朝鮮半島にルーツを持つ17万人の人々が、突然貨物列車に乗せられた。行き先も告げられず家畜同然に詰め込められた。
彼らはかつて(19世紀の終わりから20世紀の初め)
貧困、飢饉、日本による植民地化から逃れるため朝鮮半島からロシア沿海州に移住した人々だ。
荒地をたがやし種をまき、その地はやがて黄金の穂が実る沃野となっていったというのに。
強制移送。彼らを乗せた列車は、息も凍るシベリアの暗闇を走りぬけて行く。朝鮮人でありながらロシア風の名前を持つ人々は、定着を切望しながら悲哀に満ちた時を歩んできた。
「ママ、ぼくたち るろうのたみ になるの?」
国家というシステムから見捨てられた名もなき無数の叫び。
悲惨な暗闇の中で、少年ミーチカは問う。
「ぼくも人間なの?」と
果てしない宇宙の中の小さな地球を思った日
なんて
愛しいんだ
悲しいんだ
切なく思いがあふれる夜だった。
老いゆくレンのすべてが好きだと、強く強く思った日
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