Cside











「えっ?ニューヨーク転勤が終わる?!」

『うん。またいきなりだよなー』

「………………そう…なんだ…」

『チャンミナ?』

「さすがだね。ニューヨークに来て3年で成果を出すなんて」

『チャンミナ?どうした?韓国に帰るのが嫌なのか?』

「………そんなことないよ」

『……………なら、そんな悲しい表情しないでよ』

「………え?」





悲しい表情?僕が?





「ジョディさんも、アルバイト先の人達
もすごく良くしてくれたから…
会えなくなるって思うと…ちょっと寂しいって思ってるだけだよ」

『チャンミナ……そうだな。
みんな良くしてくれたもんな』







ユノヒョンがニューヨークに来て3年。
僕がニューヨークに来て2年が経った頃、
急にユノヒョンは韓国に帰国することになった。


もちろん理由はユノヒョンがニューヨークでの仕事を全うしたってことが1番の理由だ。
韓国によく報告書を送っていたみたいだし。



すごいよユノヒョン。











「明日にでもアルバイト先に伝えるね」

『帰国は1ヶ月後だから』

「わかった」

『韓国でもさ、』

「うん?」

『韓国でも俺たち一緒に暮らすよな?』

「あ、………勿論!」

『よかった。じゃあ家探さないとだ』

「僕は仕事も探さないと…」

『…………チャンミナ仕事を探すの前に、大事なことあるだろ?』

「………ん?大事なこと?」



















Yside






『なぁ、変じゃない?』

「大丈夫だよ」

『本当?あーー緊張する』

「ユノヒョンでも緊張するんだ…」

『当たり前だろ?俺をなんだと思ってんだよ…』

「緊張しているところなんて見たことないから」

『.....チャンミナに初めて声を掛けたときは緊張したけど?』

「...え、初めてってあの時...?」










そう、大学の庭にあるベンチに座って本を読んでいるチャンミナに話しかけるのは、
今までにないぐらいの緊張だった。



で、今はそれに匹敵するぐらいの緊張。











だって今日はチャンミナの両親に挨拶に行くから。






そりゃあいきなり息子さんをください!
なんてことは言わないけど、
でもきちんと付き合っている事実と、
同棲について許可をもらいたい。


結婚とかはできない世の中だし、
受け入れ難い関係だけど、



認めてはほしいかなって…思ってはいる。












ニューヨークから戻ってきてまだ1週間しか経っていない。
チャンミナは実家で過ごし、俺はホテルで過ごしている。

同棲の許可をもらったら即家探し。







なんて勝手に計画してるけど、
許してもらえるものなのか…?


チャンミナの両親は元教師だって話だし。
超が付くほど真面目らしい……

だぁーーーー緊張する!!!



















『…………………』

「…………………」

”………………………”




気まずい。



気まずすぎる空気。









「ユノヒョン、僕の父と母です」

『あ、チョンユンホと申します。
チャンミンさんとお付き合いをさせてもらっています!』




この気まずい空気を破ったのはチャンミナ。





"付き合っている…?男同士でか?"

「今どき変なことじゃないよ父さん」

『…………………』

"お前、男が好きだったのか?"

「そういうわけじゃない。
ユノヒョンだから好きなんだ」

『ぼっ!僕もチャンミンさんだから好きなんです。どうかお付き合いを認めてください!』

「いきなり付き合っているとか驚かせてごめん。でも...」

"あら、気付いていたわよ。チャンミンが男性と付き合ってることぐらい"

「えっ?!」

"お父さんも、ねぇ?"

「うそ…本当に?」

"あぁ"

「そんな、だって何も言ってこなかったし」





両親にはとっくにバレていたらしい。
チャンミナは信じられないって表情で、
大きな瞳も、口もこれでもかってぐらいに開いている。




"別にチャンミンが幸せなら私達は何も言わないわよ。ね?お父さん。
わざわざ聞くようなことでもないし。
チャンミン自ら言ってくれる日を待ってただけよ"

「母さん…」

"ユンホさん。チャンミンのことよろしくお願いします。ちょっとキツく言ってしまうところがあるけれど、根は優しい子だから。シャイなだけなの"

「母さんッ!」

『はい。わかっています。
チャンミンさんが誰よりも優しくシャイなことは。僕もそんなチャンミンさんだから好きになったんです』

"あら〜お父さん聞いた?
こんなイケメンに言われて私が照れちゃうわ〜"




チャンミナは容姿はお母さん似みたいだが、性格はどうやらお父さん似のようだ。





"ユンホ君。私はチャンミンとあなたが付き合うことを許すも何もありません。
ただ、この先チャンミンが傷付くことがあったらその時は言わせてもらうよ"

『傷付けません!』

"君だけじゃなく、世間とかまぁ色々も含めて、守れる自信はあるのか?"

『あります!
僕の命をかけてチャンミンさんを守ります!』

「ユノヒョン…///」

"あらあら、プロポーズみたいね〜"

「母さんっ!!!!」




顔だけじゃなく耳まで真っ赤になっているチャンミナ。
その可愛い耳に俺の手が自然と向かっていって、



「っユノヒョン…////」

『ん?』

「親が見てる…//」

『あ、悪い…』




さっきよりさらに顔を赤らめるチャンミナ。
まぁ両親の前でイチャついたら
誰でも恥ずかしいもんだろう。
特にチャンミナはシャイだから。





"あらあらラブラブね♡"

『ありがとうございます♪』

"仲が良いことはわかったが、
ほどほどにしときなさい"

「……………はい」

『失礼しました』

"お父さんは頭が固いの、気にしないでね"








性格が真反対の両親に、
なぜこの二人は恋に落ち結婚に至ったのか少し疑問に思ったけど、
人の人生だ深く考えないようにしよう。








そうして俺たちは無事に同棲を開始した。







チャンミナはすぐに就活をし無事に内定をもらった。
俺はニューヨークから戻りすぐに部長に昇格した。




"ユノヒョンが部長とか厳しくなるじゃ〜ん"


と愚痴るキュヒョンに、

『変わらないキュヒョンでよかったよ』

と自然と言葉を発していた。




"相変わらず人タラシっすね。
チャンミンも大変っすねきっと"ニヤリ




と一言余計なところも変わっていない。





『俺はチャンミナを傷付かせる訳にはいかないんだよ。ご両親と約束したから』



そう言った俺に一瞬目を大きくしたけど、
すぐにお得意のニヤリ顔で、

"ユノヒョンにとってのチャンミンの存在ってクソでかいっすね"

なんて当たり前のことを言うから、

『舐めるなよ。
地球よりデカいよ。見せてやれないのがもどかしいぐらいだ』

"あ、結構です。ほぼ見ているようなもんなんで"





チャンミナの存在。




悪いがキュヒョン、
お前は何も見てないよ。



だって俺の心の中にしまってるんだから。
そう簡単に見せないよ。




最大級に愛してるチャンミナ。
チャンミナの存在すべてが俺なんだから。





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