Yside











気持ちいい




こんなに気持ちいいキス初めてで、離したくない。







「ん、」




もっと





もっと








もっと堪能したい。









チャンミンのことが好きなんですよ王様は

















ウニョクの言葉が脳裏を過った。
あぁ、好きだからキスがこんなに気持ちがいいのか…。
好きだから衝動的に抱きしめてしまったのか…。


今までの彼女には抱いたことのない感情。













「王さ、ま……ッ」


ハッ!!!






『…………ごめんッ!』

「いえ……///」

『……………………』

「……………………//// その、どうして……このようなことを…?」

『…………それは…』

「……………………」

『チャンミンが執事を辞めるとか言うから』

「…………………辞めるというか、
私が王様の執事をし続けることで、王様が嫌なお気持ちになるのでしたら、」

『だから、俺が嫌な気持ちになるってなんで?!』

「それは……」

『………………それは?』

「……………私に2度も告白をさせるのですね王様は」

『え?』

「私は王様を愛しております」

『チャンミン……そのことだけど、』

「私なんかが王様を慕っているとお伝えし、気分を害されたのでないですか?」

『は?』

「なので自ら執事を辞めようと……ッ」





『勝手に決めるな!』






ガバッ




あ、また抱きしめてしまった。









「……………王様…」

『チャンミン、せっかく告白をしてくれたのに返事をさせてくれないのは酷くないか?』

「……………返事なんて…」

『俺の気持ち聞いてくれないのか?』

「………………」



チャンミンは暫く黙ったままだったが、



「……………お返事お聞かせください」



すごく小さな声でそう言った。
抱きしめていてチャンミンの口元が俺の耳の隣りにあったから聞こえたレベル。


緊張からなのか、
それとも振られてしまうと思っているから小さな声になってしまったのだろうか。








でも、チャンミン。
もし仮にそう思っているのなら、安心してほしい。













『俺さ、』

「……………はい」

『チャンミンがいないと困るんだ。
チャンミンがいるから王として頑張ろうって思うし、チャンミンの笑顔を見るともっと笑ってほしいって思う』

「……………………」

『チャンミンが他の奴等の世話をしていると俺のチャンミンなのにって思ってしまう』

「……………………」

『どういう事かわかる?』





チャンミンは少し乾燥している唇を噛み、
瞳を閉じた。




「執事として必要ということですね……」

『え?』

「王様にそう思っていただけて心より嬉しいです。シム家に生まれた僕としては本望です」

『そうじゃない!』



ビクッ




大声を出してしまったせいで、
チャンミンの両肩が大きく動いた。



『チャンミン、本当に俺の気持ちわからない?』

「………………王様……?」



上目遣いで俺を見つめるチャンミン。
身長は同じぐらい。
なんならチャンミンの方が若干高いのに、
なぜ上目遣いになるのだろうか…



『好きだ』

「…………………」

『チャンミンのことが好きだ』

「…………………」

『執事としてではなく、
1人の人として好きなんだ』

「………………それは…あの、えっと…?」





脳内処理ができていないチャンミン。
そのちょっと間抜けな姿が可愛くて、






ガバッ


『だから、こうやって抱きしめてるんだから、そういう意味での好きってこと』





可愛いすぎたからもう一度抱きしめた。
今度は少し強く。






『わかった?俺の気持ち』

「…………あの…///え?いや、その…」

『まだわからない?
もう一度キスしたらわかってくれる?』

「!!!!!!」




目ん玉が飛び出てしまうのではと思うほどチャンミンは驚いて、




「ちょ、」




チャンミンの唇めがけて俺の唇を近づけていくと、




「ダメです……///」



そう顔を赤らめながら、
俺の胸元に掌をあて俺の動きを静止させた。





は?なんで?
俺チャンミンのこと好きって言ったのに?

両思いってことなんだけど?




『なんで?俺好きだって言ったけど?
チャンミンの気持ちに応えたんだよ?』

「おッお気持ちはとても嬉しいです。
天にも昇る気持ちで舞い上がっております」

『だったら…』

「でも!ダメです。王様は王様なんです」

『………………』



は?



王様は王様?
当り前じゃん。



チャンミンの考えていることがさっぱり分からない。




『チャンミン?どういう意味?わからないんだけど…』

「………………」

『チャンミン?』





ちょっと待てよ。
普通両思いってわかるとお互い気持ちが舞い上がって、
ラブラブのデレデレになるんじゃないの?
世界で1番自分が幸せ者なんだって勝手に妄想しちゃったりするんじゃないの?




チャンミンは天にも昇る気持ちって言いながら、
その表情から喜びが見えなかった。












『俺たち、付き合わないのか?』









チャンミンは幽霊でも見ているかのような表情で、




「王様…お立場をお考えください。
私は王様の執事です。王様と執事が付き合うだなんて、あり得ないことです」

『……そんな…だって、それなら俺の気持ちは?チャンミンのことが好きって俺の気持ちはどうなるんだよ!』

「……………お忘れください」

『は?忘れる…だと?』

「はい。一種の勘違いとお考えになられたら良いかと……」

『……………チャンミンはそれでいいのか?』

「…………………」

『いいのか?!』

「…………勿論です。王様が誤った道をお進みしないために、私は正しい道を導くことが務めですので」

『誤った道…って』

「…………………」

『…………わかったよ。ただ!
俺は諦めていないってことを覚えておいてくれ』

「…………へ?」

『あとウニョクと業務を交換したってのは俺は認めない。明日からもとに戻すように』

「………それは…」

『別にチャンミンが渋っても、チャンミンの父親に伝えるだけだけど?王の権限ってやつで』

「………………承知しました。明日よりもとに戻します」

『よろしくな』








チャンミンが言わんとしたことは分かった。
いや分かりたくないけど。


でも、俺としては初めてちゃんと人を好きだと感じられた相手なんだ。
そう簡単に諦めるわけないだろ?




















"チャンミンに1票ですね"

『はぁ?お前、俺等を応援してくれてたんじゃねーの?』

"執事としてチャンミンに1票。
友人として王様に1票って感じですね"

『ウニョク……』

"国民に示しがつきません。
王様が執事と、しかも男となんて"

『……………男ってこと忘れてたわ』

"………結構重要度高いと思いますけど、忘れてたんですね……"



そうかもしれないけど、
チャンミンから俺に告白してくれて、
ウニョクも当たり前みたいに知ってて、
その上、ウニョクは俺の気持ちも理解していて……だから、





『男って壁を全く感じなかった』

"……………で、どうなさるんですか?"

『ん?そんなのアタックするのみだよ』

"チャンミンを苦しめないでくださいよ?"

『苦しめる?』

"チャンミンは真面目なので。悩みのタネにしないでってことです"

『あー・・・』




ウニョクは溜息をしていたけど、
とりあえずは好きにすれば良いと言って俺の部屋を出ていった。




『好きにするよ。
初めての恋なんだ、後悔したくないから』





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