ボイシで更に詳しく語ってますベル 

ダウン

成年後見人って言葉を聞いたことある人いるかもしれないけれど、私の知識の範囲でお話するね。

 

息子は知的障害を伴う自閉症。親亡き後のことを考えて、成年後見人についての知識を得ようと勉強している。

 

■ストレートパーマは贅沢?

 

こんな話を聞いた。

 

天然のチリチリパーマの障害のある娘がいた。

 

本人のとってはコンプレックスだったので、母親は娘が幼い頃から月一回、美容院に連れて行きストレートパーマをかけてやっていた。

 

娘にとってはこれが毎月の楽しみであった。更に母親は娘の名義の通帳を作り、貯金していた。

 

月日は流れた。

 

娘は成人したが字を書けず、話す言葉も聞き取りにくい曖昧な言語であった。

 

そこで、母親は自分が死んだ後のことを考え、成年後見人を付けた。

 

ところが思わぬ事態に陥った。

 

後見人がついてからは、親でも子どものお金に触れることが出来なくなったのだ。

 

後見人から「ストレートパーマは贅沢だ」と言われ、貯金を下ろすことができなくなった。

 

後見人は一度付けると外すことは出来ない。

 

また「この後見人とは価値観が合わないから別の人に変えてほしい」と家庭裁判所に申し立てたとしても

 

後見人を変えることはできない。

 

「何のために本人名義にして、コツコツ溜めていたのか

 

娘のお金なのに自由に使えないのならば、娘のために使うお金として自分(=母親)の口座に全て入れておいた方がよかった」

 

と悔やんでも後の祭りであった。

 

成年後見人制度がよくないということではない。

 

この制度は親であっても、子どものお金を着服できないようにする、

 

あくまでも当事者(=障害のある子)の財産を守るためにある制度である。

 

ただ、あまり早々付けないで親が元気なうちは後見人を付けない方が賢明だと思う。

 

■親族は信用できる?

 

後見人の話に戻ろう。「いよいよ親の寿命が近いな」と思ったらつければいい。

 

そんなとき健常の兄弟姉妹がいれば「後見人になってもらおう」という流れになる。

 

けれども、兄弟だって信用できない。

 

聞いた話だが、親が亡くなった後に「お店を開店するから、お金貸して」と

 

後見人である兄弟が障害のある兄弟の財産を使ってしまったらしい。

 

似たようなことは起こりうる。

 

■どうすればよいのか

 

息子は将来自動車を買ったり、海外旅行したり結婚して家を買ったりもしないだろう。

だから、子どもの通帳にせっせこ貯金しておく必要はない。

 

それから、親が元気なうちは、早々と後見人をつけずに

 

子どものための一番の使い道を知っている親の口座に貯めておき使うのが賢明である。

 

そうしないと、先の例の「ストレートパーマはダメ!」状態になる。

 

(まあ、キャッシュカードを必ず作っておいたり、ネットバンキングを利用すれば親でも下せるからね

 

これも自体が進むと出来ないようになるかもしれないから要注意だ)

 

さて、親が死んだら自動的に親が持っているお金は法定相続人である子どもに行く。

 

ここで後見人に管理してもらってもよいし、お金を手にして一気に使ったり騙されたりしないように

 

兄弟は当てにならないし、兄弟にも結婚して家族がいるから親の死後、関係性がどうなるかなんてわからない。

 

なので家族信託や生命保険信託というお金を他者に管理してもらう方法を利用してもよい。

 

色々な制度があるので親も勉強が必要だ。

 

 

親の財産を一括ではなく、定期的に子どもに渡す仕組み

 

親が亡くなったあと、障害のある子のお金はどのように管理すればいいでしょうか。

 

判断能力が不十分で自分では管理ができないという子ならば、成年後見制度などの利用が考えられます。

 

でも、たとえば精神障害や軽度の知的障害で、本人にはそれなりの判断能力があるケースでは、ふだん手にしないようなまとまった額のお金が入ってきたら、それを使いたいという欲求も、当然ながら出てくることでしょう。

 

あってほしくはないことですが、悪意のある人に、うっかりだましとられる可能性だってあります。

 

このように、いきなり多額のお金を使ってしまわないための仕組みが、福祉型信託と呼ばれる制度です。

 

【信託を障害のある子の資産管理に活用する】

 

たとえば、母ひとり子ひとりの家族がいたとします。

 

子どもは軽度の知的障害者で、母親には資産が3千万円あります。

 

母親が亡くなればこの資産は子どもが相続しますが、多額のお金をいきなり本人が手にしてしまって、果たして大丈夫だろうか、という心配が生まれてしまいます。

 

そんな場合に信託の仕組みが力を発揮します。まず母親は元気なうちに、自分の資産について信託契約を結びます。

 

だれと結ぶかというと、信託銀行でもいいのですが、相応の管理料や手数料がかかります。

 

契約は一般の個人と結ぶことも可能なので、親族の中から選んでもいいのです。ここでは、信頼できる甥がいる、彼と契約しよう、ということになりました。甥を信じて財産を託す、だから“信託”です。

 

このときの甥は契約上“受託者”と呼ばれます。

 

それに対して資産を託した母親は“委託者”となります。

 

この契約を結べば、母親の3千万円は信託財産となり、母親の手を離れて所有権は甥に移ります。

 

また、契約時に“受益者”を決めておきます。“受益者”とは母親が亡くなったあとに信託財産から利益を受けられる人で、このケースでは障害のある子ですね。

 

甥は信託財産の所有権はありますが、信託財産は独立した存在となるため、自由に財産を処分することはできず、管理する権限を持つことになります。

 

母親が元気な間は、甥は責任をもって財産を管理します。

 

さて、母親が亡くなりました。この3千万円を相続するのはあくまで受益者である子どもです。

 

しかし管理処分する権限は引き続き甥が持っています。

 

母親が亡くなったあとは、甥は子どもに対して、母親の財産の中から契約で決められたとおり、必要な時期に必要な額を給付していきます。

 

たとえば、生活に必要な額を月10万円と決めておけば、その額を毎月子どもに渡していきます。

 

そうすることで、子どもが多額のお金を使ってしまったり、誰かにだまされたり、そそのかされたりして、大金を渡してしまうという事態を防ぐことができます。

 

そして、もし子どもが亡くなった後も財産が残っていたら、そのお金はお世話になった社会福祉法人に寄付する、あるいはめんどうをみてもらった甥に渡すということをあらかじめ契約の中で決めておくこともできます。

 

一括ではなく定期的にお金が渡される、子どもが亡くなったあとの残ったお金の行先も指定できる。

 

この2つの機能があるので、信託は障害者の家族のニーズに合っているのではと注目が集まっています。

 

【だれに頼めば利用できるのか】

 

信託の仕組みを使うには信託契約書が必要です。家族など身近な人に頼む場合、この契約書の作成を頼める専門家はまだまだ限られている状況です。

 

一般社団法人家族信託普及協会という団体が、家族による信託を広げる活動にとり組んでいて、相談の内容に対応可能と思われる協会会員の専門家を紹介してくれます。

 

また司法書士や税理士などの法人で、積極的に信託契約に取り組んでいるところもあります。

 

事例も増えてきているので、信託はこれから確実に身近なものになっていくのではと期待しています。

 

ボイシーで詳しく語ってますベル 
ダウン