Yside














「到着しました。
本日もお疲れ様でございました」

"王様、自室にお戻りになり着替えを終えましたら勉強です。後ほど伺います"

『……………はい』




チラッ




チャンミンに視線を送ったけれど、
反応はないままチャンミンは業務のため早々に自室へと向かった。










『はぁぁぁぁ』

"さ、王様お時間ですよ"

『ウニョクはよくそう淡々とできるな?』

"なんのお話でしょうか?"

『俺がこんなに悩んでるっつーのに』

"自業自得ですね"

『……………あのさ、チャンミンと話がしたいんだ』

"はい"

『だから勉強は後で……』

"勉強が先です"

『ぐッ、』

"今チャンミンと会っても同じことを言われるだけです。王様勉強です!とね"

『……………想像ができる』







そう言われたら仕方ない。
まずは宿題を終わらせ、その後にTVXQ連合の勉強…を終えたらチャンミンに会いに行こう。


ことをスムーズに進める為だ。



























『終わった〜』

"お疲れ様でございます。
ココアで一息ついてください"

『ココア?』

"お好きなのかなと…思ったのですが"

『あ、あぁ好きだよ。ありがとう』





ゴクッ





あ、違う。

一口でチャンミンが作ってくれたココアと違うって分かった。
甘さも温度も。

別にウニョクが入れてくれたココアが不味いわけじゃない。
でもチャンミンが入れてくれたココアは
なんか胸が暖かくなって、飲むとホッとする。





そんなことを考えていたらチャンミンに会いたくて居ても立っても居られなかった。



『ウニョク!もうチャンミンに会いに行ってもいいよな?!』

"はい。ちゃんと勉強を終えましたので"

『よし!』

"あ、でも王様チャンミンは今ーって行ってしまわれた……チャンミンは今打ち合わせ中なんですけどね…"ハァァ























走ってチャンミンの部屋の前に来て扉をノックし声をかけたが返事がなかった。
もしかして俺だと分かって扉を開けないのか?という疑念を抱いた。

罪悪感はあったがそーっと扉を開けた。


『俺だけど……』




名乗りながら扉を開け部屋を見渡したがチャンミンは不在だった。




『いないのか…』











俺はこのままチャンミンの部屋の椅子に腰掛けながらチャンミンが戻ってくるのを待つことにした。


チラッ




さっきまで着ていた制服がきちんとハンガーに掛けられている。
俺なんてすぐに脱いでベッドに投げ捨てているのに。

それをチャンミンやウニョクが綺麗にハンガー掛けしてくれている。


俺、やばくない?
王位を拒んでいたくせに、誰も何も言わないことをいいことに任せっきりじゃん。


自分のことは自分でしないと。
横柄な王にだけはなりたくない。









ガチャッ




「わっ!!!」

『あ、チャンミン』

「ど、どうして私の部屋に王様がいらっしゃるのですか?!」

『話したいことがあって来たんだけど、チャンミンがいなくて…ちょっと部屋で待たせてもらったよ』

「……………左様ですか」

『勉強はちゃんとしたから!
宿題もTVXQ連合のことも』

「…………そうですか。ご立派ですよ」

『…………………』

「…………………」

『…………………』

「…………………」







沈黙!









「あの……」
『あのさッ』


あ、



「失礼しました」

『あ、いや…えっと……何?』

「いえ…王様が先に仰ってください…」

『……………執事のことだけど…なんでウニョクと交代したんだよ?俺に相談もなしに』

「……………それは…」

『それは?』

「……………………………嫌じゃないですか?」




嫌…?
何が?
俺の執事をすること?


そりゃあ俺の面倒なんてみるの嫌…かもしれないけど…





「王様は?」



ん?俺?



『え、何が?俺の?ん?』

「その、僕が………その…愛してるとか言ったので…///
きっと嫌なお気持ちになったのではないですか?なので王様の執事を辞める方向へ進めようと思ったのですが、力及ばずでございました。申し訳ございません」

『……………………』

「今後はなるべる王様のお近くには行かないよう努めます。なんなら王様が私の父に話していただければ」

『………何を話すのチャンミンの父親に』

「ですので、私を王様の執事から外せと指示していただければ、ッ!!!!!」






『嫌だ。絶対に嫌だ!』

「…………王…様? あの…///」





『チャンミン…』

「えっと…その、心臓が潰れてしまいそうです……///」

『大丈夫。そう簡単には潰れないよ』

「////////」




チャンミンの心臓の音がよく聞こえる。




理由は、

俺がチャンミンを抱きしめているから。







心臓に耳を当てていないのに、
ドクンドクンッと波打つ音が聞こえている。


チャンミンを抱きしめている理由は、
ウニョクに言われたからではない。




まぁ、もともとウニョクに感化されたといえばそうなんだけど、
でも実際は衝動的だった。


だってチャンミンが執事を辞めるとかなんとか言うから。









「王様……あの、離して…くだ、さい…//」

『もう少しだけ。チャンミンは嫌か?』

「嫌とかでは……その、恥ずかしくて///」

『なら大丈夫だ。誰も見てないから』

「そういう意味では!」

『チャンミン黙って』

「……………ッ」





チャンミンの匂いがする。
その匂いは落ち着くんだけど、
何故か身体が熱くなっていく。

その上さっきまで聞こえていたチャンミンの心臓の音を上回りそうなほどの俺の心臓音。


抱きしめている腕に段々と力が入っていく。





離したくない。















「………王様…苦し、いです」

『あ、悪い』



そう言われたら離すしかない。






『…………………』

「…………………」

『…………………』

「…………………」



背中に回していた腕をほどいたが、
今度はチャンミンの肩に手を置き20cmほどの距離にチャンミンの顔がある。


今にも火が出そうなほど赤くなっている顔で、絶対に俺の目を見ず目を伏せているチャンミン。


その瞳が見たくて、


『俺を見て』

「……………王様…ッ」



俺からの指示だからか拒むことはせず、
ゆっくりだけどチャンミンの瞳が俺を捉えた。 



あ、やばい。






チャンミンの大きくて丸い瞳がユラユラと揺れながら俺を見つめている。



その表情が俺の思考を停止させた。








『チャンミン!』

「………ッユノSま!!?!?!!!」




俺はチャンミンの唇にキスをした。




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