はい、どーも!井上です!

 

 

関西を中心に精神医かつ産業医しています!

 

 

ラフな人生をめざしていきましょう(^^)

 

 

 

 

最近

 

個人的にもショックすぎる

 

ニュースがありました。

 

 

 

若手医師の過労自殺。

 

 

 

 

消化器内科の高島先生が

 

亡くなってしまったのは

 

去年の5月ではあります。

 

 

 

 

しかし今年6月に

 

労基から

 

『極度の長時間労働により

 

精神障害を発症し自殺した』

 

として労災認定されたことで

 

今回ニュースとなりました。

 

 

 

 

労基が認定した仕事時間が

 

100日間連続で勤務して

 

死亡前の1か月間の

 

時間外労働は207時間あまり

 

3か月平均も185時間を超えていた

 

とのこと。

 

 

 

 

亡くなった原因が

 

この過重労働であるという点で

 

ご遺族が慰謝料などを求めて

 

病院を運営する法人を提訴する方針

 

ということになりました。

 

 

 

 

ここまで見れば

 

明らかに

 

『働かせ過ぎな病院が悪い!!』

 

という話の流れになりそうですし…

 

 

世間の声としても

 

『とんでもないブラック病院だ!』

 

という声も聞こえてきそうです。

 

 

 

 

しかし

 

病院側としては

 

『院内にいる時間には

 

知識や技能を習得するための

 

「自己研さん」の時間が含まれ

 

全てが労働時間ではない』

 

と真っ向から主張しており

 

注目されることになりました。

 

 

 

 

たしかに

 

この労基が主張している

 

時間外労働の中身は

 

公開されておらず詳細不詳ですが

 

少なくとも『病院内にいた時間』

 

ほぼ全て計算されているでしょう。

 

 

 

 

今後は

 

病院が指摘する

 

”自己研鑽の時間”とは何であり

 

これを労働時間と

 

カウントできるのかが

 

争点になっていきそうです。

 

 

 

 

ここからは

 

全て私の予想になりますが

 

 

たとえば

 

消化器内科としての

 

若手医師であるならば

 

胃カメラ腹部エコーの操作を

 

人形などを使って練習するでしょう。

 

 

 

 

当然ながら

 

平日の日中の業務時間に

 

そのような練習時間はなく

 

全てがひと段落した後に病院に残ったり

 

土日に病院にきてから

 

練習をすることになるでしょう。

 

 

 

これは労働時間でしょうか。

 

 

 

 

さらに

 

若手医師ならば

 

一般的に専門医の資格取得

 

目指して勉強をします。

 

 

 

 

資格取得には

 

担当した患者さんの

 

入院時の細かいサマリー(要約)や

 

学会発表のための準備なども

 

必要になってくることでしょう。

 

 

 

 

当然ながら

 

セキュリティの面で

 

患者さんの情報を

 

病院外には持ち出せないので

 

原則、これらの作業は

 

病院内で取り組むことになります。

 

 

 

これは労働時間でしょうか。

 

 

 

 

さらには

 

今の入院患者のAさんや

 

明日の外来患者のBさんの

 

治療方針を決めていくために

 

病院内にある論文検索を利用したり

 

病院内にある医学書を読み漁ります。

 

 

 

 

『勉強なら家ですればいいだろ』

 

とは思われますが

 

患者さんの過去カルテ(治療内容など)を

 

参考にしないと

 

決めれないことも多く

 

医学書は高価なので

 

全てを自宅に

 

揃えられるわけでもありません。

 

 

 

これは仕事なのでしょうか。

 

 

 

 

パッと思いつくだけでも

 

これくらいはありますが

 

このあたりが

 

仕事がどうかの線引きは

 

本当に難しいと思います。

 

 

 

 

たしかに

 

これらを全て労働時間だと

 

認定してしまえば

 

かなりの労働時間数に

 

なるのではないでしょうか。

 

 

 

 

その結果として

 

世間からは

 

『この病院は医者を働かせ過ぎ!!』

 

というバッシングもあるでしょう。

 

 

 

 

では

 

病院がその世間の声を受けて

 

『医師の労働時間を減らします』

 

と言えばどうなるでしょうか。

 

 

 

 

おそらく

 

上記のトレーニングや

 

患者さんの治療戦略を練る時間が

 

削られていくことでしょう。

 

 

 

 

そしたら次に

 

世間から上がる声は

 

『あの病院の医者は胃カメラ下手すぎ』

 

『治療に対しても何も考えてくれない』

 

『以前のカルテも全然見てない』

 

ということでしょうか。

 

 

 

 

声が上がるまでならまだしも

 

医療事故までが出てきたら

 

まさに本末転倒です。

 

 

 

 

医師が

 

患者さんの目の前で

 

提供している医療というは

 

ほとんどアウトプットです。

 

 

 

 

当然ながら

 

自分にインプットされた

 

知識やスキル以外は

 

アウトプットできません。

 

 

 

 

患者さんとしては

 

『お医者さん達をできるだけ

 

働かせ過ぎないようにして欲しい』

 

とは言う一方で

 

『自分の主治医には

 

しっかりトレーニングを積んで欲しいし

 

一生懸命、自分の治療について

 

調べたり勉強したり考えててほしい』

 

と願うものなのです。

 

 

 

 

結局、人間なんて

 

みんなそんなもの。

 

 

 

 

だからこそ

 

この期待に対して

 

医師サイドがどこまで応えるか…。

 


 

 

個々の性格もあると思いますが

 

医師という使命感や責任感が

 

その判断をバグらせてしまうことが

 

往々にしてあります。

 

 

 

 

やっぱり医師は

 

真面目な性格な人も多いですから

 

期待の背負いやすさは

 

特にありそうです。

 

 

 

 

 

 

たしかに

 

これから始まるであろう裁判や

 

労働時間と自己研鑽の法的な線引きは

 

どうなるのか分かりません。

 

 

 

 

ただ

 

法的な意味合いは無くても

 

病院としては

 

表面的な時間の管理だけじゃなく

 

本人の普段の様子などからも

 

もっと早い段階で出来ることも

 

あったんじゃないかなぁ…。。。

 


 

と、勘ぐってしまうものの

 

本当に真面目な人ほど

 

自分の不調を職場とかでは

 

見せないようにするも知っているので

 

色々と考えれば考えるほど

 

ほんとうに切なくなります。

 

 

 

 

このような話は

 

医師だけの話だけではなく

 

多かれ少なかれ

 

どのような職場でもあると思います。

 

 

 

 

相手の期待に合わせすぎて

 

自分の健康や幸せなど

 

本当に大切なものが見えなくなるほど

 

視野が狭くならないように

 

注意は必要ですね。

 

 

 

 

最後になりましたが

 

若くして亡くなってしまった

 

高島先生のご冥福をお祈りします。