新年明けまして、初めてのブログです。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、ATNから出版されている「音符で学ぶ やさしい篠笛教本」というわたしのテキストで学ばれている方々から、時折ご質問をいただきます。
常にお答えできるわけではありませんが、
実際に教えている生徒からも、よく来る質問でしたので、
お役に立てるかもしれず、ここでご質問とそれについての応えをご紹介します。
(質問者様から、ここでご質問を公開し、お応えすることについてのご了解は得ています)
ご質問)
■呼吸について
・今までは、腹式呼吸ということで、下腹を膨らませて縮めてという動き
を意識していました。これだと肋骨の動きというものが感じられません。
・そこで、「背中から息を吸う感じ」というのを試してみました。
こちらだと、肋骨の動きが感じられ、胸いっぱいに吸い込んでいる感じがします。
これが良いのかなと思うのですが、「腹筋をリラックスさせ」と
いう感じができず、かえってブロックしているような感じになるのと、
お腹の動きがあまり大きくならず、お臍から上の動きが中心になる感じです。
演奏するときには「下腹部は引き締まった感じ」ということもあるので、
下腹を意識した方が良いのかなと混乱してしまいました。
やはり、肋骨の動きが感じられる呼吸が正解なのでしょうか?
朱鷺)
腹式呼吸、胸式呼吸という名前が独り歩きしてしまい、
おなかだけを使う、あるいは胸だけを使うというつもりで呼吸をしていらっしゃいませんか?
「背中から息を吸う感じ」というワードでイメージした呼吸で合っていると思います。
おなかも全体的に膨らむと思います。
「よい薫りを胸いっぱいに吸い込む」というイメージも役に立つと思います。
上体を折って、腕をだらりと下げて呼吸してみると、肋骨は動きませんが、腹周りの動きを大きく感じることができます。
腹が膨らむ呼吸というのは、この感覚です。
講師の側はいろいろと言葉を使って、イメージを喚起してもらうようにしていますが、すべてイメージしやすいわけではないと思いますし、却ってわかりにくいと感じる言葉もあると思います。そのなかで、ご自分にわかりやすい言葉があれば、それを使ってください。
管楽器の呼吸法については、横隔膜の話が出ることが多いと思いますが,手や足のように、好きに動かせるものではないため、説明されたところで、「おお、なるほど!」と膝を打つようなわかり方というものはないとあらかじめ、お考えください。
日本篠笛協会の動画、ペットボトルを使った横隔膜の説明をぜひご覧ください。
下記の日本篠笛協会のHPのトップページから、「レッスン」のカテゴリーをクリックすると、ワンポイントレッスン動画がご覧になれます。
http://shinobue.or.jp/
息を吸うと横隔膜は自然に下がります。(感知しにくいです)
それによって、横隔膜より下にあるはらわたが押し下げられ、行き場を失い、外側へ押されることで腹が膨らみます。
吸い込んだ息で膨らんだのではなく、下がった横隔膜の稼働率が高ければその分、押されたはらわたの分、腹は膨らみます。
そういうわけですので、横隔膜の稼働率が低いと、あまり腹は動きません。
この稼働率を上げることが管楽器の効率のよい呼吸に大切です。
息を吐くと、横隔膜は元の位置に戻ります。
横隔膜が戻ってしまうと、もう息を吐くことができませんので、
演奏中(息が漏れ出ている状態、身体は息をせき止めている感じ=腹が引き締まっている感覚に繋がると思います)は、横隔膜が元の位置に戻ってしまわないように、なるべくkeepします。
それによって、長く息を漏れ出すことを保てます。(長いフレーズを安定して吹くことができます)
その間は、下腹部が引き締まった感覚になると思います。
息を吸うときには引き締めませんよ。
呼吸は見せてあげることができないし、なかなか伝えるのが難しいと私自身、
指導経験から感じています。
できれば、プロの管楽器奏者の先生について学ばれるのが一番安心です。
ご質問)
■1オクターヴ離れた呂から甲への移行(Track7)
今までの癖で、甲の音を出す瞬間に一度唇を閉じて息を出し直してしまい
ます。(小さくプッと音が出る感じです)
スラーでの演奏ということだと、この切り替え方は良くないでしょうか?
息を流したままアンブシュアなどを切り替えるトレーニングが必要ですか?
切り替えの時、一瞬息を弱めるようなコントロールをされるのでしょうか?
朱鷺)
スラ―というのは、「なめらかに奏しなさい」という指示ですので、
息を出しなおしてしまうと、必ず一度途切れることになりますからスラーにはなりませんね。
いまの奏法では、スラ―の指示には従っていないので、間違い、ということになります。
息を出したままでアンブシュアを変化させる訓練は大切です。
そのためにオクターブ練習や、倍音練習というものがあります。
または、音程の離れた2音を滑らかにだす跳躍の訓練も難易度は高いですが、高度なテクニックを身に着けるには不可欠な訓練です。
呂から甲に移る際、音域にもより、さまざまに変化しますので、一概に言えませんが、オクターブ上げるために一瞬息を弱めるようなことはしないと思います。
離れた音域へ移動する際に最も注意することは息のスピードです。
しかしそれを、息の強弱で行うのではなくアパチュア(息の出る唇の孔の部分)の変化で行いましょう。
息の強弱で行うと音の強弱まで変化してしまいますので、それはやめましょう。
下顎の動きも重要です。篠笛協会の一分動画で狩野嘉宏先生もレクチャーなさっているのでそちらもぜひご覧ください。http://shinobue.or.jp/
単発で受講できるワークショップなどを活用なさって、実際にレクチャーを受講なさるとさらに気づきが深まることと思います。
プロの演奏を間近で聴いて、目標とする音を浴びることもとても役立ちます。
楽器の独学は非常に難しいのが実際のところだなあと思います。
身体の使い方を学んでいるに等しいため、もし機会があればワークショップなども活用なさるとさらに上達なさることと思います。
後記:
日頃、ラジオやテレビから流れてくる演奏は、十中八九プロの演奏ですよね。
まず、気にならない、言い換えると「気に障らない」と思います。
それは自然に聴こえるからで、それってすごい上級者しかなしえない演奏です。
いともたやすく簡単そうに演奏しているように聞こえますものね。
しかしながら、実際に自分がやってみようと思うと、フレーズのある一部分をなめらかに奏したい、というだけでも、実のところ大変難しいものです。
取り組めば取り組むほど、疑問がでてきて、それを身体が学ぶまでの道のりが果てしなく思えるのではないでしょうか?
でも、高度なテクニックを身に着けるための訓練法は本当にたくさん明示されています。
それほど、先輩たちが苦労してどうやったら最短距離でテクニックを学べるだろうと試行錯誤した結果だけを、今いただけるとはなんと有難いことでしょうか?
自分ができるまでやるのが練習、と肝に銘じてひたすらできるまで取り組むしか方法がない、というのは潔くて気持ちよいではありませんか。
途中で嫌になってしまうかもしれませんが、確実にやっただけ、時にはボーナスタイムがあり、数段抜かして上達しちゃう、ということもあります。(継続していた人だけに訪れるボーナスタイムがあるんです)
ボーナスタイムにはスランプも含まれます。
苦しいボーナスタイムですが、練習していない人には訪れないという、不思議なもので、必ず壁の向こうへ行ける力を内在したときに、スランプが訪れるのではないか?と最近、スランプがこないと嬉しいけど却って不安になってしまうという気持ちです。
以上、ご質問にお応えしました。
今年も笛と共に・・・





