ただひたすら粘るという美学 | アオタケ囲碁通信

ただひたすら粘るという美学

僕が高専在学時の青春時代を捧げたゲームの一つに、

「Cossacks」(コサックス)という戦争ゲームがあります。

 

先々月、SteamというPCゲーム配信サイトにて

2017年に最新版の3が配信を開始されているのを発見し、

あまりの懐かしさに、買って久々にプレイをしてみました。

 

このゲームは、槍兵騎兵銃兵などの戦闘ユニットの生成から

食料や兵器の生産などの内政、実際の戦闘までが

全プレイヤー同時にリアルタイムで進行する

RTS(リアルタイムストラテジー)という形式のゲームです。

 

特徴は、一度に戦うユニットの数が非常に多く、

今作では最大3万人以上の軍勢を同時に戦わせることが

可能なことが、大きな売りになっています。

 

 

 

2000年前後の頃から世界中で熱狂的なファンがおり、

まだCD-ROMのパッケージ形式販売のみでしたが、

当時だけで500万本以上売れたと言われています。

 

PCやネット回線速度などのオンライン対戦環境が

今よりも貧弱だったこともあり、ネット上の対戦は

これまでほとんどやったことがありませんでした。

 

しかし、今作に関しては、配信開始から随分経った今でも、

常時数百人が接続しており、コアファンに支えられて

運営が続いていることが伺えます。

 

 

このマルチプレイで痛感するのが、そういったコアファンの

熟練者以外の、自分のような初心者や弱いプレイヤーが

いかに粘って時間を稼ぐかが、勝敗を握る鍵だという点です。

 

実はこのゲーム、1試合は1時間前後かかるのですが、

熟練者はすでに1000−2000試合ほどを経験しており、

その強さは半端なものではありません。

 

しかし、1人が生み出す兵士の数やスピード自体は同じ為、

いかに強力なプレイヤーでも、2人3人が力を合わせて

同時に数カ国、別方向から攻めてきたら、勝てないのです。

 

だからこそ、例えば3カ国対3カ国で戦うことになったら、

自分より格上の相手を互角の戦いにして無力化するのが、

初心者のうちは、一番重要なミッションになります。

 

 

他にも、一部の相手を撃破して調子に乗り、

そのまま相手を全滅させてしまおうと敵陣に突っ込んだ場合、

 

・全軍をぶつけて攻めた結果、自分の拠点を守る

 最低限の兵士も全員居なくなってしまった

 

・相手の目の前の兵士を全滅させる計算だったのが、

 実は相手の拠点に第二、第三の軍勢が既に出来ており

 カウンターの総攻撃が自分の拠点を直撃して全滅

 

など、失敗した時のリスクがとても大きいのです。

 

 

なので、よほどのことがない限り、まずは相対する敵軍を

「守って抜かせない」ことが非常に重要になります。

 

 

守り続けることは、一見何も得をしていないように見えて

不安になるものですが、複数のプレイヤーが動く戦場では

同じ膠着状態が続くことは絶対にあり得ません。

 

 

実際、強いプレイヤーが1人混ざっている場合、

他のプレイヤー達が15分や30分膠着状態で粘りきれば、

その間に1on1の戦いで一カ国以上倒してくれることが多く、

そこから一気に均衡が崩れて勝機が訪れます。

 

 

大軍の戦争の描写が多い漫画「キングダム」でも、

相手の首を取る本命の軍がある場合、援護するために

守備に徹して粘る隊の様子が、色々な場面で描かれます。

 

 

地味な役回りですが、

軍の戦いを支えているのは、こういった人達です。

 

 

自分の粘りが自チームの勝利に繋がった瞬間は、

「守っていただけ」という事実からは想像できないほど、

勝利のアドレナリンが大量に吹き出してきます。

 

 

会社の仕事でも、直接売上を挙げてくる営業に比べ、

品質管理や事務の仕事は、コストダウンが主な仕事で、

経験上、華やかなイメージを感じたことはありません。

 

ですが、彼らが鉄壁の防御体制を固めていなければ、

会社は回らないし、会社の内部がガタガタの状態だと

役員や新卒採用人事に回すべきエース級の人材を

営業の現場から外すことが出来なくなります。

 

 

他の例で言えば、国を代表するスポーツ選手の中にも、

「ずっと控え選手」「常に2番手3番手」

という状態を長く続けている人達がいますが、

 

この人達が常にレギュラーを狙っているからこそ、

手を抜いたらいつでも椅子を奪うぞという緊張感があり、

代表や中心選手達の高いレベルを担保しているのです。

 

 

逆に、彼らが努力することを辞めてしまったら、

その背中を見て堕落する人がいるかもしれないし、

後ろから追う気配が無くなって安心しきる人が

現れてしまうかもしれません。

 

だから、今回挙げた戦争ゲームの事例のように

「ただひたすら、粘り続けるしかない」という状況でも、

その粘りが支えているものが、必ずあります。

 

 

特に個人で商売を始めると、細かい悩みやトラブルは

日常茶飯事ですが、諦めずに粘っていると、

意外なところから、チャンスや恩恵は降ってくるものです。

 

 

苦しい時ほど、粘って粘って、

攻め時が訪れたら、一気に攻めましょう。

焦ってはいけません。