学習チューター 12日目 その2―難聴学級編 | 特別支援学級教員のブログ~人生、何事も勉強~

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3浪した大学受験、充実した大学時代を経て、小学校特別支援学級の先生になりました。
そんな日々に思ったことについて、たまに更新していきます。
コメントとか待ってます。

難聴学級には、「FM補聴システム」なるものが存在します。
と、講義でやったので本物を見るのを楽しみにしてたのですが、特別支援学級内で使われているというよりは、原級や集会等で使われていることが多いようです。
FM補聴システムとは、教師が首に掛けた発信器から、トランシーバーのように難聴児の補聴器へ直接音声が飛んでいくもの。
難聴学級がある小学校には、法律上必ず置いてあります。
難聴の子は、補聴器を着けていても、周りに雑音があると聞くことが困難です。そこで、FMのように雑音をシャットアウトするシステムが望ましいんです。

しかし、FMはあくまで補助具に過ぎず、周波数の高い子音が聞き取れないことは多い。
また、教師の声は聞こえても、周りの友だちには発信器は無いので、他の子の発言は加配教員が「誰々さんが当てられたよ」と教えてあげて、聞き取れない部分は要約筆記でカバーする必要も。

また、難聴児は周りから入ってくる言葉が著しく限定されてしまいます。
読話(相手の口の形から言ってることを読み取る)中心のため、自ら「聞こう!」と思った言葉でないと入って来ません。
健聴児であればどこかからふと聞こえてきた大人の会話から、難しい言葉や抽象語を学んだりということを知らぬ間にやっているそうですが、難聴児だとそうはいかないわけです。
その結果、決してIQが低い訳ではないのに、どうしても語彙不足に陥りがちとなり、学力低下の原因となります。
よって、隣で授業を聞きながら、難しい言葉に注釈を加えたり、あとで「あの説明で分かった?」とかさりげなく気にかけるのも、特支教員の大切な役割です。

あと、難聴学級内での個別指導もあります。その時は、あまりガツガツ教える、というよりはゆったりとした雰囲気の中で指導していきます。
普段の授業では、上手く聞き取れない中で懸命に先生や他の子の話を聞き取ろうとしているため、他の子より多くの疲労・ストレスがたまってしまいます。それを発散させるための、心理的ケアが必要になってくるのです。
チューター先の先生いわく、特支教員は「半分友だち、半分先生」というスタンスが必要らしいです。
その先生の子どもとの距離の置き方は絶妙で、「なるほどこういうことか~」とたいへん勉強になりました。
どんな障害の子でも、「障害」と名の付くからには多少の差はあれど生きづらさを感じているはずで、「半分友だち」って考え方はどんな障害の特別支援学級でも大切な考え方だな、って思いました。

あとは、年に二回ほど通常学級に行って、難聴児についてのアンケートをとったり、理解を深めるための話をしたり等の啓発活動もしているようです。

補聴器をつけている以外は、ホントに普通な子たち。会話も、しづらいだけで出来ないことはなく、他の子ともほとんど違和感なく話せています。
だからこそ、障害について理解してもらうのが難しい。
教師がそこの架け橋になることの重要性を実感しました。