Yside










一体…なんだっていうんだ…?



キュヒョンのあの怒りの態度、
それにチャンミナも余所余所しかった。



昨日までは普通で、
俺が"特別"と言っても可愛い瞳を揺らしながらでも少し嬉しそうで…



そう思っていたのは俺だけ?
俺の勘違い?プラスに考えすぎた?












"おや?営業部のチョンくんかな?"

『っあ、お疲れ様です』

"お疲れ様、なにか審査部に用かな?"

『あ、いえ……なんでもないです…』

"シムくんに?"

『……はい。でも離席してるようなので大丈夫です』

"悪いね"












俺はトボトボと自席に戻ってきた。

"チョンさんどうしました?
かなりドンヨリしてますけど…"

『………………なんにもないよ』

"そー・・ですか?ならいいですけど"

『仕事しな』

"は〜い"





目に見えて俺は落ち込んでいるみたいだ。
キュヒョンのあの怒りよう…俺がなにかチャンミナにしてしまったのだろうか。


もしかしてチャンミナの涙の理由って






俺…?



まさか。
昨日の今日で何があるってんだ?







もしかしてキュヒョンが俺たちの過去を知って拒否したとか?
で、チャンミナに今後関わらないように言ったとか?


それなら理解できる。
キュヒョンと俺との板挟みになってしまったチャンミナのことだ、
泣いてしまうかもな…




もしそうなら、
俺はキュヒョンを説得すればいいのか?

















暫くするとキュヒョンは自席に戻ってきたが、俺の顔など一切見ない。
まるで俺の存在など無いかのようだ。














『話がしたい。今日食事にでも行こう。
19時に会社ロビーで待ってる』


俺はキュヒョンにカトクを送った。
既読にはなったが返事はない。
対面の席なのに、チラッとも俺を見ない。


この様子じゃあ…来ないかもな。





























19時になる前にキュヒョンは颯爽と"お先です"と行って退勤した。
内心やっぱ無視するか…と思っていたけど、でも待ってるとカトクした手前約束を俺がすっぽかす訳にはいかない。


期待はしていないが、
俺は急いでロビーへと向かった。















『……………いた』




そこにはキュヒョンだけでなく、
リュックの肩紐をギュッと握っているチャンミナも一緒にいた。


『悪い待ったか?』

"全然です"

『チャンミナも来てくれたのか…?』

"俺が呼びました。当人無しに話なんてできませんから"

『……………そ、か』

"行きましょう"




キュヒョンは率先して駅前の居酒屋へ向かい、その後ろをチャンミナが伏し目がちでついて行っている。




『チャンミナ……お疲れ』

「…………………」ペコッ




チャンミナは俺の目を一切見ることなく、
申し訳ない程度に頭を下げた。



本当に俺はチャンミナに何をやらかしたんだ?
















『……………申し訳ない』

"何に対してですか?"

『チャンミナと……別れたこと』

"…………………"

『言い訳にしかならないけど、
あの時は別れるしかできないって思っていたんだ』

"…………………"

『すごく後悔してるし、だから』


「もういいよ…」

『チャン、ミ…ナ?』






それは怒りを含んだ声だった。





『いいって…どういう意味だよ?』

「そのままの意味だけど?」

『どうしたんだよチャンミナ。
昨日までは何も怒ってなかったじゃないか……キュヒョンに何か言われたから?』

「は?キュヒョンは関係ない」

『おかしいじゃん。
別れたことで怒ってるなら昨日までの態度から急変する意味が分からない』

「…………………」



そうさ、
別れたことに怒っているなら、
再会したときから怒っているはずだ。
昨日もその前もいつものかわいいチャンミナだった。



"単刀直入に聞きます。
別れた理由って婚約者がいるからじゃないんですか?"

『婚約者?』

"俺は別れたことを怒っているわけではありません。
婚約者がいるにも関わらず、
ずっとチャンミンを騙していたから、"

『ちょっ、は?』

「いつから?」

"チャンミン…"

『いつからって……』

「付き合ってる最中?
それとも何?付き合う前からとか?!」

『は?ちょっ!』

「いつから僕を、騙してたの?
ずっと僕のこと馬鹿にしてたんでしょ!!」

『ちょっ待てって!!!』

「………………」ビクッ!!






フゥゥゥ…

俺は大きく深呼吸をした。






『悪いんだけどさ、
いったい何の話?婚約者って何?』





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