Cside











お盆休みも終わり両親が帰ってきた。
僕はあの日ユノヒョンとゆっくりと過ごし、夕食はピザとチキンをペダルした。

お風呂は別々に入って、お母さんが用意した布団を床に敷き僕たちは別々に夜を過ごした。


これがユノヒョンの言う"責任"なのだろうけど寂しくてたまらなかった。
手を伸ばせば触れられる距離にいるユノヒョン。

なのに、触れて眠ることができないなんて……




僕はいつからこんなにも貪欲になってしまったのだろうか。










「ユノヒョン起きてますか?」

『……………』

「寝ちゃいましたよね……」

『………起きてるよ』

「あ、すみません。起こしちゃいました?」

『ずっと起きてるよ。頭が冴えちゃってなかなか眠れないみたい』

「…………僕もです」

『チャンミン………本当はチャンミンに触れたくて堪らない』

「ユノヒョン………」

『でも俺の漢としての責任を守らせて』

「…………仕方ないですね」

『あーはーはーありがとう』

「…………………て、」

『ん?』

「手だけ、握って欲しいです」

『うん』





そうして僕は下に向かって、
ユノヒョンは上に向かって腕を伸ばし俗に言う恋人繋ぎをした。


さっきまでの寂しさなんて一気に吹き飛ぶ不思議な力。





















そうして気が付くと朝になって、2人でパンを食べて昼過ぎにはユノヒョンはバイトがあるからと帰っていった。












それからは僕は塾、ユノヒョンはバイトでなかなか会えない夏休みを過ごしていたけれど、連絡は毎日のように取っていたし不思議と寂しさは無かった。


きっとユノヒョンが僕を大切にしたいという男の責任というものをちゃんと言葉にしてくれたし、
手を握るだけで暖かくなる気持ちを忘れないでいれば、僕たちは大丈夫なんだと思えていた。

そりゃあ直接触れたい時もあるけれど、そういう時は塾終わりにユノヒョンがバイトをしているファストフード店に行ったりした。

するとユノヒョンは必ず僕を家まで送ってくれるし、バイバイする時は軽くキスもしてくれた。

















〜2年半後〜









Yside















俺は高校を卒業して見事大学生となった。
チャンミンのおかげでC判定だった希望の大学にまさかの合格。


「すごいですユノヒョン!!」

『やべー受かっちゃったよ』

「ユノヒョンの努力ですね♡」

『チャンミンのおかげだよ』





なんて可愛い笑顔で喜んでくれた。
俺の心はきゅ〜んってなったのを今でも覚えている。
でもその数週間後には、




「ユノヒョンのいない高校なんて…無理です」
「僕も同じ大学に行きます」


なんて言われたときには開いた口が塞がらなかった



『チャンミンはうちの高校にとって希望の光だろ?ソウル大学目指してあと1年頑張って、ね?』

「ユノヒョンがいない大学生活なんて楽しさを見いだせないです」



ガチなのかなんなのか分からなかったけど、高校3年になるとそんなことも言わなくなり今まで以上に勉強漬けになったチャンミンに、本当は俺のほうが寂しい……なんてことは言えないよな。


















『あー寒いなぁ』

"そりゃあ今日がクリスマスイヴだからな"

『クリスマスイヴねぇ』

"あれ?恋人いなかったっけ?"

『いるけど…受験生だから』

"俺たちも去年頑張ったんだから気持わかるだろ?応援してやれ"

『分かってるよ。でもなー会いたいなぁ』

"まぁあと2ヶ月もすれば会えるだろ?"

『そうだけど……去年は俺、今年は相手で丸2年ほとんど一緒に過ごせていないんだぞ?』

"ご愁傷さま"




大学生になっても俺はバイト先を変えずに同じファストフード店で働いている。
同い年のバイト仲間とクリスマス一色の外の景色を見ながらアイドルタイムのせいかボーッとしてしまう。





『雪降ってるじゃん…こりゃあもっと暇になるな』

"早上がりしてぇよな"

『いや、今日早上がりしても街にいたら虚しいだけだ』

"確かに……あぁ俺のクリスマスイヴがぁぁ"







大学生活は楽しい。
ゆるっとしたサークルにも入ったけどほとんど行っていない。俗に言う幽霊部員的な感じ。一応席はまだあるみたい。



大学の友人は合コンが日々の楽しみだって言っていたが、勿論俺は合コンなんてものに参加したことはない。
これは誓って言える。
何度も誘われたけれ断り続けたら声をかけられなくなった。


あの日、
夏休みにチャンミンの家に泊まった日から本当にあれ以上のことはしていない。

一度だけ、俺の家でチャンミン自身に触れたり互いのジュニアを握り合うことはあったけれど、本当にそれっきり。
たまにチャンミンが塾帰りにこのファストフード店に寄ってくれるから、その時だけ一緒に帰って別れ際に軽くキスをする。
かなりプラトニックな関係で、男子大学生がこんなに清くて逆に引く。


回りはセックスしただの、
合コンで持ち帰っただの、
セフレができたとか、

正直猿にしか見えない。





とか言いつつ、
チャンミンの高校卒業まで日々カウントダウンをしているなんて、俺も猿みたいなもんかも。
俺とチャンミンの初めてを妄想して1人でやっちゃってるんだから……











"いらっしゃいませ〜"





"お客様?"

「あ、あの……ユノヒョン……いますか?」

"ん?ユノ?少しお待ちください。
おーいユノ!ユノ指名のお客様だぞー
?"

『俺指名?なんだそれ………っチャンミン?!!』

「お久しぶり……です」

『ちょっ、こんな時間にどうした?しかも頭に雪なんて乗せて!風邪引いたらどうすんの!?』

「すみません……報告があって…///」

『報告?』





頭に雪を乗せ、耳も鼻も真っ赤にしながら少しモジモジとするチャンミン。




『チャンミン?』

「…………ソウル大学…に合格しました」

『え?!』

「今日合格発表の日だったんです」

『………………』

「ゆのひょん?」

『………………』

「あの………」

『おめでとう!!!!す、すごすぎるよ!ソウル大学だなんて……やばい涙が出そう…』

「なんでユノヒョンが涙なんですかw」

『おめでとう!本当におめでとう!!』



俺はお客さん数人の店内でチャンミンを抱き締めた。









パチパチパチパチパチパチ



すると数人のお客様とバイト仲間がチャンミンの合格発表を聞き拍手をしだして、チャンミンの耳は寒さではなく燃えるような熱を持ってさらに赤く染まったのが分かった。




"おめでとうございます"
"すご〜いソウル大学だなんて"
"おめでとう!!"


「あ、えっと………ありがとうございます……」ペコリ


"ユノの友だち君、お祝いにおごるよ"

「え?!」

『いいのか?』

"ソウル大学だぜ?ソウル大学生に奢ったなんて逸話ほしーじゃん"

『あーはーはーお前らしい』

「えっとユノヒョン?」

『あぁ、ごめん。おれのバイト仲間でタメなんだ。ここは好意に甘えておこう』

「え……でも…」

『いいからいいから♪俺もう早上がりしちゃっていい?!』

"それは店長に聞け!"

『だよな?!聞いてみる!』





そうしてガラガラの店内を見て、
店長はバイトの早上がりを認めてくれた。





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