Yside

















コンコンッ


『俺だ、入るぞ?』




返答はなかった。






ガチャッ







俺は放課後、チャンミンの親父さんに言われた通り親父の病院に来た。










扉を開けると母ちゃんとチャンミンの親父さんが立っていた。



『なんだ、いるんだったら返事ぐらいして……ッ』















『親父!!!!』




ベッドには以前とは比べものにならないぐらい衰弱した親父が横たわっていた。



『嘘だろ…もう………あの世に?』

"まだ……生きて…おる………"

『……っなんだよ……驚かすなよ』

"王様、私と奥様は退室いたします"

『え?』

"では"

"ユノ……ちゃんと話すのよ?"






ガチャッ











『ちゃんと話すって何をだよ…』

"………TVXQ連合……につ…いて報告……し…なさい"

『ん?話しってTVXQ連合のこと?
まぁ、スマン王には目をつけられたかもしれないけど無難なことだけど言えたと思ってる』

"ほう……"

『てか見てねぇの?』

"…………見ておった"

『だったら報告もなにも…
つーか喋るの大変なんだろ?いいよ別に。あ、筆談とかにする?』

"ユノ…チャンミンくんを呼びなさい"

『え?…………わかったよ』





なんだよ。
辛いくせに無駄に話さなくてもいいのに。





『チャンミン、親父が呼んでる』

「え?私をですか?」

『うん』

「………かしこまりました」





『親父、チャンミン来たよ』

「失礼します。チャンミンです」

"……………………チャンミンくん、…君は……
ユノと付き合っているのかな?"

『「!!!!!!」』

"私の……思い違いな……ら申し訳ないが……"

『親父!何だよ急に!そんなことなら俺に聞けばいいだろ?』

"…………お前に…聞くと…はぐらかすかも知れないと……思ってな…すまないねチャンミンくん"

「いえ、」




親父にそんな風に言われたら、
チャンミンは嘘なんてつけない。


でも本当のことを言っていいのかと戸惑っているチャンミン。

目がキョロキョロと泳ぎまくってる、
完全に動揺してんな。
ま、そりゃそうだ。







『付き合っているよ親父』

「王様!?!?!!」

"…………愛している……のか?"

『愛してるよ』

「………///」

"……………………そうか…"




親父は目を閉じ深呼吸をしている。
呼吸が辛いのだろうか…




"同性婚…できると、いいな"

『親父!?認めてくれるのか?!!』

"認めるもなにも……お前の、人生ではな…いか。おかしなことを聞くんだな……"

『……だって、一応東方の國の王だし、
王族が途絶えてしまったら…そもそも王になることだって、選択権はなかった』

"はは……私はユノを信じている……
ユノなら立派な、王に……なれる、と"

『…………………ッ』

"でも、背負うことはない"

「駄目です!東方の國は守り続けないと!」

"ありがとう。そう……思ってもらえる國で嬉しいよ。
ユノ……TVXQ連合立派だったよ……"

『親父……』




なんだよ。急にしんみりした話。


こんな話するなんて、
まるで最期みたいで………












『親父!!!!!』



ピーーーーーーーッ




ピーーーーーーーッ







ガチャッ!!!!






"あなた!!"

"旦那様!!!"



"チャンミン、医者を呼べ!"

「………………」

"チャンミン!!!"

「………ッ、あっ、はい!」









親父?


おい、親父



なんか周りが騒いでるぞ?
親父が急に眠ったから、
騒いじゃってんじゃん。


起きろよ?


なぁ、








『起きろよーーーー!!!』





































"昨日夕方に東方の國の元王がお亡くなりになられました"

"若すぎる死に悲しみが広がっています"

"王位継承が早まったのはご病気だったということですね?"

"王様へのご負担を減らすために王位継承を早めたとされています"

"生前、東方の國のことを想ってくださっていました。御冥福をお祈り申し上げます"







ピッ





親父が亡くなったニュースばかりだ。
家の外からはマスコミの声が聞こえる。











結局あのまま再び目を開けること無く
親父は呆気なく息を引き取った。

最後に父親としての言葉を残して。







コンコンッ



「チャンミンです。失礼します」

『ん、入って』







「王様、明日のお別れの会のスケジュールが決まりました。こちらに置いておきますので目を通しておいてください」

『ん、わかった』

「………………王様…大丈夫ですか?」

『………大丈夫。実は覚悟をしてたんだ』

「…………それでも…」

『もちろん悲しいけど、でも嘆いていたって何も変わらないだろ?』

「…………………」

『それに時間は待ってくれない。
悲しんでいてもお別れの会もその他の公務もやってくる』

「…………………」

『それに親父に泣くなって言われてるし』

「…………………」

『ここで俺が泣いたら成仏できるもんもできなくなっちゃうかもw』

「………………王様…」

『だから俺は大丈夫だかッ』





ギュッ








「ユノ様…どうか泣いてください」

『…………チャンミン?』



優しく包み込むように俺を抱きしめてくれたチャンミン。


あったかい。




「我慢しないでください。
TVXQ連合について褒めてくださったではないですか」

『前に親父が言ってただろ?泣いてはだめだって…だから約束守らないと……』





そう、親父に言われた言葉。





「"辛いときも、苦しいときも、誰も味方してくれなくても泣いてはならない"
とおっしゃっていましたね」

『…………覚えてたんだ…』

「………私は味方です。ユノ様を裏切ることも責めることも致しません。
だから私の前では泣いてください」

『チャンミン…』

「ユノ様が……泣くことを忘れて……しまわれるのではと…心配でなりません」

『そんな……ことは…』




だって泣いたらだめだって。
民に認められた時に泣けと。


それが王としての宿命だって…
そう…言われたけど……?





ズズッ


ズズッ







『なんでチャンミンが泣くんだよ?』


大きなチャンミンの瞳から涙が流れている。白い頬をつたう涙が美しく、そして苦しい。



「ユノ様が泣けないのなら、代わりに私が涙を流します」

『…………………』




チャンミンの瞳から止まることのない涙が流れている。

そんなチャンミンの姿を目の当たりにすると、俺の目からも涙が溢れてきた。




『これは……もらい泣きだから…』





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