夏に入って、何度か屋外の撮影会に参加してきました。
私自身が個別にお願いする撮影とは違い、撮影会事務局が運営するそれには、やはりそれぞれのルールというものがあります。
まあ、だいたい似たようなもので、ごく普通に撮影していれば問題はないんですが、今年の夏はこれに加えて「コロナウイルス感染症対策」という大看板が加わりました。
たとえば、以下のような内容です。

1.カメラマンはマスク着用が必須(場合によりモデルさんも撮影時以外はマスクを着用する)
2.撮影・移動時も含めて、カメラマンはモデルさんとの距離について常にソーシャルディスタンスを維持(それが守られない場合は、即撮影中止)
3.カメラマンが触れた物は、モデルさんに触らせない(モデルさんが画像チェックをする際にカメラを手にすることや、撮影に使用する小道具についても、この考え方が適応される)

これ以外にも細かいことはあるのですが、書いているだけで息苦しくなってきちゃいました。
いや、誤解なさらないでください。これは大切なことなんです。それは分かっとります。
ただ、炎天下でこれを忠実にやってみると、もう地獄であります。
まずマスクをしているので、こっちは撮る前からめまいがする。モデルさんに撮影上の指示をするにしても、声が通らない気がしてついつい大声を張り上げるので、体力の消耗が著しい。
小道具を渡す時も、ビニール袋の外側を持って目的とする物の先端を露出させ、そこをモデルさんが持ってビニール袋から引き出すという…説明がややこしいなぁ。あのう、表現がふさわしくないと思いますが、ちょうど犬の散歩をしてる飼い主が、ワンちゃんのウンチをビニール袋に入れる作業がありますでしょう? あれの逆バージョンと思ってもらえればいいでしょうか。もう、こうなったら衛生的なのか、そうでないのか。第三者が見るともはや異様でしかないですな。

汗かきの私など、撮影が終わったらマスクをしぼると汗がしたたり落ちる始末。
起立性低血圧の私は、まさに命がけであります。
「だったら、撮影なんかに来るなよ」
とお叱りを受けることにもなりましょうが、それでも撮りたいと思うバカ、つまり私がここにいるわけです。

もちろん、運営スタッフもソーシャルディスタンスを保っての撮影時については、マスクを外してよしという特例を認めてくれているところがほとんどですが、でも、よく考えてみてください。撮影会前の諸注意でスタッフの方がこれをアナウンスするのは分かるんですが、いざ撮影がスタートすると、その場その場の状況によって撮影可否のジャッジをするのはモデルさんになりますよね。それは実際のところ無理というものでしょう。モデルさんの立場からしたらやっぱり言いにくいですもんね。そう考えるとマスクは外せません。だから、こっちが瀕死の状態になる。

このルール、大前提としてカメラマンへの感染も防ぐという配慮のもとに設定されているわけですが、これからの時期はいろいろな意味で厳しいでしょうね。

ところで、画像チェックが頻繁にできないとなるとどうすればいいのか。
皆さん、本題はここからですよ。
長々と引っ張ってきましたが、もう暑いので勿体ぶらずさっさと言っちゃいますね。

それは、最初に背景を一枚撮っちゃうという方法。
つまり、モデルさんが入っていない背景を一枚撮ってモニターに映し出しておいて、そのカメラを置いたままソーシャルディスタンスをキープ。今度はモデルさんがそこに近寄ってモニターを見る。
そこで私が、
「そちらから見て木の左側に立ってもらい、おへそは10時の方向で、顔は12時の方向。軽く左手を木に当てがってください。そして、カメラ目線から木の枝を見たり横の景色を見たりで…、その後は反対側に立つバージョンを撮りますので、よろしく」
っていうのはどうでしょう?

実は、それ以前にもこの方法でよくモデルさんと撮影イメージの確認をしたりしてました。もちろん、お互い離れての部分はありませんでしたが。
私の経験上、この方法は意外と使えます。
特に一度背景を確認してもらっておくと、モデルさんの方もフレームの見切りができるみたいで、割とスムーズ撮影が進むんですね。

コロナと付き合いながら撮影していくのは辛いですが、もともと中望遠レンズを主力に置いている私ですので、モデルさんへの指示を極力少なくするのは省エネの撮影法であるとも言えます。