癒しびと Ⅳ

 

 

 

 

 Eva  残照

 

                         

                 

 

 

 

  カーニバルの練習をする太鼓の音が遠くで響いている。 

瀬川のなかで、不協和音を伴い、様々な思いが巡っていた。  

その心はいま、氷のように凍てつき、鉛のように重かった。

 

  ・・一週間前のことだった。ここコパカバーナ海岸のカフェのテラスで、遠くけぶる海を眺め、潮の香りのする中、ひとり白いカップのコーヒーを啜っていた。横から、聞き覚えのある声に呼びかけられた。

” やあ、Noboruじゃないか。・・驚いた。元気かい、・・どうして君がRioに?”

 

 東欧の医学生時代の友人ジュリオだった。彼も当時、ブラジルから東欧へと留学していた。瀬川と年齢も近く、リオの理工系の大学を出た修士だった。もうずいぶん会っていない。卒後、彼は大学の生物物理教室で研究しながら、外科を研修していた。

瀬川は握手をして、ジュリオに、リオで出会ったドクター・フリッツの話をしてみた。そしてこれまでの長い旅の途上であったことをも・・。 ジュリオならわかってくれるはずだと思った。ふたりはロマンテイストで、学生時代にも互いに似たような奨学生の境遇で、陽気なジュリオとは話が合った。文学や自然科学の話もよくした。いつもの瀬川の夢想に、彼は専門の物理学からアカデミックな助言もしてくれた。そしてまた、辛い時には、友として黙ってそばにいてくれた。

ジュリオは言った。

 

”・・君らしいな、 夢見る’ムイシュキン’くん。 むかしのままだ。

フリッツは、ここでは皆に尊敬されている。この国は大らかで、特に’マジック’には寛容だ。

貧困から逃れられない多くのものたちにとり、彼は魂と命の救い主であり、人生の導き手であり、・・恩人だ。 ただし、一部の我儘なわからず屋を除いての話だが・・。

 

君と同じように、・・僕も何度かそばで助手をさせてもらった。

ハハ、・・彼は、地球の住人ではないよ。それほど、我々の自然科学の常識を超えている。

だから、君の類推も、まんざら間違ってもいないかもしれない。僕も、色々自分なりに考えてみたよ。

 ・・自然界に無駄はない。分子間、素粒子間では、意識を介することで、状態関数は収縮し、多くの可能性がそこに’結実’する。さらには、常にダイナミック(動的)で、ノンリニアー(非線形的)なシンクロナイズ(同期)がおきている。それらは、物理化学的にもミクロに互いに共振しあう。それが、生体の遺伝子の分子や素粒子下の挙動を決めたり、脳の情報記憶の電磁波的な信号を共振的に発現させることになる、

彼らの研ぎ澄まされた’意識’が、そんな物理現象発現の何らかの引き金になっても不思議はない。彼らの癒しの技はそれを幾何学的に高次の時空から効率的に行っているんだろう。我々が唯一そこにコネクトできるのは、普遍的秩序と一体化できる純粋な’意識’をおいてほかはない。

でも、残念ながら、僕には君のように豊かな魂の遍歴がない。君の純粋さがうらやましい。

 

 当地では、わからずやの医者たちはこぞって彼を排斥しようとする。僕が、あのフリッツの奇跡に共感していることで、社会的に恵まれた医者仲間の間では村八分にされそうになったよ。まるで自分たちこそが科学の全てを知りつくしていて、唯一の法に守られた既得権があるといわんばかりに。

たとえそれが優れた何であれ、・・不都合な真実には蓋をしようとする。

・・それが残念ながら今の時代の現状だ。フリッツが人々に説く世界は、幾多の試練を経験してきた君だからこそ理解できる、俗世から離れた、穢(けが)れのないそれなのかもしれない・・。”

 

 むかし、よく仲間たちにまじってジュリオとは試験明けや勉学の合間に、村のパブ’ソピアネ’に出かけては飲んだ。その頃、よくジュリオは夢想にふけりがちな瀬川を見て、’ムイシュキン侯爵くん’と呼んでいた。ジュリオの好きなロシアの作家ドストエフスキーの主人公だ。

 ジュリオは卒後、スイスに出てレマン湖のほとりの大きな近代病院に就職した。そして数年前から、ある’事件’をきっかけに故郷に戻り、ここでクリニックを持っていた。

ジュネーブといえば、エバも彼女のオフィスがあって、まだそこにいるはずだった。

 商社時代の旧友 尾崎孝之とのブラジルでの壮大な構想も、謎を残したまま、今は瀬川の前で、蜃気楼のように消え去ってしまっていた。

・・やっと、今年の冬こそはと思い定め、エバを迎えにヨーロッパに向かうつもりでいた。

 

 ジュリオと懐かしい医学生時代の思い出話に花が咲いた。が、あの頃のジュリオと違って、どことなく陰りがあってぎこちない。

・・と、ふとジュリオは少し言葉を詰まらせ、遠慮がちに瀬川に頭を下げた。

”・・彼女は、気の毒な事をした。” ・・瀬川には何のことかわからない。

ジュリオは、そんな瀬川の様子を見て、ハッとした。

 

ジュリオは、瀬川とエバの間のことは承知で、学生当時は温かくふたりを見守っていた。エバの当初の勤務地もジュリオの病院と近かったせいで、ときどき、レマン湖のほとりにある白いカフェで会って、彼女から近況を聞いていた。よく瀬川の話題が出た。エバは、どこか寂しげだった。

ジュリオはエバに言った。

 ” いつか、ジュネーブで3人で会おう。 その時こそ、心から君たちを祝福したい・・。”

エバは、ジュリオの手を握ると、”・・ありがとう。” と微笑んだ。

 

 エバは、瀬川たちと同じベーチ大学の社会科学部を先に出た。そのあと英国の大学院に進み修士号を取ると、英国の国際人権機関のジュネーブ支部に所属した。やがて、ひとり貧困国や戦災地をまわるようになり、困難な交渉にもあたりキャリアも積んでいった。有能ゆえ、そのまま出世して、それなりのポストと安全、そして高い報酬も得られていたことだろう。

 だがエバにはそんなことに関心を示す様子もなく、ある頃からはそれと逆行するように、志願する場所は、風のうわさに聞いた瀬川の居場所に近い辺鄙な地域を選んでいた。数年遅れで瀬川を追うように、仕事に区切りがつけばオフィスに願い出て配属先を移動した。

それゆえに、瀬川の滞在場所が戦災地や辺境であるほど、エバの身にも危険が増した。

 瀬川はそれを知らない。知れば止めるだろう。

 

いつもどこかで、風変わりな放浪医者の瀬川のうわさがエバの耳に届いていた。

エバは、そっとひとりほほ笑んでいた。

領事館に確認すれば、うまくすれば彼の入出国の情報は得られた。

ただ、じっと辛抱して瀬川には本当のことを知らせなかった。邪魔はしたくなかった。

だが、彼の身に何かありそうなら、こちらから救援を手配するつもりでいた。

 

 いちどだけ、南アジアの小さな村で医療活動をしていた時に、トラブルに巻き込まれ瀬川は軍に拘束された。

 ある時、その村に反体制ゲリラ組織のリーダーがひどく傷ついて運び込まれた。瀬川がそれを治療したことが外部に漏れた。人の命に敵味方はなかった。不法入国と国家反乱罪、おまけに、身に覚えのない麻薬所持の疑いをもかけられた。すぐに国軍車が村にやってきて、銃を突き付けられ拘束された。

暴力的で、非人道的な尋問と取り調べが行われた。 瀬川は事実のみを主張して、抵抗しなかった。いつか東アジアで覚えた道家の瞑想法で手厳しい拷問の苦痛を何とか耐えた。が、延々と繰り返される暴力に身も心も敗れ果て、いよいよ観念の目を閉じそうな頃だった。

異変を知り、エバは領事館を通じ、焦る気持ちで当地を訪れていた。根気よく上層部と交渉して、やっとのことで瀕死の瀬川を解放した。ぼろぼろに傷つき、意識もうろうとする瀬川を、エバは涙ぐみ頬を寄せると、両腕で強く抱きしめた。 危機一髪だった。

 

 事件のあと、エバは病院の瀬川のベッドの傍で、しばらくの間介抱した。

ふたりにとっての久しぶりの心休まる時間だった。

エバの卒業で別れて以来、瀬川が彼女のその後を知ったのは、それが初めてだった。

エバは自分のことを、スイスのジュリオに口止めしていた。 

かつての恋人どうし、ゆっくりと卒業以来のつもる話をした。

そして、エバは瀬川の傍らに添い寝した。瀬川はそのままエバを抱いた。

あの頃に比べると、ほっそりとした体だった。エバは蕩(と)ける様に瀬川に身を任せた。

 

エバは、あの日のままだった。 瀬川は二人の間の愛の絆が、今もこうして変わらないことに安堵した。 あの別れの日の、エバの言葉の意味が今わかった。 改めて彼女の誠実さと、真摯な愛を実感した。そして彼女の命をとした勇気に心から深く感謝した。

 

 学生の頃のエバの美しい涼し気な青い目はそのままだった。でも、当時はショートだった長い金髪はきれいに頭の後ろに束ねてあり、あの頃の可愛らしさは、より理知的で穏やかなおとなの表情に変わっていた。体型もすらりと細くなり、彼女のその後の人生を物語っていた。

 冒険と夢を求めるだけの旅でなく、悲惨も同時に目にしてきた瀬川には、口には出さぬ彼女の苦労がすぐにわかった。

 エバの場合は、現実世界の陰の部分ばかりを見てきているはずであった。瀬川はそんな彼女に、愛おしさと哀れみを感じた。 エバは、そんな瀬川の気持ちが嬉しかった。

 瀬川の前では、エバは弱音は吐かなかった。多くの言葉を交わさずとも、互いの苦労を推しはかり、互いを慈しめるだけのおとなどおしの愛と信頼の関係に今はなっていた。だが、エバには、もう人としての重責から逃げられぬ、今の自分がいた。 まだ何もなかった学生時代のふたりのあの頃が懐かしかった。近くにいて愛し合っていたはずなのに、どこか寂しかった。

だが今は遠く離れていても温かな固い絆を感じられた。もう二度とはほどけない・・。

 

 シックでロマンテイックな枯葉色の東欧でなく、熱帯の緑のジャングルの中での、短くあわただしい再会の日々だった。 瀬川の状態もやっと回復してきた。

エバは安堵した様子で微笑み、ジュネーブのオフィスの自分の名の入った名刺を渡した。  ”何かあったら・・。”

 

そして、思いだしたように言葉を続けた。

”ジュリオが、ジュネーブでね、いつかみなで会いましょう・・、だって。

・・若い日のように、・・いっしょに、あの日と同じ’ホワイト・クリスマス’をしたいわね。”

瀬川は、あの若い日々を思い出していた。雪のイブの夜、馬車で行った村の教会のマリア像の前で、瀬川の腕の中でエバは幸せそうにしていた。

 

 ・・別れの日が来た。何かを忍び耐えるエバの後ろ姿は、あの卒業の日と同じだった。

瀬川は思わずその背に声をかけ、呼び戻して抱きしめたい衝動にかられた。

 このままどこか静かな場所に落ち着いて、二人で幸せな生活を築いてもよいのではないか、いまからでも遅くはない。目の前のエバの為にも・・、とそう思った。

 きっと、エバにはもっと長い年月だったはずだ。 瀬川はひとこと言った。

” しばらくしたら、連絡する。 ・・今度こそ、ジュネーブで会おう。”

 

エバは微笑み、目に涙を浮かべていた。別れ際、そっと身を寄せ、瀬川の唇にキスをした。

そして、”からだには気をつけて、”と最後に一言いうと、ひとりどこかに去っていった。

 

 つかの間の温かな再会の日々であった。

 

・・それから何年も過ぎたころだった。 エバのいるジュネーブ支部で危急の案件が持ち上がった。キャリアを積んだ彼女も諸事情から現地に赴かざるを得なくなっていた。いつもはひとりで決めていた。が、こんどは真っ先に瀬川に相談してみたかった。 

あいにく瀬川の所在がどうしてもつかめなかった。 ジュリオにも会ってみた。

’ノー!’と、ひと言反対された。それから何度もジュリオは、エバを説得しようとオフィスに電話をかけて来ていた。 

 

 遠くにいても、エバは瀬川の存在を身近に感じていた。オフィスの机には学生時代、大学街のはずれのパブ’ソピアネ’で撮った若い二人の写真があった。でも10年の年月は彼女には過酷すぎた。

だが、瀬川とのあの南アジアでの再会の日を境に、切れそうに細くなっていた見えぬ絆が、エバの中で再び温かな希望の絆へと変わっていた。

 

 ・・ただ、こんどは違っていた。一抹の不安というか、隙間風が心を吹き抜けるような、そんなあの若い日のような別れの気配を、突如エバは感じ取っていた。もし瀬川が耳元で’行くな’といってくれれば、エバは、そのまま職を辞して、瀬川を追い、今度こそ、その胸に飛び込むつもりでいた。

 

 やむなく、いつもより緊張した面持ちでひとりジェットでジュネーブを旅だった。向かう先はコーカサスのある小国の中立地帯にあるオフィスだった。当地は紛争状態で、かつてない大規模な掃討作戦で、数え切れぬほどの民間人の犠牲者が出ていた。というよりは、世界の知らぬところで、国そのものが焼き尽くされている想像を絶する場所だった。

 

 混乱する毎日の激務の中、ある日のことだった。オフィスに、爆撃され学校に取り残された子供たちの保護の要請があった。混乱に乗じてだれかれ構わずの民間人の無差別虐殺がここでは行われていた。エバは着任以来、現地からロンドンにある本部に、何度も切実な人権侵害のレポートを送っていた。 だが、多くの実績を認められてきたエバの訴えでも、何故か英国本部の反応は鈍かった。

 その日、オフィスの当地スタッフは、今出るのは危険すぎるといった。

が、エバには他に選択肢がなかった。運転手に頼み、ひとり敵陣営へ無実の子供たちの人権保護の交渉に向かった。悪路を疾走する揺れる車の中で、しばらく瀬川との懐かしい日々がエバの心に廻(めぐ)っていた。何故か、夢にまで見たクリスマスの教会のマリア様の目には涙があふれていた。

エバは、窓の外の荒れ果てた光景を呆然と眺めながら、幸せそうに小さく微笑んでいた。

 その時、突然、エバは身体に衝撃を感じた。周囲が炎に包まれた。やがて物音が消え、周りは何も見えなくなった・・。と、ふたりの若い日の情景が、より鮮明になってきていた。

 

大きな爆撃に巻き込まれていた。車は被弾して炎上し、大破した。一瞬のことだった。

 Evaと運転手は、即死だった。

散乱したバッグに残されたエバの身分証の中に、南アジアでの瀬川とふたりの写真が入っていた。

その事件はニュースとして、当時、ヨーロッパでも報道された。 どこかの戦場ジャーナリストの撮った写真が一緒に数枚映し出された。その最後に、爆撃にさらされ校舎の半壊した郊外の小学校の写真があった。

 

 もう何年も前のことだった。ジュリオは、スイスの病院のホールで、彼女の顔写真が現地の惨状とともにテレビのニュースに映っているのを見た。

 ”・・くそ! ・・なぜだ。”

そういうと、両手で自分の顔を覆った。

ジュリオは、白い冬の静かすぎるこの街が急に寂しくなった。

そしてしばらくしてジュネーブを去った。

 

 瀬川は、ジュリオに今、初めてその話を聞いた。

ジュリオは意外だった。ふたりの仲、当然その後連絡はしているもの、と思っていた。

” ノボル・・。”

 

 瀬川は、詳細をジュリオの口から聞くと、絶句し、見る見る顔が青ざめた。しばらくそのまま視線も定まらぬまま身を震わせ、宙を見つめていた。

そして遂には心の内に限りない後悔の念がわいていた。

 

’・・あの日、彼女を自分のもとに引き留めておけさえすれば、’・・と、今さらながら思った。

ジュリオは涙ぐむ瀬川の肩を抱いた。

”君のゆくえを、いつもエバは気にしていた。・・素敵な女性だったよ。”

そうジュリオはひとこと言った。

 

 ・・ふたりだけの数々の思い出のシーンが瀬川の心の中に今めぐっていた。

10数年も前の、枯葉舞う黄金色の秋の夕暮れ、村はずれのパブ’ソピアネ’でのこと。

あの日、理想と夢を語る医学生瀬川の前で、まだ少女の面影の残るエバは、林檎酒のグラスを飲み干すと、美しい青い瞳で彼を見てこういった。

 

”・・そんなあなたが、とても好き。  でも、・・私には待てない。”

瀬川は思わず言葉を失い、うなだれた。 ・・当然だと思った。 

エバはつづけた。

 

” だから、・・私も、・・世界のどこまでも、あなたの後を追っていく。

・・邪魔はしないから。 ・・お願い、・・そばにいさせて。” 

そういってエバは微笑むと、透き通る瞳で瀬川の目をじっと見すえた。

 

 だが、瀬川はうつむいたまま首を横に振り、その言葉を拒んだ。

” 思いのほか、君を危険な目に合わせることになる ”と・・。

 

 だが、エバは、瀬川を愛していた。それゆえに怖いものはなかった。

そして、ひとり決めていた。

瀬川には邪魔にならぬよう、その後を追い、どこかで彼を見守りながら、弱い立場の人々の為に自分にも何かできることをしようと・・。

 そんな女であった。 それゆえに、瀬川の勝手な夢を理解してくれる、この世で唯一の女性でもあった。

 あの卒業の日、若いエバは、瀬川のもとから離れていった。

’お願い、・・私を忘れないで。 ’ そう言い残して・・。

 

’・・忘れられるはずがない。’ 瀬川は全てを失った今、そう思った。 海からの潮風が涙にぬれる頬を撫でる。 あの日の、寂しげなエバの後ろ姿が蘇っていた。

 

 瀬川は今、取り返しのつかぬ後悔の念に、ただ嗚咽(おえつ)していた。

 ”慈しみの愛”、・・あの魂の医師フリッツの言葉の意味が、痛いほどわかる気がしていた。

 

・・リオの海岸から遠く、霧にけぶるコルコバードの丘の上に、瀬川に何か語り掛ける様に、両手を広げたキリスト様が夕陽の残照に小さく浮かび上がっている。 

海からの潮風に乗り、寂しげなギターの音色が遠くから聞こえてくる。

 ジュリオがいっていた。

”・・心の奥に眠るこの哀しみは、'saudade'(サウダージ)というんだ。”

 と。

 

 ブラジルを離れたら、クイアバで若者にも聞いた、もう自分を待つひともいない、あの戦乱のコーカサス チェチェンを訪れる決心をしていた。

北半球の東欧の村は今は秋。、回想の中のあの日の’ソピアネ’と同じく、辺りは一面もう枯葉に覆われているだろう。 

そして、ジュネーブの美しいクリスマスの冬の雪も、もうこの先見ることもない・・。

 

 

 

 

  

リオデジャネイロに降る雪――祭りと郷愁をめぐる断想