◆Bisque 【ビスク】
エビ又はカニなどの甲殻類をソテし、穀をつぶして白ワイン、コニャック、クリームなどを加え
身を浮き実としたスープ。
【 フランス料理用語辞典 日仏料理協会編 】
今少し加筆するなら、
ロブスターやオマール、スカンピ、エクルヴィス、小エビ、カニなどの甲殻類が主な材料であり、
これらをソテ、もしくはローストして、白ワインやコニャック、香草、香味野菜やトマトピュレとともに
煮込んだものを漉し、米(ご飯)などの炊いた穀物でとろみを、クリームでコクとまろやかさを加えた
朱色から薄橙色の〝濃厚なポタージュのひとつ〟である。
ただし、17世紀中頃の初頭の〝ビスク〟は甲殻類ではなく、鴨など鳥肉類が主材であり、
甲殻類が用いられるようになるのは およそ1世紀後の18世紀中頃である。
Bisque【ビスク】の語源は、フランス西海岸からスペイン北岸に渡る〝ビスケー湾
(仏:Golfe de Gascogne, 西:Golfo de Vizcaya)〟に由来すると考えられているが
その一方で、甲殻類を〝二度調理する(bis cuites)〟に由来するとされ、
ビスケット〝biscuit【ビスキュイ】〟と語源を同じとする説もあり、このいずれかが有力。
南仏プロヴァンスの方言である〝bisco 【ビスコ】 怒る〟との説もあるが、
怒る要素が感じられず、一歩遠いのではなかろうかと考える。
さて、明日は、ポタージュの解説の流れで、そのうちの一品〝ビスク〟を
鋏脚の折れたガザミ(ワタリガニ)を使用して仕立てます。
ビスクはその過程で普段その身をボイルしたものを好んで食されるエビ、カニであっても
殻ごと火を通し、香りを立てた後、砕きます。
正品では値が高く潰すに惜しさを感じる甲殻類も、こうして安くで手に入れば遠慮なく
破砕することができましょうか。
ただし、鋏が折れているなどの規格外品であっても、必ず生きているものを
利用することは、香りを重要視するポタージュにおいてもまた鉄則です。