はい、どーも!井上です!

 

 

関西を中心に精神医かつ産業医しています!

 

 

ラフな人生をめざしていきましょう(^^)

 

 

 

 

ここ最近では

 

見ない日は無い


といっても過言ではない

 

ジャニーズ事務所のニュース。

 

 

 

 

今回は

 

この話題から

 

性暴力の話をするため

 

この手の話で


心臓がバクバクするなど

 

苦手な人はここで

 

一旦ストップしてください。

 

 

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今回の

 

ジャニーズ事務所の事件の

 

感じ方や捉え方というのは

 

その人の立場によって

 

様々なものだと実感しますね。

 




内容に関しては

 

おそらく多くの人が

 

すでに認識しているでしょうから

 

ここでは詳細には触れません。

 

 

 

 

ただ今回は

 

この問題に対する

 

1つの視点として

 

表現の形に注目します。

 

 

 

 

このニュースが報道される時

 

「故ジャニー氏による性”加害”問題」

 

と表現されることが多いです。

 

 

 

 

たしかに

 

性”加害”でありますが

 

『これは児童に対する

 

性”虐待”ではないか?』

 

と思ったことはありませんか。

 

 

 

 

”性加害”という表現が

 

報道で使われるたびに

 

『被害者が子供であった事実』

 

が薄れる気がしませんか。

 

 

 

 

さらに

 

勇気を出して


告発に踏み切っている

 

「ジャニーズ性加害問題当事者の会」

 

のメンバーたちも

 

今では成人ばかりなので

 

故ジャニー氏の性暴力が

 

”子供に対して行われた印象”

 

やや湧きにくくなっています。

 

 

 

 

『いや…


そんなのは言葉尻の問題で

 

どっちでも一緒じゃないか?』

 

と思われるかもしれません。

 



しかし


やはり性暴力の被害者が

 

圧倒的に

 

身体的にも社会的にも

 

力関係に差のある子供となると

 

ことの重大さは変わってくるし

 

行為の残虐性

 

色濃く伝えていくことも

 

重要だと考えています。

 

 

 

 

しかし

 

”性虐待”と表現されないのは

 

実は法律的な観点からの

 

理由があるからなのです。

 

 

 

 

「児童虐待の防止等に関する法律」では

 

子供への”性虐待”というのは

 

『 保護者 

 

児童にわいせつな行為をすること

 

又は

 

児童をしてわいせつな行為をさせること』

 

と定義されているのです。

 

 

 

 

あくまで

 

加害者が保護者であるときに

 

性”虐待”と表現されるのです。





そのため

 

今回の故ジャニー氏の行為は

 

性虐待とは表現されずに

 

性加害になるのです。

 

 

 

 

ちなみに

今回のような他人だけではなく…

 

 

家で きょうだい から

 

性暴力を受けているケースも

 

『性”虐待”を受けていた』ではなく

 

『性”加害”を受けていた』

 

という表現になります。

 

 

 

とても細かい話ですが

 

これはカルテを書くときにも

 

注意をすることです。

 

 

 

 

では

 

きょうだいからの

 

性加害の問題があれば

 

保護者には何も責任はないのでしょうか。

 

 

 

 

実は

 

このような時は

 

児童福祉法の観点から

 

保護者は”ネグレクト”

 

だと判断されます。

 

 

 

 

もちろん

 

保護者としては

 

ネグレクトをしているつもりは

 

一切なかったとしても

 

心苦しい話ではありますが

 

『不適切な養育環境』と判断されます。

 

 

 

 

だからこそ

 

少しでも保護者がそのような話を

 

小耳にはさんだり

 

『あれ?』と気がついたときには

 

信じたくないだろうし

 

問題を直視したくないでしょうが

 

アクションを起こす必要があります。

 

 

 

 

 

 

ちなみに

精神科の現場では

 

診察中に患者さんから

 

ドキッと息が止まるような話を

 

耳にすることもしばしばあります。

 

 

 

 

たとえば

 

『トイレに行ってる時に

 

おにーちゃんが

 

ドアをガチャガチャと

 

開けようとする』

 

 

 

 

年齢が小さいと

 

このような行為が

 

遊びの延長だと誤解して

 

話しているケースあります。

 

 

 

 

このようなケース以外に

 

もう少し年齢があがると

 

子供ながらに、さすがに

 

”まずいことをされている”

 

とは感づいているものの…

 

 

これが保護者などに

 

公になってしまうと

 

今の家族関係が崩壊するほど

 

大ごとになる予感もあって…

 

 

患者さんから

 

『別にきょうだいを

 

逮捕して欲しいとかじゃないし

 

親には絶対に言わないで下さい。

 

先生には守秘義務ってありますよね?』

 

と言われることもあります。

 

 

 

 

そこで


まず断っておきたいのは

 

医師は児童”虐待”を見つけた時

 

児童相談所に

 

通報する義務があります。




これは確証が無くても

 

通報する義務があります。




さらに

 

この通報に関しては

 

医師の守秘義務違反には

 

当たらないこと

 

明確にされています。

 

 

 

 

ここで

 

最初の話に戻るのですが…

 

 

きょうだいからの性暴力は

 

”虐待”ではなく


”加害”でもあるうえに

 

勝手にこちらから


保護者に連絡をするのは

 

守秘義務違反になりうるのです。

 

 

 

 

しかも

 

本人が言わないで欲しいことを

 

希望しているとなると余計に。

 

 

 

 

しかし

 

さきほど言ったように

 

このようなケースは性加害でも

 

”保護者のネグレクト”なので

 

それは虐待の一種であるため

 

結局のところ

 

その切り口によって

 

医師には親にではなく

 

児童相談所に通報する義務が

 

出てくるのです…。

 

 

 

 

とはいえ

 

保護者としたら

 

児童相談所から

 

”ネグレクト”の件で連絡が来ても

 

寝耳に水の可能性も大いにあるし…

 


医師も目の前の患者さんの

 

強い希望であっても


無視することになるし…

 


その先のことを想像すると

 

医師側も全く葛藤しないといえば

 

ウソになってしまいます。

 

 

 

 

それでも


かなり気は重たいのですが

 

『きょうだいからの話でも

 

仕事上、この話を聞いた以上は

 

通報する義務があるから。』

 

とドライな対応を


とることになります。

 

 

 

 

本来なら

 

このような患者さんには

 

たとえ病院であっても

 

『しんどさを理解してくれる人がいる』

 

と感じてもらい続けるのが

 

重要かとも思っています。

 

 

 

 

希望を無視して通報をすれば

 

”裏切り行為”と捉えられて

 

今後、どんな支援にも

 

心を閉ざす可能性もあるので

 

余計に躊躇してしまいます。

 

 



こちらとしては

 

できるだけ患者さんには

 

納得してもらってから

 

話を進めたい気持ちもあります。





しかし

 

1回の限られた診察時間では

 

そこまで話し込むのも難しく

 

めちゃくちゃ葛藤します。


 

 

 

とはいえ


これ以上の性加害を見逃すのも


また違った話になってきます。


 



だからこそ


自己満かも知れないと思いつつ


”地獄の日々を終わらせることが重要だ”


”通報義務があるから仕方ない”


と自分の行動を心の中で正当化して


通報することが多いでしょう。


 

 

 

 

 

このように

 

加害者が きょうだい なら

 

親のネグレクトとしての

 

最低限の突破口があります。

 

 

 

 

しかし

 

先生や監督だったり

 

今回の故ジャニー氏のような

 

赤の他人からの性暴力なら…

 

児童への性虐待ではなく

 

性加害の扱いのままです。

 

 

 

 

医師から

 

どこかに通報する義務もなく

 

守秘義務の方が大きくなって

 

本人の許可がない限りは

 

保護者に共有するような


突破口も一切ありません。

 

 



これらは

 

本当に法律のハザマです。

 




病院ができることは


辛さを吐き出す通院頻度を


細かく刻んだり


カウンセリングや病院以外にも


辛さを吐き出せる


NPO等を紹介したり


長期間、一人で辛さを


ため込まないような工夫をします。



 


そのうえで


『親に知られると


どんな不安がある?』


など”保護者にSOSを出す行動”を


無理強いまではしないものの


少しずつ光を当てながら


浅くてもいいから


現状が保護者に伝わる場面を


想像してもらったりします。



 


このわずかな積み重ねで


いつの日にか本人から


”もう親に言ってもいいかぁ”


”警察にも相談してみようかぁ”


と思ってもらえる日が


くればなぁと願いつつ。


 


 

今回の

 

ジャニーズ事務所の事件から

 

法律的な性”虐待”の定義も

 

変わっていくことに注目です。

 

 

 

 

それによって

 

加害者が誰であっても

 

児童の性被害支援サポートの

 

最低限の突破口持てるケースが

 

増えるのではないかと考えます。

 

 

 

では、今日はこのへんで!

 

See You Next Time Bye-Bye!!