小さい頃。
隣の家にめちゃくちゃ吠える犬がいて、怖くて、それが直接の原因か分からないけどでもまあ幾らかはそれも要因になっていると思う。
とにかく、僕は犬が怖い。
そんな僕からすると、情けない話だけど、犬の散歩に遭遇するとビクッとしてしまう訳で。
狭い路地を歩いていると向かいからリードをうんと長くしたまま歩いてきたり。公園のベンチに座っているとすぐ側を通っていったり。
うわあ…と思ううちに近寄ってくる。
スペースが限られた路地内、なぜ完全に人に届くような可動範囲のリードの持ち方を…逆にスペース有り余る公園内、なぜわざわざ人がいる側を…
うわあ…ちょっ、ちょ、ちょちょちょ!
と、いや本当情けないけど、耐えられなくなって僕が逃げていくと。
「え、いや…そんなあからさまに嫌そうにする…?何だこの人、感じ悪い…」
みたいに見られる事が多々ある。
いや分かるけど。けど、僕が悪いんだろうか。ダメなんだろうか。僕がいけないのか。
何かもう、悲しさしかない。
だってもう僕は怖いんだもの…しょうがないんだもの…そんな僕からすれば。
そんなにも僕を悪者の様に見てくるけど…いやむしろ公共の場で、その、どうなんだ…と思わずには僕はいられなくて。
自分にとってはいくら可愛いものでも好きな物でも、他人からすれば怖いもの嫌いな物であるかも知れなくて。
じゃあ歩きタバコはどうなんだと。
僕からすれば一緒くらいで。
僕は、歩きタバコの人が側にきて耐えられなくて咳き込んでしまっただけだ。それで。
「そんなあからさまに煙たそうに…」
と怪訝そうに。
もはや僕が加害者、歩きタバコの人が被害者だと言わんばかりに見られても…もうやるせなさと悲しさしかない。
僕からすればそれと一緒だ。
と言っても。
「犬とタバコ違うだろ。一緒にすんなばか」
と、どうせ、さらに僕が悪者になるだけという事くらいは分かっちゃいるけども…あーもう。
ちぇ。
結局、多数決なのだろうか。
少数は、悪なのだろうか。