Yside



 







"チョンユンホ
私はあなたが好きだったの"

『…………………』

"だから同窓会に来てほしかったのに、
案内状も出せずにいた。
でも今日こうしてー"

「ちょっと待っーーーーた!です」

"なによ"

「何堂々と告白していますか?おっ?!
僕たちの関係を知ってるっておっしゃいましたよね?おっ?!」

"キスしてた関係のこと?"

「そうです!」

"キスしてたってだけじゃない。
別に付き合ってたわけでもなかったでしょ?"

「あの時はっ!です」

"じゃあ今は?"

「恋人関係ですっ!おっ?!!」

"ふーん"

「ユノさんも黙ってないで何とか言ってくださいよー」

『…………………ん?あぁ…えーと……』

「ユノさんっ!はっきり言ってください!!」

『わかってるよ。
悪いがチャンミンと付き合ってんだ』

"みたいね"

『だから、』

"なんか勘違いしてない?"

「勘違い?」

"好きだったとは言ったけど、
あくまで過去の話よ。私だって今は恋人がいるわ"

『え……』

「え……」





うわぁぁ勝手に勘違いして何振ろうとしてんだよ。
調子乗ってる奴って思われたじゃねーか。


チャンミンがなんか煽るから、
その気になってしまった。












"私を振ろうとした罰として、
同窓会に参加してよチョンユンホくん。"

「いい案ですね!そうですよ。
申し訳ないと思うなら参加ですよユノさん」

『調子良すぎるぞチャンミン』

"シムチャンミンがこんなキャラだったとはね…"







半ば強制的に俺は同窓会の会場となる教室…つまり中退はしたが高校3年の時に在籍していた教室へと向かわされた。



この教室は、




高校生だった俺とシムが最後にキスをした場所だ。



















ガラッ


"みんな集まってる?"

"パクミニョン!久しぶり〜"

"主催者が遅れてどうすんのよ"

"ごめん♪連絡が取れなかった人が来れることになって、色々話してたの"

"連絡が取れなかった人?"




「お久しぶりです」

"……………………シムチャンミン?"

「覚えててくださいましたか」

"えっ?!やだイケメンになってる?!"

"知らないの?有名な写真家になったんだよ"

"知らない…"

"ねぇねぇサインちょーだい♪"

"一緒に写真とりたい!
インスタに上げてい?"

"私も!"
"俺も!!"



「えーと……あの、その……」

『サインは良いが、写真は駄目だ』




"…………え、"

"……………チョン…………ユンホ…?"


「ユノさん…」



"なんであいつがここにいるんだよ"

"中退したのに来るとか頭おかしくない?"

"誘ったやつ誰だよ"





俺の登場で元クラスメイトたちは驚きと、
嫌悪を露わにした。



想像通りの反応に、
笑うことしかできねぇ。







「ユノさんはッ!!!」

"チョンさん、雰囲気変わった?"

「え?」




顔も名前も覚えてねぇ…
いや、覚えてないも何もそもそも当時から知らない。
そんな女性がボソッと声にした。




"なんか今は怖いって全然思わない。
むしろ好青年に見える"

"……………まぁ、確かに…
でもヤンキーだったってことには変わらなくない?"

"過去じゃない。
私は今が大事だと思う"

『……………………』



俺の話を俺以外が勝手に話している。


変な感じだ。










"そういえばチョンくんってどうして退学になったの?"



さっき俺を好青年と言った女性が聞いてきた。
他の奴らは不味いことを聞いたと思っているのか、
少し怯えながら、でも興味があるんだろう耳と意識だけ俺に向けている。









"学校で何か事件が起きたわけでもなかったし、
他校との喧嘩話とか、そんな噂はなかったと思うんだけど?
結局わからなくて、お酒とかじゃないかって勝手に決めちゃってたんだよね"

「……………………」







そうか。
チャンミンとキスしていたのがバレてたわけじゃなくて、安心した。



もしそんなことがバレていたら、
チャンミンが学校生活を送り辛かっただろうから……



『……………別に。
ただダルかったから辞めただけだけど』

"そう……だったんだ"




"ほら皆!チキンもピザも届いたよ!
まずは乾杯してから各々話してよね"

"そうね、ごめんなさいねチョンくん"

『別に…』







不思議だ。







俺が元クラスメイトと話すだなんて。










俺を怖がっていたはずなのに、
俺を避けていたはずなのに、
俺を犯人としか思えなかったはずなのに、






勿論今でもそう感じている奴らの方が多いし、








でも、やっぱり話しかけてくれるって、

















嬉しい…






かも。




















"えっ?!!!!"

"何?急に大きな声出して、驚かさないでよ"

"ごめん……でもほら、コレ見てよ……"

"えっ?!?!!?!"





俺は教室の端の方で届いたチキンを食べていた。
チャンミンは委員長だからなのか、
元クラスメイトの男どもと何やら盛り上がっている。




『何が僕には友人がいなかっただよ。
ちゃっかり盛り上がってんじゃん』



笑うと左右非対称になる目。
高校の時には知らなかったが、付き合ってから知ったチャンミンの癖。



それをほかの男の前でも見せんだ……





『きもい嫉妬はやめよ…』






そう独り言を言い、
チキンに手を伸ばそうとしたら、
またも見知らぬ女性からの視線を感じた。





その視線に視線で返したら、
スッと視線を逸された。





『なんなんだよ一体……』







やっぱり俺は場違いなんだよな。
昔ほど居心地の悪い教室ではない。
でも決して歓迎されているとは思えない。








"あの……チョンくん……"

『………………なに』

"あの、その…………"

『…………………』

"早く聞きなよ"

"わかってるけど…"

『………………なに』

"その…、えーと"

『……………………』

"チョンくんとシムチャンミンって恋人なの?!"

『………………は?』







意を決して発しられた言葉に、
俺は開いた口が塞がらない。




遠くの方で、
パクミニョンが手で口を抑えながら笑っている。







チャンミンを見たら、
大きく口を開きながら今まさにピザに被りつこうとしている瞬間だった。




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