はい、どーも!井上です!

 

 

関西を中心に精神医かつ産業医しています!

 

 

ラフな人生をめざしていきましょう(^^)

 

 

 

精神科の薬って

 

どのような

 

イメージがありますか。

 

 

 

 

色々な理由は

 

あると思いますが

 

世間的にもまだまだ

 

いいイメージはないと思います。

 

 

 

 

実際に困り果てて

 

何とか精神科を受診しても

 

『薬は飲みたくないんです…』

 

という患者さんも多いです。

 

 

 

 

その理由のひとつに

 

『精神科の薬を飲むと

 

太ってしまうので嫌…』

 

という人がいます。

 




ただ

 

その気持ちを汲み取ってなのか

 

最近は精神科のクリニックでも

 

『痩せれる薬もあるけど、どう?』

 

というような

 

甘い誘惑をのあるクリニックも

 

あるとかないとか…

 

いや、あるとか。



おぉ、こわっ。



これは

 

最近よく耳にするようになった


『ダイエット外来』と呼ばれる

 

診療の延長だったりします。

 

 

 

 

こちらの

 

ダイエット外来で

 

主に使われる薬は

 

GLP-1受容体作動薬

 

というものです。

 

 

 

 

これは主に

 

2型糖尿病の治療薬として

 

使用される薬です。

 

 

 

 

しかし

 

このタイプの薬には

 

食欲を抑えたり

 

体重減少作用があるため…

 

 

最近は

 

『この薬でダイエットできる!』

 

のように減量の目的で

 

よく宣伝をされています。

 

 

 

 

言うまでもなく

 

糖尿病の治療としては

 

厚労省から

 

『糖尿病』を対象疾患に

承認されているものの

 

ダイエット目的での使用は

 

承認はされていません。

 

 

 

 

つまり

 

これは適応”外”処方

 

と言われる方法です。

 

 

 

 

『え、そんなんしてもいいの?』

 

と思うかもしれませんが


『自費診療なら、ダメではない』

 

というのが答えになります。

 

 

 

 

ただ

 

実際にアメリカでは

 

GLP-1受容体作動薬には

 

”体重管理の治療薬”として

 

承認されていたりします。

 

 

 

 

そして

 

なんと…

 

ついに日本でも…!!

 

 

 

2023年3月に

 

GLP-1受容体作動薬のなかで初めて

 

”W”という薬が

 

厚労省から

 

『肥満症』を対象疾患に

正式に承認されました。

 



 

つまり

 

『保険適応で痩せられる!』

 

と大盛り上がり!!



 

 

アメリカでも日本でも

 

これだけ承認されているなら

 

『大丈夫だろう!!』

 

と思う方も増えました。

 

 

 

 

 

 

しかし!

 

 

 

そもそもの話ですが

 

『肥満症』と『ダイエット』は

 

話が大き違っています。

 

 

 

 

『肥満症』として

 

Wという薬を使うには


次の①か②を満たす人だけに

 

適応がありますと示されています。

 

 

 

①BMIが35以上

 

②BMI27以上+2つ以上の肥満に関連する健康障害

 

 

 

 

このように

 

保険適応で使用するのは

 

それなりの条件があるわけで

 

誰でも無条件で

 

使える訳ではありません。

 

 

 

 

ちなみに

 

”2つ以上の肥満に関連する健康障害”

 

というのは

 

高血圧や睡眠時無呼吸症候群、脳梗塞などの

 

肥満に関連する11個の疾患の中から

 

2つ以上があるということです。

 

 



つまり

 

このWという薬であっても

 

この条件を満たさずに使うなら

 

今までの

 

GLP-1受容体作動薬と同じで

 

適応”外”使用であり

 

当然ながら自費診療です。

 

 

 

 

なので

 

トータルで見た時

 

”W”という薬が承認されても

 

ぽっちゃり体型が気になる

 

元気な人が

 

ダイエット目的で使う薬は

 

全て自費診療になるということです。

 

 

 

 

とは言うものの

 

『保険適用されなくてもいいから!

 

自費でもいいから薬で

 

ダイエットをしたい!』

 

と思う人もいることでしょう。

 

 

 

 

ただ

 

忘れてはいけないのは

 

GLP-1受容体作動薬に

 

限った話ではないものの

 

薬を適応外使用をしたときは


医薬品副作用被害救済制度

 

一切、使うことはできません。

 

 

 

 

この制度は

 

薬を適正に使用したのに

 

発生した副作用による

 

健康被害を受けてしまったとき

 

医療費や年金などの給付を行って

 

被害を受けた患者さんを


救済してくれる制度です。

 

 

 

 

これが

 

使えないということなので

 

『何があろうとも完全に自己責任』

 

という結果になります。

 

 

 

 

GLP-1受容体作動薬は

 

糖尿病で使用する薬のため

 

分かりやすいところでは

 

下痢、嘔吐などの消化器症状

 

手足の震え、ふらつき、脱力などの低血糖症状

 

起こるリスクは当然にあります。

 

 

 

 

もし

 

あなたがダイエット目的で

 

日常的にこれらを利用して

 

運転中に脱力の副作用が出たら…

 

高所作業中にふらつきの副作用が出たら…。

 

 

 

誰が助けてくれるんでしょうか。








恐ろしいのは

 

このようなリスクがあることを

 

医療者も当然知っています。

 

 

 

 

しかし、広告には

 

『運動や食事制限も不要なダイエット!』

 

のような魅力的な文字が並んでいます。

 

 

 

 

さらに悪質なのは

 

『GLP-1は厚労省の承認済み!

(ただし糖尿病の治療において)

 

 

というような

 

安全そうな言葉だけが強調され

 

ダイエット目的では

 

適用外使用であることは

 

分かりにくくなっているのはザラです。

 

 

 


ほかにも

 

もともと普通体型

 

それどころか痩せ型のインフルエンサーを

 

広告モデルとして起用して

 

『うわぁぁーー!めっちゃ痩せる!』

 

とその効果を宣伝したりして。

 

 

 

 

まぁ、このような

 

宣伝手法の是非は

 

今さらなのでさておき。

 

 

 

 

GLP-1受容体作動薬は

 

糖尿病治療薬なので

 

普段から

 

糖尿病の治療に携わる内科医

 

主にこれらの薬を処方しているなら

 

1000歩譲ってギリギリ理解できます。

 

 

 

 

ただ、このブログ記事の

 

最初の話に戻りますが…

 

 

最近は

 

普段から糖尿病の治療なんて

 

やったこともない精神科医が

 

『痩せれる薬もあるけど、どう?』

 

なんて気軽に患者さんに勧める話が

 

あったりなかったり…。あったり。

 

 

 

結構やばくね?

 

 

 

 

適応外で処方して

 

副作用なども含めて
 

何かが起きた時には

 

だれが助けてくれるんだろう。

 

 

 

 

またタチが悪いのは

 

『自費診療で小銭稼ぎをしよう!』

 

という考えよりも

 

『太りやすい精神科の薬で

 

困る患者さんを何とかしてあげたい!』

 

という思いでやっている先生もいそう…。

 

 

 

 

と、このように

 

最近は精神科クリニックなどで

 

体重管理のために

 

GLP-1受容体作動薬の話が

 

出るケースがあるらしいので…

 

 

もしあなたが利用するなら

 

甘い言葉だけに耳を貸さずに

 

よーーーく考えてみてくださいね。

 

 

 

 

では、今日はこのへんで!

 

See You Next Time Bye-Bye!!