Yside










"え?チョンユンホとシムチャンミンが恋人ってどういうこと?!"

"意味分かんない意味分かんない"

"でも今日二人で教室に入ってきたよね…?"

"確かに。嘘ホントにそうなの?"







ザワザワザワザワッ



ザワザワザワザワッ










"チャンミンそうなのか?"

「ん?」モグモグ




俺が何も答えないからか、
それとも俺に追い質問ができないからか、
それともただ単にチャンミンが近くにいるからか、



理由はどうでもいいが、
チャンミンがさっきまで話していた男が直接チャンミンに確認をした。


チャンミンはピザを食べるのに必死で、
この教室の空気に全く気付いていない。





どんだけ空気読めないんだよ。





もとい、






どんだけピザに夢中なんだよ!












「ユノさん?僕たちのこと聞かれましたか?」

『………あぁ、』

「すみません。僕食べるのに必死で…聞いていませんでした……」シュン…



そうデカい身体をこれでもかってほど小さくしながら、
教室の端にいる俺の側にトボトボと近付いて来たチャンミン。





『別に、チャンミンは悪くねぇよ』

「…………ありがとうございます…」

『で、なんか俺たちが恋人関係なのかって聞かれたんだけど?
なんでそうなるわけ?』

"え、っと……その………"




ちょっと睨みを効かせ、
聞いてきた女性を見たら案の定ビビったように声を震わせた。





"シムチャンミンが有名な写真家として活動してるって聞いて、
その上イケメンになってるし、
どんな写真撮ってるのかなーって興味本位で調べたら……これが出て……きて"



あー






なるほど。
あの写真が検索に出てきたってわけか。
















あの、



俺が上半身裸のどう見ても情事後の写真。
その写真をスマホの画面に映し出し、
女性は俺とチャンミンに見せてきた。




まぁこれを見たら恋人と思うのは無理もない。
週刊誌にまでもそう感じ記事にしたんだから。




なんなら、写真の関連情報から週刊誌のネタが女性のスマホに出てくるかもな。






だからといって容易に認めるわけにはいかない。













『……………別に俺とチャンミンは…ッ』

「恋人関係です」




"え、"

"嘘…だろ?"











ザワザワザワザワッ



ザワザワザワザワッ





『おいっ!』

「本当のことなんですから、
隠す理由なんてありませんよユノさん」

『だとしても……面倒な事が増えるだろ』

「僕は別に気にしません」

『………………あっ、そ…うかよ』








"いつから?"

"どっちから?"

"キスとかするの?"

"やめてよ、想像しちゃったじゃない"







勝手に盛り上がってる元クラスメイト達を横目に、
蚊帳の外状態の俺とチャンミン。






なんだかなー。








"ちょっと!二人を放置しないの!"

"あ、ミニョン。ごめん…"

"二人の話を聞きなさい。
勝手に妄想膨らませたら可哀想でしょう"

"はーい"

"さ、話してよシムチャンミン。チョンユンホくん"

『何を話せっていうんだよ…まったく』

「ありのままを話しましょうユノさん」

『ありのまま…』







高校時代に特段仲が良かったわけでもなければ、
今もつるんでいる奴等でもない。
そんな奴らに何を話すと言うんだ。







「僕たちは恋人関係です。
もうすぐ付き合って2年になります」

"そんなに…"

"好き……なの?"

「もちろんです。
僕は高校の時から好きでした」

"まじ?!こんなヤンキーを?"

「皆さんはヤンキーと仰ってましたが、
ユノさんが何か皆さんに害を与えましたか?」

"別になかったけど……でも他校と喧嘩したって噂もあったし、"

「ただの噂ですよね?
確認もしないで噂だけでユノさんを悪者扱いしていましたよね?」

『チャンミン……』

"酒やタバコだって…"

『それも噂でしかありません。
実際に見ましたか?ユノさんがお酒を飲んでいる姿を、タバコを吸っていた姿を』

"いや、それは……だって、な?"

「全部全部噂でしかありません。
それを確認もせず噂があたかも真実かのようになり、皆さんはユノさんを悪者にしていました」

"………………………"

"………………………"



「ただの噂のせいでユノさんがどれだけ辛かったか、寂しかったかわかりますか?」

"………………………"

「全員から敵みたいな扱いをされるって想像できますか?」

"………………………"

「苦しい想いを口にするこもなかったユノさんはとても強い方です。
僕にとってヒーローでしたよ」

『チャンミン…』




まさかこんな、今更なのに、
俺の苦しみ…に気付いてくれていたなんて









"でも、だからって好きになる?"

"そーよ!憧れとか、尊敬とかなら……理解はできるけど"

「それだけではありません!
僕は、僕の……ッ」

『チャンミン!』

「………ユノさん…?」

『何でもかんでも話す必要なはいから』

「……………はい…」





多分だけど、チャンミンは自分の家庭環境について話そうとしたと思った。
そんなことまで親しくない奴等に話す必要はない。
自分のあまり知られたくないことまで話して、
俺たちのことを理解してもらう必要なんてないんだから。









『別にお前等に理解してほしいだなんて思ってねぇし、許可もいらねぇだろ』

"………………………"

"………………………"





俺の一言に何も言えなくなった奴等。




もう俺は帰るとするか。
やっぱり俺は昔と変わらずこの教室の空気を乱す存在みたいだならな。



















『…………俺のせいで楽しい楽しい同窓会を壊して悪かったな。
俺はさっさと消えるから後は楽しんでくれよ。チャンミン終わったら連絡しろよ』

「ユノさんっ!」











ガラッ











バンッ












"悪かったわねシムチャンミン"

「いえ、ミニョンさんのせいではありませんから謝らないで下さい」






"威圧的な態度は変わらないわね"

"だからヤンキーって言われんだよな"






廊下に出ても聞こえる声に、
何年経ってもやっぱり俺にはこの高校に居場所は無いままなんだって痛感した。







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