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毎日、7時、12時、20時に更新してます
冊子に書く予定の原稿です。
息子は22歳の知的障害を伴う自閉症です。
息子が私に「今日はすごく暑いね」と語りかけてきました。
自閉症として相手に共感を求める言葉を発するのはめったにないことなので
この言葉を聞いて感動しました。
また、幼い自閉症の子を育てている知人の話なのですが、
「今までで一番嬉しかったことは、オウム返しだった息子が、母親の声かけに対して『うん』と答えたこと」
私には知人の嬉しい気持ちがとてもよくわかります。
「う・ん」これはたった2文字の言葉ですが、立派な会話だからです。
■西暦を言わなくていい
息子は言葉を話せるようになっても、動物園に連れて行ったとき、象の前でその場と関係ない、こだわっている好きな便器の型番をずっとブツブツと言っていました。
独り言をずっと言っているよりも、母「象がいるね」→「うん」と言って欲しかったです。
だから、知人の気持ちがよくわかります。
■視点が違うがともかく嬉しい
これって子どもへの期待値が定型発達児を育てている人に比べて、低すぎるのかもしれませんが
こういうことに幸せを感じられることが障害のある子の子育ての醍醐味だと感じています。
先日も45リットルのゴミ袋のストックがないのを見て「お母さん、ゴミ袋ないよ」と言ってきました。
こんな目糞、鼻糞、耳糞みたいなことでいちいち、心が嬉しくて震えます。
象の前で全くその場と関係ない、電車の型番の独り言をずっと言っているよりも…
「象がいるね」→「うん」と言って欲しい…。
「2025年 11月25日 木曜日 大安」なんて言えなくていいから
「お母さん、このアイスクリーム美味しいね。また買ってきて」と言って欲しい。
「お母さん、今日は寒いね」「今日は暖かいね」と言って欲しい。
自閉症の子を育てる親の欲望と期待です。
■悩むレベルが違う
定型発達児だけを育てている親御さんが
「うちの子が平均点より低い算数の点数をとってきた」
「ケアレスミスが多い」と眉間に皺を寄せて悩んでいました。
この様子を見て、オウム返しではない言葉を我が子から言われて喜んでいる自分に対して
「子どもに対しての期待やハードルが低すぎるのかなあ」とも思いましたが、期待値が低いと子どもも親も本当に楽になれます。
■言葉が出ても、出なくても
言葉が出る子でもオウム返しではなく
「これ美味しいね」
「今日は寒いね」
と親に共感を求める言葉を発すること
たとえ、音声による言葉が出ない子でも表情で「うん」と反応してくれること
これらに喜びを感じる親達
おそらく、こういった親御さん達も子どもが幼い頃は「もっと単語が増えてほしい」と
オウム返しの単語が増えることだけを願っていたでしょう。
でも、自閉症児を育てる親として経験を積むうちに、オウム返しが増えることより
共感したい、「う・ん」でいいから反応してほしい…と願うことが変わってきます。
そして、「う・ん」と言ったとき、この二文字に幸せを感じられることが
障害児を育てる親としての成長なのだと思います。
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