Yside








「ちょっと地元に戻ります」





そうシムからメッセージが来て俺は動揺が隠しきれない。



なんでだ?
なんの用でとか聞いてもいいのか?




あれか?
喧嘩して実家に帰らせていただきます。みたいな?




ってアホか。
俺たちは別に付き合っているだけなんだからシムが勝手に実家に帰ろうが焦る必要は本来ない。



本来ないのだが………








"ユノ!なんかシムさんのスタジオに荷物が届いてるみたいだぞ"

『だから?』

"入口前に宅配業者が来てるから受取ってほしいみたいなんだ"

『勝手に受け取れるわけないじゃん』

"なんか、留守の場合はユノが受取るように手続きしているみたいだぞ"

『んなわけっ!』

"ウチの事務所に宅配業者から電話が来ているのがその証拠だよ"

『………………』




ホジュニヒョンは受話器を俺にドヤ顔で見せ、
顎で早く行けと指示している。





つーか、そういうことは伝えとけよなシムも。





















"ありがとうございま〜す"

『ご苦労様です…』




爽やかなブルーの制服に、
爽やかな笑顔で俺なんかに営業スマイルを拝ませてくれた宅配業者の兄ちゃん。



事務所からシムのスタジオが近くて良かった。
忙しい宅配業者を長時間待たせるわけにはいかないからな。





『しかしデカいな』

"本当にな"

『っ?!?!!!?ヒョンっ!!!』

"いい感じのスタジオにできてるじゃないか"

『なんでここにヒョンが?!』

"そりゃあユノの仕事を見ておかないと。
これがユノ一人でやり通したデザイン第一号なんだから"

『……………まぁ、そうだけど…』




ホジュニヒョンは、
シムのスタジオに勝手に入ってきて、
四方八方チラチラ…いや、がっつり見渡している。


ヒョンに見られるとなんだか照れくさい。




親に通信簿を見せてるみたいな感覚。
ま、高校時代は母ちゃんが通信簿を見る気を失せて見せろとは言わなくなったけど。






"届いた荷物を開けよう"

『さすがに開けるのはどうかと… 』

"さっきシムさんから箱から開けて壁に飾ってほしいとメールが来た"

『は?俺にはメールなんてねぇのに?!』

"まぁまぁそういう束縛じみたことを言うから嫌われたんじゃないの?"

『嫌われたんじゃない!』




俺の傷をエグッてくるヒョンの言葉が…


苦しい。



















"ユノ……これって…………"

『……………ヒョン…これ…』




ヒョンがシム宛に届いた大きな荷物を開け取り出した。
それは写真を縁に入れたものだったんだけど、




"ユノ……お前、愛されてるな"

『…………////』

"いつの?"

『………高校んとき…かな…//』

"お前、幸せ者だな"

『…………………』





ヒョンが取り出した縁に入った写真には、
俺の横顔がデカデカと写されていた。







こんなん何時撮った?
シムの奴なんにも言ってなかったし、
こんなデカくして飾ろうだなんて…
恥ずかしいじゃねぇかよ。





"最愛"

『ん?』

"写真のタイトルだよ、そう記されている"

『最愛……』

"惚気てもいいぞ?聞いてやるから"

『………いや、それより俺シムに会いに行ってくる!』

"会いにって地元か?"

『うん!!』









俺はソウルに来てから、
一度も帰っていない地元にシムに会いに向かった。
KTXに乗って1時間ちょっと、
まさか財布とスマホだけで地元に戻ってくるなんて思いもしていなかった。






















『……駅前が変わってる』



地元駅に到着するも、
俺が知っている風景ではなくなっていた。
駅前の小さな八百屋がコンビニへと変わってるし、バスのロータリーなんかもできていた。





『つーか、俺シムの家とか知らねぇし』



シムに会いに来たのはいいが、
何処をどう探したらいいんだ?







左右見渡したところでシムがいるわけでもない。
一体どうしたら……










"ユノ!!"

『……………っ!ヒョン!!』

"おめー何急に帰ってきてんだよ!?"

『あーちょっと諸事情で…』ハハッ…





先輩で俺がソウルに勝手に行ってもちょくちょく連絡をくれ心配してくれているヒチョルヒョンと駅前で偶然会った。



"諸事情だと?……ユノヤ、いつから俺様に隠し事をするようになった?"

『……いや〜なんつーか……』ハハハ…





さすがにヒョン相手でも言えない。
シムの初めて問題で喧嘩になり、
何の用で戻っているかわからないシムを追いかけてきた…なんて流石に言えない。





"ユノ…まさか、"

『な、なにヒョン?』

"シムを追いかけてきたのか?"

『えっ、』

"ん?なんだ違うのか?"

『なっ!なんでそう思ったのヒョン?!』




俺は的中すぎるヒョンの推理に驚いた。





"だってさっきシムを見たから"

『……………え?』

"確かシムもソウルに行ってるはずなのに珍しいもん見たなーと思ってところに、
ユノまでいるんだからそりゃあ色々勘付くだろ…"

『どこで?』

"えーどこだっけか…"

『ヒョン!まじで思い出して!!!』

"……………………"ニヤリ



あ、やば。
ヒチョルヒョンの変なスイッチを押してしまったかも…




"俺様にお願い事をするっつーのにその態度とはな"

『え、っと……』

"まぁ先ずはユノとシムの関係から話してもらおうか"

『!!!!!』



ただでさえ急いでるっつーのに、
ヒョンに絡まれてしまった!!



『ヒョン、俺ちょっと急いでるんですけど!』

"ほ〜ユノが俺様にそんな態度…へぇ〜"

『………………』



これはもう抜け出せない感じ…だ。
あぁヒョンお願いだよ……。



俺、必死なんだって!!まじでっ!?!








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