広瀬香美 - ゲレンデがとけるほど恋したい(夏色花梨 カバー)とボーカルの原曲寄せ調声テクニック | たついかみのチラ裏でええじゃろ

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UTAUやSynthesizer Vなどでカバーしたりトーク動画を作ったりしています。 カバーや動画作成時のチラ裏に書いとけ的な裏話。

 

広瀬香美さんの歌い方を完・全・再・現☆するつもり花梨先輩に無茶振りした一品。

 

進化したとはいえ、人間と比べればやはり声のバリエーションで劣る音声合成で、どうやって歌手の歌い方を再現するか(=人っぽくなるか)?ということを研究していくと、そのままとはいかずとも「それっぽくなる」やり方というのができてくる。これが引き出しになって後々役に立つわけだ。

 

この曲に関しては、広瀬香美さん本人によるダメ出し動画があって、

・冒頭は全てスタッカートじゃなくちゃダメ!

・スラーの箇所はしっかりスラーじゃなくちゃダメ!

・サビのメロディーは高低差に引っかかったらダメ!

という3点。

 

ありがたいですねー。

で、これをどうやって調声に活かすのか。

 

スタッカートは

・「cl」を使う。「あっ」とかでも直接clを書いてもOK。

・後の音を長くする

これらの方法で調整できる。

 

またテンポよく聞かせるためには「前ノリ」を使う。

例えば「時間も電車も」の「かん」「でん」部分は、「ん」を64分音符分前に寄せている。

↑分かりにくいので16分音符ごとに線を引いてみた

 

スラーのところは逆に後ノリというか、音を遅らせることでスラー感が増す。

例えば「今夜は積もるかもしれない」の「もるかも」は譜面上は8分音符のはずだが、ここを三連符に近い形にするとゆったりした感じに聞こえる。

 

↓8分音符ぴったりを

↓ずらして三連符に近い形に

 

高低差。パワーのある歌手って、譜面どおりの音程で歌ってなくて、なんならどの音で歌ってるかよく分からんまであってそれがまたスピード感を作っていたりするので、敢えて下の音符をずらしたりすることでそれっぽくなることもある。

 

↓サビの高低差ではないが、「ブレイク寸前」の「ブ」をA3bから繋げている例(本来の高さはA3)

 

そのほか、冒頭の「あーなたのネ」の「ー」のところで息を抜いているのは、「あ」のアタックの後でテンションを0より少し低いぐらいに下げ、「あ」と「な」の間に「ん」を挟むことで表現している。花梨先輩はテンションが0から下がると急に声色が変化する気分屋さんなので、ちょっとだけ下げるのがいい。

※トーンシフトを下げた方が効く子もいるので色々試してみるのが吉

 

またロングトーンの最後あたりでテンションを下げていくと、音の消え方が自然な感じになりやすい。これはどのシンガーでも共通して使える技だと思う。

↓生成された波形に注目