はい、どーも!井上です!

 

 

関西を中心に精神科医かつ産業医しています!

 

 

ラフな人生をめざしていきましょう(^^)

 

 

 

精神科・心療内科の外来では

 

『死にたいんです…』

 

と、訴える人とよく出会います。

 

 

 

 

あまり、この手の言葉に

 

馴染みのない人からすれば

 

ギョッとする内容かも知れませんね。

 

 

 

 

しかし、精神科の外来では

 

”死について語る”というのは

 

ある意味、珍しくない光景です。

 

 

 

 

だからこそ

 

精神科医療に関わる人間は

 

そのような雰囲気や空気感に

 

慣れてしまう側面もあるので

 

十分に注意しなければいけません。

 

 

 

 

また、患者さんにとっては

 

『死にたいんです…』

 

とは別の言葉を使って

 

気持ちを表現される人もおられます。

 

 

 

 

たとえば

 

『消えたいんです…』

 

とかですね。

 

 

 

 

大半の人からすれば

 

これは先程の『死にたいんです…』

 

と同じ意味だと感じるでしょう。

 

 

 

 

恥ずかしい話

 

私も精神科医になりたての時には

 

そのように思っていました。

 

 

 

 

しかし

 

精神科医療のなかでは

 

そこには大きな違いがあり

 

扱いも変わってくるのです。

 

 

 

 

そこで今回は

 

少しヘビーな話ではありますが

 

精神科の診察室のリアルな形として

 

『死にたいんです…』と『消えたいんです…』

 

の違いについてお話したいと思います。

 

 

 

 

 

 

まず

 

病院の外来で医師を目の前にして

 

『死にたいんです…』と

 

表現される時には、その捉え方に

 

十分に注意しなければいけません。

 

 

 

 

『死にたい』という側面だけで

 

捉えるのではなく

 

『死にたいんです…』の背景にある

 

強烈な生きたい気持ち

 

キャッチしなくてはいけないです。

 

 

 

 

『生きたいのに…

 

死にたいくらいに辛いんです』

 

と言うニュアンスの方が正しいです。

 

 

 

 

生きるか死ぬかは

 

0か100の問題ではなく

 

本人なかではギリギリのバランスで

 

両者がせめぎ合っている状態なのです。

 

 

 

 

そして、何よりも自分自身が

 

『リアルにこの世を生きている』

 

という実感を持ち合わせています。

 

 

 

 

これは、過去に楽しかった時間や

 

幸せを感じられた時間があるけれど

 

今は、どれだけ頑張っても

 

それを実現することができないから

 

死にたいと思ってしまうのです。

 

 

 

 

その一方で

 

『消えたいんです…』の背景には

 

『リアルなこの世を生きている実感』が

 

かなり乏しい状況が隠れています。

 

 

 

 

とくに今まで生きていても

 

幸せと感じられる時間などがなく

 

現実そのもの全てに絶望をしていて

 

ただただ無意味に、この場所に

 

存在しているだけの感覚なのです。

 

 

 

 

つまり、理由もなく

 

自分自身が存在していることに

 

とても疲れてしまっており

 

『この場所から、サッと消えたい』

 

のような気持ちになっています。

 

 

 

 

では、なぜ過去に

 

楽しかった時間や幸せを感じる時間が

 

存在しなかったのでしょうか。

 

 

 

 

もちろん

 

人それぞれ、事情があるので

 

全てではありませんが…

 

虐待やいじめなどを経験しているケース

 

けっして少なくありません。

 

 

 

 

幼少期の段階から

 

周りが想像できないような辛い経験で

 

完全に心が凍り付いてしまったまま

 

ただ時間だけが流れてしまい

 

大人になってしまっているのです。

 

 

 

 

もちろん、それでも

 

一生懸命に周りの環境に適応しようと

 

緊張感を持ちながらも

 

とても頑張って生きています。

 

 

 

 

しかし、どこかのタイミングで

 

その緊張の糸が切れてしまって

 

慢性的に心が満たされない空虚感を抱えて

 

もう、存在する必要性を感じなくなって

 

『もう、消えたいんです…』になるのです。

 

 

 

 

 

 

では、今日のおさらいです。

 

 

 

精神科の外来などでは

 

『死にたいんです…』

 

『消えたいんです…』

 

という言葉はよく耳にします。

 

 

 

 

しかし

 

その意味合いは大きく異なっているため

 

治療者としては

 

アプローチが変わってきます。

 

 

 

 

とくに

 

『消えたいんです…』と訴える人には

 

”今”の環境や状況だけに

 

注目をしていてはいけません。

 

 

 

 

過去の幼少期までさかのぼって

 

心が麻痺してしまうような

 

壮絶な体験がないのかを確認して

 

アプローチしていく必要があります。

 

 

 

 

そして

 

実体験の話を聞いていくうちに

 

本人がここまで生きるのにどれだけ大変で

 

どれだけ辛いことに耐えてきたかを

 

理解することもできるでしょう。

 

 

 

 

しかし、本人としては

 

ここまで頑張ってきたという

 

ポジティブな自分のことを

 

まだまだ受け入れられません。

 

 

 

 

もちろん

 

このような時の治療では

 

よくある薬物療法だけでは

 

解決することはありません。

 

 

 

 

周りのサポートを活かしながら

 

少しでも頑張って生きてきた

 

自分自身を受けいれることで

 

少しずつ緊張を和らげていくことが

 

治療の第一歩になるのです。

 

 

 

では、今日はこのへんで!

 

 

See You Next Time Bye-Bye!!

 

 

【今日の参考記事】

 

 

 

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