Cside













「身体がだるい…」



やってしまった?




朝起きて第一声がこれだ。
引き出しにしまっている体温計を取り出し恐る恐る脇に挟む。






ピピッピピッ…











「……やっぱり……38度もある」




さすがに今日は学校に行けそうにない。
視界が若干ボヤけているように感じる。











ウニョクさんに、申し訳ないが王様のお迎えをお願いし学校を休む旨のメッセージを送った。




"大丈夫か?小粥とか持っていってもらうよ。王様のことは俺に任して"

「恐れ入りますがよろしくお願いします」



そうメッセージのやり取りをしたのを最後に僕はそのまま眠りについた。




















次に目を覚ましたら、僕の部屋に小粥と水、風邪薬が置かれていた。



「ウニョクさんが持ってきてくれたんだろうな…有り難い……」



時計を見ると10時過ぎ。
2時間ほど眠ったようだ。




「小粥…冷めちゃったね…」



まだだるさは残っているが、
立ち上がることはできるほどに回復したようだ。



「小粥は温めて食べよう」



そう思い小粥を持って調理室へと向かった。









最近、疲れが溜まっているのに体調管理を怠っていたツケがきたんだろうなぁ。
最悪だよ本当に。







"あら、チャンミンさん起き上がって大丈夫なの?"

「はい。少し眠ったら楽になりました。
小粥作っていただいたんですよね?
すみません。お手数お掛けしました」

"ふふ、王様に言われちゃったら作るしか無いわよ"

「王様が?」

"すっごく慌てた様子で、チャンミンに小粥を!!って。ふふふ、あんな王様初めて見たわ"

「………そうだったんですね…///」

"作っておくって伝えても、俺が待っていくから早く作って!って仰ってね"

「………////」

"愛されてますねチャンミンさん♡"

「愛……ッ?!!?!!」

"ふふ、顔が真っ赤ですよ♪"

「!!!!!!」






僕は熱くなった顔を手でパタパタと仰ぎながら、電子レンジの中でグルグルと回っている小粥を見つめた。


ユノ様が心配して下さった。
野球部のボールが当たったときは、
ユノ様をお守りしたから、とても心配してくださったと思っていた。


でも今回は僕自身の話。
それなのにユノ様は僕の心配を?






やばい。

どうしたってニヤニヤしてしまうよ。





















そうして温め直した小粥を自室で食べ置かれていた風邪薬を飲み、
もうひと眠りでもしようかと思った矢先に、









ピロンッ



"どう?体調は"



ウニョクさんからメッセージが届いた。
どうやら今は授業と授業の中休みみたいだ。




「2時間ほど寝たら少し楽になりました」



とメッセージを送ると、







プルルルルルッ


プルルルルルッ





「わっ!?!」


ウニョクさんとのメッセージで既読が付いたと思ったら、
いきなり電話が鳴った。






「もしもし…」

"チャンミン大丈夫?"

「あ、はい。まだ熱はありますが楽になってきています」

"そっか。まぁ今日一日はぐっすり寝てろよ?"

「はい。ご迷惑をお掛けし申し訳ございません」

"ん?俺?迷惑だなんて思ってないよ"

「ありがとうございます」

"………………………"



あれ?ウニョクさん?





「ウニョクさん?」

"ご自分で伺えばよろしいじゃないですか?"

「ん?ウニョクさん、なんて?」

"だーかーらー王様がご自分で聞いてくださいよ!"

「王様?」

"あぁ、チャンミン悪いね。王様がチャンミンに聞きたいことあるみたいなんだけど、"

「えぇ、なんでしょうか?」

”え?いいんですか?
チャンミン?なんか王様やっぱりいいみたい”

「………そうですか?
あの、小粥ありがとうございますと王様にお伝えいただけますか?」

"小粥……わかった伝えておくよ"ニヤニヤ

「ありがとうございます」

"あ、じゃあ授業始まるから切るよ"









ピッ







ユノ様が僕に聞きたかったことって何だったんだろう。
まぁ、結局聞かなかったってことは、
別に大した内容じゃなかったってことだろうから、いっか。
























スーッスーッ


スーッスーッ







なんだろう。
目を閉じているのに視線を感じる…



『チャンミンってもしかしてあの時の?』




ん?ユノ様のお声?




『だったら何故言ってくれない?』




なんか、お声が悲しんでいるような?





『チャンミン?』











パチッ







「ユ、王様……?」

『チャンミン、体調はどうだ?』

「え?あ、大分良いです」

『そか、』

「はい……」





ユノ様のお声で目が覚めた。


壁にかかっている時計を見ると、
時刻は16時を回ったところ。
ユノ様は学校を終え王室に戻ってきたようだ。


こんなにぐっすり眠るなんて、
薬の効果だろうか。





「王様……?」


目の前にいらっしゃるユノ様は眉間にシワを寄せ、少し悲しげな表情。



僕はそんなユノ様の表情なんて見たくなくて咄嗟に手がユノ様の眉間に向かって動いていた。



「眉間にシワなんて寄せないでください。折角の素敵なお顔が……」

『えっ?……///』

「あ、失礼しまし……ッ!」

『…………………』


「………………あの、」



ユノ様へ向かった僕の手を
ユノ様のお顔の横で握り止められてしまった。

そのまま5秒?10秒?ほど時間が止まっていたように感じたが、
ユノ様は一向に僕の手を離そうとしない。





あれ?また熱が上がってきたみいだ。
なんだかユノ様のお顔が近付いてきているように見え……





『チャンミンに聞きたいことがある』

「はい…」






切れ長のアーモンドアイが、
僕をジッと見つめている。








『あの時の少年はチャンミンなのか?』






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