱帯低気圧は発生しない。緯度的には問題ないのだが、ここを流れるブラジル海流は一応暖流ではあるものの、さほど水温が高くない。大西洋の南半球側では反時計回りの海洋循環がみられ、アフリカ南西岸を北上するベンゲラ海流(寒流)が、赤道の手前で左に向きを変え、南赤道海流となる。それがさらに南米大陸に達すると左に曲がり、ブラジル海流。そのブラジル海流も南極周辺で西風海流となり、ベンゲラ海流に連結する。このような「反時計回り」の海流の流れが南半球にはみられる。ただ、太平洋に比べ大西洋は幅が短く、南赤道海流の流れる距離も短い。赤道付近で十分に海水が温められないため、その延長上にあるブラジル海流も暖流としては比較的水温が低い。このことが、ブラジル沿岸で熱帯低気圧が発生しない一つの要因となっているのだ。
この時点でJとKの二つの条件を満たす地域として1が正解となっているのだが、せっかくなので熱帯低気圧が発生するもう一つの理由にも触れておこう。それが「赤道直下ではない」こと。つまり低緯度海域ではあっても、赤道直下の海域は含まれない。緯度10~20度ほどの海上に発生場所は限定されるのだ。その理由が「転向力」。転向力とは地球の自転によって生じる力で、風や水は進行方向に対し、北半球なら右向きの、南半球なら左向きの、それぞれ力を受ける。熱帯低気圧は周囲から風が強く吹き込み、水分供給を受けることによって巨大化するわけだが、この際に空気が強い渦を巻かないといけない。空気の流れは転向力を受けて方向を変え、渦を巻くことになる。北半球は低気圧の周囲を反時計回りで風が周回する渦が生まれ、南半球では時計回り。この力によってこそ低気圧は巨大化し、台風やサイクロン、ハリケーンに成長するのだ。例えば赤道直下のシンガポールでは年間の降水量は多いが、それは夕方に降るスコールによるもの。年間を通じ熱帯収束帯に含まれ上昇気流の作用が活発なのだ。熱帯低気圧によるものではない。
ただ、本問の場合は赤道直下の地域は含まれていないのでこの2つ目の条件は無視していい。JとKの両方の条件を満たす地域がカリブ海の弧状列島であり、Jのみがイタリア半島や島嶼部となる。
[雑感]
火山の場所はこれでもかってぐらいに出題されるので、簡単に解けるようにしておいてね。今回取り上げられたカリブ海地域は盲点になりますいけれど、その形(弧状列島)が日本と共通しているので、わかりやすいとは思うよ。
熱帯低気圧についてはその名称(太平洋北西部が台風、インド洋とオーストラリア北東岸がハリケーン、北アメリカ周辺がハリケーン)といったことをやたら気にする人がいるけれど、そんなん出題されないから大丈夫で(笑)。そんな一問一答式の暗記より、「なぜ熱帯低気圧が生じるか」のメカニズムの方が大事。「水温が高い」こと、「転向力を受ける」こと、この2点が重要なのだ。
そして日本は世界でも稀な「火山」と「熱帯低気圧」の被害を受ける国。そういう意味では1のカリブ海地域と共通するが、しかしカリブ海地域には考えられない災害も日本では生じるね。そう、それが冬の「豪雪」なのだ。日本は世界でも稀な積雪に見舞われる国であり、地球上でも最も自然災害を受ける国なのだ。客観的にみて、どうしてこんなところにこんなにたくさんの人が住んでいるんだろうって思うよね。世界の国々の教科書では、日本について「巨大地震が起こり、世界の1割近くの火山が集中し、夏は多くの熱帯低気圧に襲われ、冬は豪雪に見舞われる国」として紹介されているはず。









