今日は、租税法から所得税法について書きます。
今日になってようやく読み終わった、佐藤英明著「スタンダード所得税法(補正版)」弘文堂(2010年)について、その感想や、今後学習を進めるうえでの課題について書こうと思います。

読み終わったばかりで、いい気分なのです↑↑↑


さて、本書を購入したのは、友人の勧めからです。「プレップ租税法」の著者でもおられる佐藤教授の叙述が大変わかりやすく、入門書として適切だということでした。


本書は、大変メリハリある学習を、独習でも実現させてくれる点に最大の特徴があるのではないでしょうか。
項目が変わるたび、①かなり基本的なことを口語で分かりやすく叙述することから始まって、次に②それを敷衍し、さらには関連問題や発展問題、かなり理論的な「頭の体操」にも言及していく、というパターンで叙述されています。①と②の比率は、1:2ないし1:3というところでしょうか。相当丁寧に基本部分の導入が用意されています。
また、適切な設例や陥りがちな勘違いの指摘も豊富で、設例に即して考えてみて初めてよく理解できることや、まさにそう勘違いしてた…あぶなかった!ということが、多々ありました。それゆえ、独習で入門し、一定水準の理解を得ることができるよう、大変よく工夫された教科書です。


ただ、はしがきでも言及されていますが、文献引用がありません。筆者は、学生がその部分を読み飛ばすことが多いはずだといいます。しかし、ロースクール修了生ともなると、そんなことはなく、より詳しい学習のためにどんな文献のどこを読めばよいのか、気にしながら読んでいるはずです。その点はもの足りないと感じる方もおられるのではないでしょうか。もちろん、それは本書を経て次に読むべき体系書に委ねられた役割だというべきでしょうが。


ところで、ガイコツは学部時代に、片手間で法人税法の勉強をしてなんとか単位をとったという以外に、租税法に触れたことはありません(選択科目は倒産法です)。
そこで、新司法試験後、まずプレップ租税法を読んで、それから本書に入りました。一応助走をつけてから飛んだつもりだったわけです。318頁という、基本書としては少なめの分量にとどまっていることや、「スタンダード」と銘打っている点から、数年間基本六法を学んできた自分なら、サラサラあっという間に本書を読み終わってしまうのではないかとさえ、当初は思っていました。
ところが、一回通読するのに、他の基本書と同じくらい(もしかするとそれ以上に)時間がかかりました。すぐに理解できない、あるいは次々疑問がわいてくるために、なかなか前へ進めないことが多々あったわけです。

やはり、今まで出会ったことのない概念を理解し、それに慣れるまでが大変ですね。しかし、それに耐えて丁寧に読み進んだ後、前の部分を復習してみると、かなりスムーズに読めるようになったのを体感しました。


とりわけ反省すべきは、所得と収入という概念の関係をいまいち理解し切れないまま読み進めたために様々な場面で誤った疑問に悩まされたことです。所得と収入って同じことなんじゃないの、とどこかで思いこんだまま読み進めたのです。それが誤りであることは、本書中、最初の方の叙述を読めば明らかなわけです(「人が収入等の形で新たに得た経済的利得をすべて所得と考える」本書4頁、なお13頁参照)が、なにぶんガイコツにはピンと来なかった点です。
読み進めるうちになんとなく違いが分かるようになりましたが、ガイコツの誤解が完全に解けたのは、必要経費について学び始めてからでした(本書242頁)。


所得=新たに得た経済的「受益」≒収入、くらいに考えていると×
所得=収入等の形で新たに得た経済的「利得」≒得をした部分=収入から費用・元手を除いた残り等々◎
(この図式をもっと早い段階でいったん説明してほしかったっっっっ)


ただまぁ、所得は「得」に関わるけれど、収入は「損得」とは中立的である、そういった初歩的で常識的な日本語の感覚が欠けていたのが敗因といえば、それでおしまいなわけですけれども…涙。この点ははっきり意識しておきたかった、というのが反省です。重要な基本を曖昧にしたまま、よくぞ読みこなしたなとも、思います(ん……それって結構不安ですね)。


また、会計学の素養が租税法の勉強に役立つことを実感できました(所得=純資産増加説というくらいですから、上述の誤りにももっと早く気づけたかもしれませんね汗)。これで改めて会計の勉強をする際のモチベーションや理解力が増したのではないかと期待します。


さて、本書には、著者の教育的配慮から「本書では割愛する」とされた部分が多々ありましたので、最後にこれらを覚書としてまとめておきたいと思います。いつの日か、その項目を理解できるようになっているかもしれないのが、楽しみですね。タイムカプセルを埋める気分です。ちなみに、次は金子宏教授の「租税法」のうち所得税と法人税を読んでみたいと考えています。アマゾンで旧版(第14版、2009年)を買ったのです。




それでは!




【割愛された事項】
信託の定義規定(59頁)
一律源泉分離課税制度の対象とならない利子所得(67頁)
投資信託の法的仕組みや課税方法(73頁)
借入金で取得した株式の利益配当にかかる配当所得(24条2項但、73頁)
配当控除の計算方法(74頁)
配当所得課税に関する特別措置(77頁)
配当所得課税と法人税制の関係(78頁)
山林所得(97頁)
分離課税を定める特別措置の個別的内容(136頁)
所得税基本通達による「収入すべき時期」の詳細(226頁)
繰延資産や引当金の計算方法などの詳細(239頁)
必要経費となりうる費目の詳細(253頁)
棚卸資産の評価方法の詳細(255頁)
損益計算の計算順序(280頁)
保険料控除の細かな要件(307頁)
外国税額控除(国際課税、314頁)