はい、どーも!井上です!

 

 

関西を中心に精神医かつ産業医しています!

 

 

ラフな人生をめざしていきましょう(^^)

 

 

 

2023年を振り返ってみると

 

色々とありましたが

 

医療界の重大ニュースは

  

やはり

 

アルツハイマー型認知症に対して

 

日本でも新しい薬である

 

レカネマブが承認されたことでしょう。

 

 

 

 

この薬は

 

認知症の進行を

 

抑制する働きがあります。

 

 

 

 

そして

 

12月20日に保険診療で

 

薬の使用が可能となりました。

 

 

 

 

実際にさっそく

 

東京や大阪では

 

数名に患者さんに

 

使用開始されたとのことなので

 

今後はまた色々とデータも

 

出てくるのでしょう。

 

 

 

 

このレカネマブの性質などを

 

お話をしたいところですが

 

長くなりそうなので

 

ここでは割愛させてください。

 

 

 

 

ただ

 

割と多くの人が

 

勘違いして1点だけ。

 

 

 

 

それは

 

レカネマブという薬は

 

飲み薬ではなく

 

点滴で投与する薬ということ。

 

 

 

 

ざっくりではありますが

 

レカネマブの使用方法は

 

2週間に1回のペースで

 

病院で点滴治療を

 

1年半受けるイメージです。

 

 

 

 

さて今回は


そのような

 

薬の効果の話よりも

 

お金の話をしたいと思います。

 

 

 

 

そう。

 

 

これまたニュースでも

 

大きく話題になった話ですが

 

レカネマブのお値段について。

 

 

 

 

それが1人あたり

 

年間で約300万円。




ほぅ…。

 

 

これは高額?お買い得?

 

 

 

 

もしも

 

あなたが3割負担の方なら

 

年間300万×0.3=90万円のお支払い?!

 

 

と思われますが

 

実際はそうはなりません。

 

 

 


高額療養費制度によって

 

70歳以上の

 

一般所得者の患者さんなら

 

年間約15万円で支払いでOKです。

 

 

 

思ったよりは…


安いですかね?

 

 

 

 

ただ、当然ながら

 

残りは保険(医療費)として

 

払われていくのです。

 

 

 

 

”保険制度バンザイ!”

 

なのか、どうかは

 

税金の話との関係にもなるので

 

ここでは放置しておきましょう。




では、少し視点を変えて

 

今回のレカネマブの年間300万円は

 

コスパがいいのかどうかについて

 

お話したいと思います。

 

 

 





最初に言っておきたいのは

 

実はこの値段というのは

 

今後は下がっていく可能性が

 

あるということです。
 

 

 

 

理由としては2つあります。

 

 

 

 

ひとつとしては

 

予想以上に薬が売れた場合は

 

薬価の引き下げを行うという

 

市場拡大再算定という制度が

 

あるからです。

 

 

 

 

レカネマブも

 

今ではまだ出始めですが

 

今後はどんどんと

 

使用されていく(売れる)可能性が

 

高いとみてもいい薬です。

 

 

 

 

どこかで

 

再算定の対象薬になる

 

可能性が大いにあります。

 

 

 

 

さらに

 

類似の薬が出てきて

 

思った以上に売れて

 

それが再算定の対象となれば

 

他の薬の価格も

 

一緒に引き下げになるという

 

共連れルールも存在します。

 

 

 

 

要するに

 

レカネマブが第一走者ですが

 

あとから出てくる

 

似たような認知症薬が

 

大ヒットして再算定されたら

 

レカネマブも安くなるという感じです。

 

 



では、今の1人あたり

 

年間で約300万円のコスパって

 

どうなんでしょうか。

 

 

 

 

おそらく

 

今までで薬のコスパを

 

考えたことがある人って

 

ほとんどいないと思いますが

 

実は一定の考え方が存在します。

 

 

 

 

薬のコスパは

 

QALY(質調整生存年)

 

という単位で考えます。

 

 

 

 

細かいことは抜きに

 

ザックリ説明すれば

 

QALY=「QOL」×「生存年数」

 

で計算されます。

 

 

 

 

QOLと言う単語は

 

聞いたことありますかね?

 

 

 

 

これは

 

Quality Of Lifeの頭文字で

 

”生活の質”と訳されるけど

 

人生の満足度のほうが

 

イメージしやすいですね。

 

 

 

 

このQOLを

 

0~1で数値化をして

 

上記の計算式にいれます。

 

 

 

 

ちなみに

 

1年間の単位で考えると

 

”1QALY”というものは

 

1QOL×1年という意味なので

 

完全に健康な1年間に相当します。

 

 

 

 

日本では

 

この1QALYに対して

 

医療費で500~600万円までの支払いが

 

ギリギリの許容範囲だと


認識されており…

 

 

たとえば

 

透析を1年間受けたら

 

だいたいこれくらの値段が

 

かかっている計算です




そうなると

 

レカネマブの

 

年間で約300万円は

 

それなりに”アリ”な値段かと

 

思ったりしますね。





ただ

 

レカネマブを使用するには

 

途中で何回も脳MRIを撮影したり

 

この薬の値段だけではないので

 

諸々込みで500万くらいを

 

見積もってもいいでしょう。




そも意味では

 

まぁコスパがいいとは言えないど…

 

ギリギリセーフ?

 

みたいなところかな

 

って感じではありますね。





ただ

 

先ほど話をしたように

 

今後は値段が下がる可能性があるので

 

それはそれで当然ながら

 

よりコスパがよくなります。





 

 

ただ

 

コスパというのは

 

コスト(値段)が下がるだけではなく

 

パフォーマンスが良くなることも

 

考える必要があります。

 

 

 

 

さきほど

 

QALYは「QOL」×「生存年数」

 

で計算されることを説明しました。

 

 

 

 

まさに

 

このQALYが

 

パフォーマンスそのものです。

 

 

 

 

もし薬の値段が

 

大きく下がらなくても

 

薬を使った患者さんの

 

QALYの数値が上がれば

 

どんどんコスパのいい薬だと

 

認定されていくわけです。

 

 

 


では

 

そもそもQOLって

 

どうやって測るの?


って思いますよね。

 


 

 

これに関しては

 

EQ-5D-5Lという質問表を

 

利用して測定します。

 

 

 

ザックリですが

 

これは2つのパートから

 

構成されています。

 

 

 

 

1つ目は『5つの質問票』

 

・痛みや不快感はない?

 

・普段の活動を行うのに問題はない?

 

などの5つ項目による


質問に答えるパート。
 

 

 

2つ目は『EQ VAS』

 

これは0点~100点までで

 

患者さん自身に

 

今の健康状態を何点か


数字で答えてもらうパートです。

 

 

 


この2つのパートから

 

QOLを計算してから

 

さきほどの計算式に当てはめて

 

QALYを出すのです。





しかし

 

レカネマブ使用者の

 

QOLの測定には

 

1つだけ見逃せない

 

ポイントがあります。

 

 

 

 

それは

 

QOLを測定するEQ-5D-5Lの

 

2つのパートはともに

 

自己申告で記入する点なのです。
 

 

 

 

レカネマブを

 

使用する患者さんは

 

軽度とはいえ

 

認知症の患者さんです。

 

 

 

 

どこまで

 

自らで生活の質などの変化を

 

正確に判断したり実感しているかが

 

なかなか不明確なわけです。

 

 

 

 

もしかしたら

 

周りから見たら

 

QOLは上がってそうだけど

 

患者さんの申告によっては

 

QOLの点数が低いままで

 

QALYの数値も低いままで…

 

 

『結局、レカネマブって

 

年間300万円もする割りには

 

コスパの悪い薬やなぁ…』

 

って話になる可能性があります。

 




だからこそ

 

レカネマブのコスパの良さは

 

単純な計算式だけではなく

 

介護者へ負担が減ったなどの


周囲への影響としての効果を


臨床的に評価することが

 

求められるんじゃないかなと

 

思ってる次第です。

 

 

 

では、今日はこのへんで!

 

See You Next Time Bye-Bye!!

 

 

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