Yside














イライラした。







チャンミンがウニョクに絆創膏を貼ってやっていた。



チャンミンがウニョクに甲斐甲斐しくハンドクリームを塗ってやっていた…











それぐらい自分でやれよウニョク。
俺のチャンミンを遣うなよ。






ん?俺の?




まぁ、俺のだよな…?俺の執事だし………?






























『チャンミン帰るぞ』

「え?あ、はい」

"王様?私もおりますよ?"

『分かってるよウニョク』

"なら良かったです。忘れられているのかと…不安になりました"

『何バカなことを』





放課後になり俺は真っ先にチャンミンに帰る旨を伝えた。
今までも別に放課後にグダグダ残るなんてことは無かった。


こうやって『帰る』なんてわざわざ言うなんてことも無かった。






どうしたんだろう…俺が発した言葉だけど、理由がわからない。










ガラッ!!!




"あ、良かったチャンミンいた!絆創膏持ってる?"

「え?持ってますけど」

"悪いんだけど、ここ擦りむいてしまってさ。1枚貰える?"

「勿論ですよ」




クラスの奴。
ジャージを着ているってことは部活動の最中と推測。
なんで保健室に行かずチャンミンに絆創膏をねだるんだ?




"悪いな。今朝チャンミンが絆創膏をくれたってウニョクから聞いてさ"

「遠慮なく申し伝えて下さい。
ここですか?家に帰ったら消毒したほうが良いですよ?」

"おう!サンキューな!"




チャンミンはクラスメイトの奴の肘に絆創膏を貼ってあげた。









ウニョクだけならまだしも、
クラスメイトにまでチャンミンは笑顔で絆創膏を貼ってやっている。







なんだよそれ。
それは……違くないか?





あーやばい。
イライラする…








『チャンミン行くぞ!』

「え?失礼しました。すぐに!」

"ユノ?執事を使って悪かったな"

『…………別に…』

「では、また明日」

"お疲れ〜"







執事を使って?
別にチャンミンはチャンミンだし。
謝られる必要はないし、
俺から承諾を得る必要もない。








"王様いかがないましたか?"

『何が?』

"何がって……そのお顔ですよ"

『顔?』

"不機嫌ですと言っているような表情ですよ?"

『は?』

"嫌なら嫌と仰っしゃればいいのに"

『はい?』

"え?本当にお気付きじゃないのですか?"

『だから何が!?』

"…………………いえ、何にもございません。
私の思い違いでございますね"

『…………………』

「ウニョクさん?」

"失礼しました。さ、車に乗りましょう"

『………あぁ、』






なんだって言うんだウニョクの奴。
気付いていない?
何に?
ウニョクはその何かに気付いたってことか?

じゃあ何故言わない。





やっぱりウニョクの思い違い……か?
























"到着いたしました"

『ありがとうございます』




車内では俺はスマホでゲームをしていた。
ウニョクもチャンミンも言葉は発しない。
なんとなく重い雰囲気だ。





『ウニョク、空気作りも執事の職務だ』

"お言葉ですが王様、空気を悪くしているのは王様です"

『は?』

"私もチャンミンも空気が悪いなどと感じておりません"

「ウニョクさん?!どうしましたか?」

『…………チッ!!わかったよ』

「王様……?!」





は?俺が悪いのか?
俺だけ空気が悪いって感じてるだと?
ウニョクもチャンミンも普段通り変わりないと?
























「王様、ココアでございます」

『…………………』

「勉強いかがなさいますか?」

『…………するよ』

「左様ですか。では少子高齢化の資料を纏めましたのでこちらをご覧いただければと思います」




なんか、チャンミンの態度がいつもと違うように感じる。
なに?俺のこと嫌いになった?

王として俺の態度を尊敬しなくなったってことか?





『やっぱ止めた』

「…………………」

『今日は勉強しない』

「……………承知しました。では、」




淡々と話すなよ。
勉強しなかったらいつも面倒くさいぐらいに「勉強は必要です」って言ってくんじゃん。
なに簡単に引き下がってんの?



あーイライラする。








『チャンミンってさ、誰にでもあぁなんだな?』

「………あぁなんだとは…?」

『誰にでもニコニコと良い顔して』

「ニコニコですか…?」

『絆創膏もハンドクリームもチャンミンがやるんだな?』

「え?」




駄目だ。
何を言っているんだチョンユンホ。
チャンミンが呆れたって顔をしているじゃないか。


子ども扱いされるだけなのに!





『チャンミンは俺の執事だろ?』

「えぇ左様ですが……」

『だったら!』

「だったら?」

『だったら………俺以外に触れるな。
俺だけのチャンミンなんだから!』

「……………………」

『……………………』





言っちまったーーーー





ガキじゃん。
我儘な王様って構図でしかないじゃん。










「えっと……それはあのクラスメイトのことでしょうか?」

『……………そう…、あとウニョクも』

「ウニョクさんも……ですか……」





チャンミンはうーんと手を顎に当てながら「なるほど…なるほど」とブツブツと言っている。






「承知いたしました」

『へ?』

「私は王様の執事ですので、
確かに職務を全うするって意味では、私の行いは間違っておりました。申し訳ございません」

『あ、いや…』

「明日からは気をつけます」

『……………えっと…うん。よろしく…?』

「私が至らなくて申し訳ございません」

『我儘…だって思わないのか?』

「だって私は王様の執事ですから」

『俺のチャンミンってこと?
俺だけのチャンミンってこと?』

「…………はい。私は王様のものですよ」ニコッ

『……………おう!それなら、うん良いんだ!』












チャンミンは俺のもの。
俺だけのチャンミン……










『お心を開いていただいて嬉しいです』ニコッ






ドキッ











チャンミン、なんで今笑うんだよ。
その笑顔は反則だろ。


眉をハの字に下げ、
左右非対称になる目。
あの子にとても似た笑顔。






「王様に必要とされているみたいで嬉しいです」





必要だよチャンミン。
俺にはチャンミンがめちゃくちゃ必要だよ。




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