続・音楽高校時代~学んだこと・怖かったこと!~ | 篠笛奏者:朱鷺たたら 笛吹き道中記

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レッスンは個人レッスンでしたので、時間が決められています。
たとえば15時。
ある日、15時5分前に先生のご自宅のチャイムを鳴らしました。
ピンポーン・・・

シーン・・・
あれ、あれ、あれ?

聞こえてないのかな、ともう一度。
やはり応答なし。

で、ちょっと覗いてみると、家のなかを動き回っている先生の姿が見える。
気づいてはる感じ・・

・・・さあ、きた!
今日は一体なに!?
わたし、何やらかした?

これ以上、チャイム鳴らしたらうるさいって絶対怒られそう。
でも、待ってたら約束の時間過ぎて、遅刻だって怒られるよなー。
でも、わたしが玄関前にいるの、先生わかってるはず。
無視してるってことは、帰れってことか?
でも、このまま帰ったら、どうなる?
わたしから電話して、ほんでなにをどう謝って、レッスンの再開をお願いしたらええのや?
わからん。
先生の求めてる答え方が、見えぬわ~。

で、15時10分過ぎにもう一度チャイム押してみた。
先生こっち見てるけど、やっぱり無視やー。

成人したいまなら、とっくに帰ってるけどなあ、
そのころ16才とかですよ、純粋な。

で、15時半まで玄関先で立ち尽くして待ってみた。
先生が扉開けてくれますように。
でも、怖いからこのまま開きませんように。
夢ならはよ醒めろっちゅうねん。
で、もう永遠に開かなくていい、開いてほしくない扉が開いたんですよ。
やったーっていいうか、地獄の扉が開いたっていうか。
いずれにしても、通過儀礼を超さないと、明日は来ないというのは経験からわかってますから、
いよいよクライマックスが訪れた、ということはやがてこの危機はなんらかの形で終わる、
という希望がね、ほんのりかすんで見えるわけです。


「あなたね・・・・、レッスン15時よ。」
「・・・はい」
「あなたね、5分前に来るって一体どういうこと?!」
「(っつうか、実は14時半に着いてたんだけど、早すぎたら失礼だと思って待ってた。
あ、それいけなかった?あー、わたしのアホ!)」
「挨拶して、楽器組み立てて、譜面台の前に立って、吹き始める。それが15時よ!!」
「・・・・」
「間に合わないでしょ!!!!!!!」


で、もう記憶飛んでるので、その日にその後レッスンしていただけたのか、さっぱり覚えていません。
しかし、その次回に15分前に行って、早すぎる!!とめちゃ叱られたので、
15分前も5分前もだめ!
ならば10分前か?
ということで、
それ以後は10分前にピンポンを押すようになりました。
しかも、時計を家族から借りて、常に3つ持ち、
家を出る際に時報に時計を合わせて出るという徹底ぶり。
先生の自宅前には30分前に着き、10分前ジャストで、ゴルゴ13並みの正確さで、
ピンポンを押す!
ピンポンの押し始めが10分前なのか、ピンポ~ンとやや伸びる音の終わりがちょうど10分前になるか、
悩むという純粋さ。

時計を貸してくれたおじいちゃんは、数字大好きで、
自分の持ってる時計の誤差を毎日グラフに付けていました。
だから貸してくれるときに、
「これはね、16秒ほど遅れる。こっちは、2分ほど速い。」
「わかった。でも家出るとき合わせるし。」
「いや、こっちはね、だんだん遅れちまうよ。こっちは逆だ。覚えときなさい」
みたいなやり取りしてたのは、鮮明に覚えてます。

あ、今日は先生の怖い中にも大事な教え、って部分に光を当てるんだった。
そう、だから、
約束の時間に遅れるなよ!
早すぎてもだめ!
遅刻なんて、もし明日も生きてたいならやめときな!
っていう社会人としてのマナーを、高校生の頃、恐怖とともに教わりました。

そういえば、わたしがはじめに習ったフルートの先生は優しい男の先生で、
この先生の先生がこの厳しい先生なのだけど、
はじめて大先生にご紹介していただいたとき、
男の先生はわたしを連れて、はやーく着いて、約束しているけれど、
近くの公衆電話で一度お電話入れて、ご都合をうかがってから、
ようやくご自宅に向かったのでした。

こういうことから学んだのは、時間を守るということはもちろんだけど、
すごく大事なことは、
レッスン代払ってるから、レッスンは当然受けられるサービス、ではない、ということ。
ま、そんなこと、地獄の底が開くの見たければ、一度言ってみればいいけど。
生徒はお客様ではないのだー!