Cside















スマン王が自身の娘、つまり王女とユノ様の結婚の提案をされた。



動揺してしまった。




もちろんユノ様はお断りしてくださっていたが、一国の王として國の未来を考えスマン王の王女様と結婚は正直ありがたい話だと思う。













チラッ



「………え?」



今、スマン王が僕をチラッと見たような…しかもなんだか不敵な笑みで。
























式典自体は問題なく遂行し、
無事に終わった。

会場をあとにする際スマン王がユノ様に握手を求められ、ユノ様はしぶしぶ握手を交わされた。


"一度ゆっくりご検討くださいな"

『…………………』


結婚のことだろうけど、
ユノ様はお返事をなさらずただただニコリと笑みのみだった。












王室へと戻りいつもと変わらず夕食を召し上がり、いつもと変わらずいろんな種類の資料に目を通されている。


ふと、目元を指で抑え、








『チャンミン…』

「いかがなさいましたか?」

『ん、ちょっと抱きしめさせて』

「………………ユノ様?」





ユノ様が僕を抱きしめたいとおっしゃるときは大体お心が疲れている時。



TVXQ連合の前日やお父様の件の時もそうだった。
じゃあ今回は何にお疲れ?
きっとスマン王の結婚話にだろう。


東方の國の未来を選ぶか僕を選ぶかで、
葛藤なさって疲れているのではないだろうか。




「ユノ様………大丈夫です。ユノ様の赴くままにご決断なさいませ」

『………チャンミン?』

「私は…ユノ様のご判断に従うまでです」

『…………………』





ギュゥ



ユノ様の背中にまわした僕の腕に少し力を込めた。



『チャンミン……好きだよ。愛してる』




あぁユノ様はきっと王女との結婚をご決断したのではないだろうか。
そんな意思を感じた。




「………私も、好きです」






ユノ様と東方の國の幸せだけを願っております。
王女様がお心お優しい方であってほしい。
そんなことまで僕は考えてしまった。


ここで泣いてはいけない。
ユノ様に涙なんて見せてはいけない。



耐えるんだ。






『チャンミン……』

「ユノ様…」
















コンコンッ

コンコンッ






"ウニョクです!王様いらっしゃいますか?"

『……………どうした?』

"失礼しますってチャンミンここにいたのか。探してたんだけど"

「申し訳ございません」

"いやまぁ、いいんだけど"

『で、何かあった?』

"あ!そうです王様これが……"

『ん?…………紙?なんだ?』

"明日出る予定の記事です……"

『記事………ッまさか!』



「あ、」







ウニョクさんが持ってきた紙は、
明日発行予定の雑誌の1面。




そこには、


"ユノ王、恋人の存在を明かすもスマン王の王女との結婚も視野に?"

『………………』

"王様どういうことですか〜"

『はぁぁ、やっぱり聞かれていたか』

"自覚ありなんですか?!
そもそもスマン王の娘との結婚って?!"

『あー・・・』

「今日の式典でお会いした際にスマン王からご提案がありました」

"はぁ?!"

「近くにマスコミがいましたので、聞こえてしまっていたと思われます」

"まったく……ハァァァ"

『悪い。まさかそんな話とは思ってなかったから』

"…………仕方ないですね。あとこの記事が出ることも決定だそうです。事前連絡がきただけまだマシですね…"

『………否定文だけ出しておいて』

"承知しました"





ウニョクさんはすぐさま王室から否定文を発表すべく慌てて出ていかれた。




「否定…なさるんですか?」

『あ、』



ユノ様の頭の中では王女様との結婚は決意なさっているはずなのに、
ここで否定するなんて。

もちろんわざわざ肯定するのも違う。




『チャンミンごめん』

「ユノ様……頭を上げてください。ユノ様のお立場を考えたら仕方のないことですから」

『近々公式に発表はしようと思っている。だから……』

「はい。私は大丈夫ですから」

『チャンミン……』



ユノ様の苦痛にも近い表情を見ているのが辛い。
僕はこのまま執事としてユノ様のお近くにいることが、できないかもしれない。
そんなのいくらなんでも辛すぎるから。






ユノ様がお休みになられたのを確認してから僕は自室へと戻った。



「お荷物にだけはなりたくない」


でも、だからって僕はどうしたら?
ユノ様と王女様がお二人並んでいるお姿を見ることができる?
ユノ様と王女様との間にお子様が産まれたら?僕は……




「……ッ」


やだな。勝手に目から涙がでちゃってる。
東方の國が幸せになるため。
民が幸福になるためにユノ様が存在している。
王は常に民と共に。










ギュッ


僕は首元にあるユノ様からいただいたペンダントに触れ、

大きく深呼吸をした。




「方法は1つしかない……」







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