いま、頭の中では
このミュージカルの曲が鳴り響いている。
 
 
本日
「スウィーニー・トッド 
フリート街の悪魔の理髪師」の
千穐楽を観劇。
 
実は私、
この舞台の日本初演も観ていて
何年前かとググってみたら、
何と43年も前のことだったポーン
 
1981年の初演時は
演出に早稲田小劇場の鈴木忠志、
主演は市川染五郎(現・松本白鸚)と鳳蘭。
脇を固めたのは
市原悦子に、沢田亜矢子、火野正平だった。
 
当時大人気だった小劇場の演出家が
商業演劇の演出を手掛けることや、
幸四郎への襲名を控えた染五郎が、
その名では最後のミュージカルになる
ことなどから
何かと話題になったことを記憶している。
 
余談だが、火野が鳳のマネージャーと
懇意になったのは、これが切っ掛けニヤリ
 
そんなことより…
スティーヴン・ソンドハイムの
奇想天外な楽曲や、
舞台演出に度肝を抜けれ
およそミュージカルの題材には
似つかわしくないような
ショッキングな内容に
見るたびに重い気持ちになりながらも
初日、中、楽と
3度も帝劇に通ったものだった。
 
染五郎の代表的なミュージカルと言えば
「ラ・マンチャの男」なのだが、
この「スウィーニー・トッド」も
私の中では双璧を成す
素晴らしい舞台だった。
 
だが、なぜか
襲名後の幸四郎で
再演されることはなかった。
 
そればかりか、宮本亞門の演出で
市村、大竹コンビで
再演されるまでは
26年もの歳月を要している。
 
その後は、この組み合わせで
再演を繰り返すこと
今回で5度目だ。
 
なのに、私はこれが初見。
 
初演はあんなに一生懸命に観たのに
なぜか今まで
このカンパニーでの再演には
食指が動かなかった。
 
だけど今回ばかりは違った。
 
舞台は生物。
いま観ないと、
一生後悔するかもと思いはじめたのだ。
 
要は、役者も観る側も
年をとったせい悲しい
 
ただし、1万5千円のチケット代は
今の自分には、かなり痛い。
 
パスしようかと何度も迷った。が、
清水の舞台から落ちたえーんつもりでと
自分を鼓舞しながら(どんだけ~!)
楽日のS席をゲットした泣き笑い
 
結果は、やっぱり観て正解だった。
 
どうしても初演時と比べてしまって
(若い頃の記憶って素晴らしいニコニコ
台詞の違いに違和感を抱く場面もあったが
難曲を歌いこなす俳優たちの技量は
相当に高く、感動した。
 
主役の市ちゃんは、
何をやっても市ちゃんだったが
75歳でのあの迫力には脱帽。
 
これが最後の「スウィーニー」
とのことだが、
あの元気なら、まだやれそう。
 
息子の優汰君をアンソニーに迎えての
親子共演なんて、なきにしもあらずだ。
 
また、大竹女史の怪優ぶりにも
改めて驚かされた。
 
演技のフラや
歌の音程が思いっ切り外れても
その役のキャラクターにしてしまう
ところなんかは
並みの役者には真似できない。
 
観客総立ちでの
スタンディングオベーション。
 
5回ほどにも及ぶカーテンコール。
 
劇場で得られる興奮は格別だ。
 
今日は、お酒にではなく
久々に、芝居に酔った日だった酔っ払い