Yside








「チョンさんの味って幕の内弁当の味でしたか…」

『は?』



ペロッ



「うん、やっぱい幕の内弁当の味です」




シムは自分の唇を舌でペロリと舐め、
一人で納得し話を終えようとした。



いや、それはさっき幕の内弁当を食ってただけってわかるだろ普通。






『お前さ分かるだろ今食ってたからだってことぐらい』

「じゃあ僕からは鮭の味がしましたか?」

『え?…………んなのわかんねーよ!///』

「えー残念です」




んなの、意識してねーと味なんてわかんねーだろうが!





シムはよっぽど俺の発言がお気に召さなかったのか、リスやハムスターみたいに頬を膨らませ拗ねている。





子どもなんだよ。















チュッ







『やっぱりシムの味は鮭だったわ』



一瞬の隙を狙ってシムの唇に口付けた。
すると花が綻ぶように瞳をキラキラとさせ、



「両方の味を味わえて一石二鳥ですね!」





一瞬意味がわからなかったけど、
シムのことだ……


鮭弁と幕の内の味を味わえて一石二鳥だと言っているに違いない。



























"おかえり"

『ヒョン…ただいま』

「ソンさん…どうして」

"いやーユノを送った身としては迎え入れるのも必要かと思いましてね"

「送った…?」

"あんな必死なユノ初めて見ましたよシムさん♪"

『ヒョン!!』





シムと一緒にシムのスタジオに戻ってきた。
あの写真について問い詰める必要があったから。


そしたらホジュニヒョンがまだスタジオにいるじゃねーか!
あれから何時間だ?
軽く6時間は過ぎてるぞ?!



"この写真をどう生かそうか悩んでいたんですよ"

『どう生かそうってシムが決めることだよ』

"一応空間デザインの資格なんてものを持ってるし、この写真を最大限生かせれるデザインを考えてたんだよ"

「………………ありがとうございます」

"すごく素敵な写真なんでね"



いい風に言ってっけど、
要はヒョンはずっと俺の横顔の写真を見てたってことだろ?
恥ずいとしか思えねぇ!





"この写真どうしてタイトルが最愛なんですか?"

『ちょっ、ヒョン!!』

「どうして…?
そんなの何もかもが最愛だからですよ」ニコッ

"ほ〜例えば?"

「これは高校時代のチョンさんです。
屋上で二人だけの空間が僕にとっては毎日が愛おしい瞬間でした。
この屋上にさえ行けば幸せで、
どんなに家で辛いことがあっても、
どんなに塾に行きたくないと思っても、
すべて忘れられる瞬間でした」

『シム……』

「それに僕にしか見せない顔なんですよ」

『はぁ?!』

「そうでしょう?
教室だと皆が敵って感じで目をキッとしてました。
でも屋上だとその目が丸く可愛らしくて、僕だけにしか見せないチョンさんです」

『そんなつもり……じゃ、』

「だから"最愛"なんです。
僕にとってはこの無防備なチョンさんの横顔が」

"へ〜"ニヤニヤ

『なんだよヒョン…』




顎に手を添えながら俺に向かってニヤニヤとするヒョン。
この上なく恥ずかしいし、
俺にもキャラってもんがあるだろーが!




"ユノが愛されてて俺は嬉しいよ。
シムさん、ユノをよろしくお願いします"

「…………………」

"シムさん?"

「あ、すみません。
同じことをおっしゃられて…驚きました」

"同じこと?"

「ヒチョルヒョン…僕の従兄弟なんですけど、ヒチョルヒョンも僕にチョンさんのことをお願いされました」

"ははは、ユノは皆に愛されてるんですね"

『みんな俺を子供扱いしてんだろ』

"まぁな、ちょっと目を離すと何しでかすかわかんねーからな"

『なんもしねぇーってば!!』
































"シムチャンミンさん、
今まで空のお写真ばかりでしたが、
今回の展示会で初めて人物写真をお披露目されましたが、どういった心境の変化でしょうか"

「なにも変わったことなどありません。
今まで通り僕の好きなものを写しているだけです」

"お写真の方は男性ですよね?
どういったご関係でしょうか"

「関係?それは……………」













ピッ!!




『あっヒョン!なんでチャンネル変えるんだよ!』

"地上波で愛の告白聞いてる暇があるなら手を動かせ"

『愛の告白だなんて思ってないよ!』

"どーだか。
期待の眼差しでテレビに食い気味だったけど?"

『そんなことない!』

"関係なんて聞かなくても分かってんだろ!
ほら手を動かせー"

『たく、人使いが荒いんだから!』

"黙って仕事ー"

『へーい』





先週からチャンミンだけの個展が開かれた。
今までは空の写真をいろんなアーティストが参加する展示会で披露していたが、
人物はこの個展が初めてだ。


あ、今更だけど呼び方を変えた。
確か半年ぐらい前に。
俺はチャンミンと呼び、
チャンミンは俺をユノさんと呼ぶ。
タメだし、ユノと呼ぶように言ったが、
変な感じがすると断られた。


別にいいけど。





シムとチョンさんより断然いい。










で話を戻すと、
何度も評価を受けたチャンミンは満を持ちしてチャンミンだけの展示会、
つまり個展を開くまで上り詰めた。


大注目の中、人物写真が目玉作品として展示されたのだからマスコミも興味を示すのは至極当然のこと。






その写真ってのが、
例の俺の横顔写真。












しかもマスコミにとっては格好のネタになる理由が……










「"最愛の人"と応えましたけど?」

『チャンミン…』

"お久しぶりです。
すっかり時の人になっちゃってますね"

「いえいえ」







普通に俺の務めている事務所、つまりホジュニヒョンの事務所に入ってくるし、
ヒョンも何も気にしていない。
ヒョコッと扉から顔を出し、
不思議に思うことなく会話が始まる。




有名になろうが、
マスコミの格好のネタだろうが、
チャンミン本人は何も気にしていない。






『少しは気にしてほしいけど』




「ん?」

『いや、』





写真の才能も然り、
このビジュアルとスタイルだもんな。
マスコミもアイドルでも追ってんのかって思うほどの記事だ。
"王子"だの"貴公子"だの、
そんな男が同じ男を最愛と名付けた作品を発表したんだ週刊誌も良いネタ発見って感じだよな。







ピッ!!






"最愛ってどういう……恋人ってことですか?"

「ふふ、それは秘密です」

"シムチャンミンさん!そこをなんとか"

「それでは個展でお待ちしています」

"ちょっ、シムさん!シムさーーん!!"





"テレビの取材でこんな含んだ言い方だと世間にバレるのはすぐですねシムさん"

「僕はバレてもいいので」

"『えっ?!』"

「え?何か変なことを言いましたか?」

『バレていいのか?』

「もちろん」

『バレたら面倒だぞ?
マスコミは追い回すし、チャンミンのファンは減るかもしれないし、それに!』

「そもそも僕は芸能人でもアイドルでもありません」

『でも人気商売だろ?』

「人気商売ですが、そんなことで減るファンは僕自身の"写真"のファンではないので去っていただいて結構です。自身の理想を押し付けられても困りますからね」

『…………………』

"じゃあマスコミに恋人だと言わないのは?秘密にする理由はなんですか?"

「そんなのユノさんが嫌でしょう」

『俺?』

「はい。ただでさえお顔を展示してしまって申し訳ないと思っているんです。
その上、恋人だなんて言ったら…」

『…………………』




チャンミンって、




もしかして、









『めちゃくちゃ俺のこと好きなんだな?』

「はい?当たり前のこと言わないでください」

『当たり前…そうだな』

"イチャイチャするなら帰れ!定時だ"

『あ、……………じゃヒョン帰るよ。
お疲れ様でした〜』

「でした〜」

"はいはい。
あ、シムさん個展おめでとうございます"

「…………ありがとうございます」ペコリ
















「あ、コンビニ寄ってもいいですか?」

『あぁ、入口で待ってる』

「はい」




今日はチャンミンが俺の家に泊まる。
つまりヤるってこと。





初めてヤったのは、
半年前。



チャンミンは男と経験があると言ってはいたが、
ほぼマグロ状態でウケた。
あれだけ自分は経験ありだって言っていたのに、
いざってなったら硬直したチャンミンにめちゃくちゃ焦ったけど、
なんだか愛おしくなったのを今でも覚えている。



で、何故か男と未経験の俺がリードしたことに不満だったのか、
いつか自分がリードすると張り切っている。




純粋なんだか小悪魔なんだか。



















"あの〜"

『ん?』

"失礼ですがシムチャンミンさんのお写真の方ですか?"

『え?』

"あ、失礼しました!似ていてつい……"

『あ〜まぁ……そうですけど…』

"えっ?!本物?!!かっこいい!"

『………………』

"写真ではすっごく綺麗なのに本物は格好いいなんて!"

『はぁ、どうも…?』

"写真いいですか?"

『え、それはちょっと』

"じゃあ連絡先!LINEのIDは?彼女いますか?"

『ちょっ!』



20代前半のスレンダー女子と言うのか?
ストレートな髪にがっつりアイメイク。

にしてもものすごく積極的?というか、
初対面でよくもまぁここまでグイグイと、


俺はなんか現実見無く感心していると、






「すみませんが、用事がありますので」

"わっ!シムチャンミン!"

「ほら行きますよ!」

『えっおい引っ張るなよ』



"キャーーーっ"





俺の右腕をガッツリ握り真っ直ぐ前を見ながら進むチャンミン。
後ろではさっきの女性がワーキャー騒いでいる。





『おい、俺の家は逆方向だけど?』

「………………」

『ま、いいけど』

「……すみません」

『急にどうしたんだよ』

「…………そんなの…あの女性がユノさんをナンパしてたから」

『ナンパっ?!』

「そうじゃないですか!
連絡先を聞くだなんて!その上格好いいって言ってました!!」

『…………まぁ確かに言ってた…けど』

「すみませんね。逆ナンの邪魔をしてしまいました」

『……………本気で言ってんの?』

「………………言ってません」

『素直だな』

「今日は僕の家でもいいですか?」

『おぉ』




俺の家の方向と逆っつーことは、
チャンミンの家の方向ということになる。




ゴムもローションも無いチャンミンの家。
さて、今日はどうしようか……




*********
行ってきました!
ペンミ初日!
やっぱり東方神起。
さすが東方神起。
ありがとう東方神起。

そして何故か幕張の席運がいい私w


行ける方々も、行けない方々も、
心の中でWe are T!


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