Yside

















愛している…?
チャンミンが俺を?





無理矢理背中を押されチャンミンの部屋から追い出された。

扉に向かって何度か名前を呼んだが、
再び扉が開くことはなかった。



唖然としたけれど、
廊下に居続けるのも良くないと想い自室へと戻った。












「私は…………王様を……愛しております」







何度も頭の中で繰り返されるチャンミンの言葉。


それだけじゃない。


チャンミンの表情や瞳も
声の色さえも脳内で再現してしまう。










『俺はどうしたら……』










愛している。

そんな感情俺は知らない。
好きという気持ちさえ、良くわかっていないのに…
チャンミンは更にその上を…






"何か飲みますか?"

『ウニョク……まだ俺の部屋にいたのか?』

"宿題を終えるまで見届けますよ。
コーラでも飲みますか?お好きですよね?"

『あ、ココア………
いや、やっぱりコーラをお願いするよ』

"承知しました"















『ウニョクはさ好きな人とかいんの?』

"……………今はいませんが、以前はいました"

『まじ?』

"…………………告白でもされましたか?
チャンミンに"

『!!!!!!』




ゴホンッ!!!!






『は?チャ、チャンミンって?
は?俺に?なに、え?』

"………………分かり易いですよ王様"

『!!!!!!!』

"王様は素直すぎます。長所ではございますが、民の前では平常心を心がけてください。
訓練で身につくと思いますので、チャンミンにも伝えておきます"

『チャンミン!!?!!?』

"……………反応し過ぎです。
で、チャンミンに王様のお気持ちはお話していないんですか?"

『お、れの気持ち?』

"………………告白されて…それだけですか?"

『っそんな事言われても追い出されたし』

"……………子供ですか?中学生の初恋か何かですか?"

『初恋って……』







恋ってなんだよ。
俺はわかんないよ。




少女漫画で読んだことあるけど、
あんなキラキラした感覚俺はまだ感じたことが無い。





チャンミンは俺に対して恋…つまりその…キラキラした感覚を抱いてくれてるってこと……だよな?








そもそもキラキラって何?
わからないなりに考えてみた俺のイメージでは、




好きな人のことを想って会いたいって思うこと?

好きな人に良く見られたいって考えること?

好きな人の笑顔が見たいとか?

好きな人が自分以外に笑顔を振り撒いたりしてほしくないって…思ったり、
自分だけを見てて欲しいって……思ったり…





チャンミンは俺に対してそう思ってんの?
いやいや、あのチャンミンが俺に?





俺がチャンミンに思ってるならわかるけど。









ん?








『は?!?!』

"いかがしましたか?"

『え?あ、なんにもない…』

"…………………"

『な、に?何で見てくんだよ…』

"いえ…お節介ながら……
チャンミンへのお気持ちにお気付きになられたほうがよろしいかと…"

『チャンミンの気持ち?』

"いえ、チャンミンの気持ちは告白をされたわけですのでお分りですよね?
そうではなく、王様のチャンミンへのお気持ちです。何度も言わせないでください"

『…………………ごめん…』




チャンミンへの?
へのって俺がチャンミンをどう想ってるかってこと?






あれ?





『………………ちょっとまって、』

"はい"





俺別にウニョクにチャンミンに告白されたなんて言ってないのに、
普通に告白された前提で話しが進んでないか?



『チャンミンの気持ち知ってんの?
俺、告白されたなんて一言も言ってないけど』

"誰がどう見てもわかります。
そもそもチャンミンの気持ちを私は知っていましたので。で、王様のあの反応ですから安易に告白されたことぐらい想像できます"

『…………チャンミンの気持ち知ってたのか……』

"子どもの頃から一緒にいましたから。
慕っていると頬を赤らめながら話してました"

『頬を赤らめながらって……』




頬を赤らめたチャンミンをウニョクは見ていたってことかよ。
絶対に可愛かっただろう…
ウニョクがその顔を見たってことに腹立つ。










『チャンミンへの気持ちに気付けって俺に言ったけど、そもそもウニョクは俺の気持ちなんてわかんねーじゃん。
知ったように言ってっけどさ』

"知っていますが?"

『は?俺、ウニョクに何も話していないけど』

"話していただかなくても分かります"

『はい?』

"先ほども申しましたが、王様の反応は素直すぎます。チャンミンのこと好きだって顔に書いてあるようなものでしたよ"

『好っ?!!!』

"何故ご自分でお気付きじゃないのか不思議でなりません"

『おっ俺のどこにそんな…ッ!!』





ハァァァ





ウニョクが大きな溜息を吐いたと思ったら、さっきみたいに口調が変わって一気に畳み掛けるように話しだした。




"そもそも、ユノが王としての職務を全うしようと思ったのは何故?チャンミンの笑顔が見たいからじゃない?
今日のチャンミンの風邪だって、風邪と知った途端に走り出して会いに行ったじゃないか。好きだから心配もするし、会いたいと思うんだよ"

『……………………』

"まぁ、決定的だったのは昨日の嫉妬だけど"

『嫉妬…?』

"気付いてないところが怖い。
俺はともかくクラスの奴らにまで嫉妬して…"

『嫉妬なんていつ……』



怖っ!
めちゃくちゃ睨んでくるじゃんウニョク。



"チャンミンがユノ以外に優しくしていて嫉妬しただろ?絆創膏と、ハンドクリーム"

『あれは!嫉妬とかじゃ…ウニョクにもクラスの奴にも触れさせたから。俺だけのチャンミンなのに』

"………重症だな。
俺だけのってチャンミンはユノのものなの?"

『俺の……執事だし』

"それ、俺にも感じる?
俺だってユノの執事だけど?俺がクラスの奴らに絆創膏を貼ってやってたら?
俺に触れたら?ユノの執事なのにって思うのか?"

『それは……』





思わない。





"黙るってことは、思わないってことだよな?"

『…………う、』

"つまり、チャンミンのことがユノは好きなんだよ"

『…………………』




俺がチャンミンに会いたいと思うのも、
チャンミンの笑顔が見たいと思うのも、
誰にも触れさせたくないと思うのも、



全部…







『チャンミンが好き……だから?』





本当に?






『にわかに信じられない…』

"まだ分からないのか?"

『いや、その…まだ恋ってどんな感情なのか知らなくてさ』

"まじか?!"




開いた口が塞がらないってこのことなんだとウニョクの表情で知れた。







"そしたら今から言う方法で恋か確かめてみな"

『方法?』





ニヤリ顔で俺を見たウニョク。
とんでもない方法を口にした。





"抱きしめて、キスしてみたらわかるよ"






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