日本人の品位と寛容の心 | Ta助の厨房

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真の「食」を求める旅録

◆震災直後から、被災地で垣間見えた、共助精神、秩序、冷静な判断力に

  諸外国から感嘆の声が次々に上がり、今なお続いている。
  ウォール・ストリート・ジャーナル(2011.3.18)は国内、企業ニュースの中で
  ソニー会長 ハワード・ストリンガー氏が被災地にみた、
  日本人の「不屈の精神」をコラムで伝えている。


日本の”ネバー・ギブアップ”精神=ソニー会長

ハワード・ストリンガー(ソニー会長兼最高経営責任者)

英語で「ネバー・ギブアップ(never give up)」を意味するこの言葉は、特に極限の状態に置かれた時に当てはまる。マグニチュード9.0の地震と大津波、それに続く原発危機という相次ぐ困難に見舞われた日本で「不屈の精神」は、いまよく聞かれるフレーズだ。そこには粘り強さ、忍耐力、希望といった思いが込められている。

 日本で「不屈の精神」に負けず劣らず重要なのは、共通の目的意識だ。社会は隅々まで強いきずなで結ばれており、自らを守るだけでなく、助け合おうとする強い姿勢がある。海外のメディアは、被災者が救援物資の食べ物や水、ガソリンを受け取るために、落ち着いて忍耐強く列にならぶ姿に驚きの声を上げた。しかし、私にとっては、物資が尽きた時にも、彼らが暴動どころか文句も言わないとしても驚きはない。


(中略)


 今回の危機の前にも、日本人は経済の低迷と景気後退に耐えてきた。世界第2位だった経済規模も3位になった。一部には、繁栄につきものな無関心のせいで若者が目的意識を失っていると指摘する向きもある。

 だがここ数日、目の当たりにしたのは無関心とは全くちがうものだった。それ故、日本人が持ち前の気骨と断固とした心持ちでこの試練と痛ましい犠牲から以前よりも力強く立ち上がるとわたしは確信している。新たな目的意識とともに。日本の人々はわれわれの支援を必要としているが、われわれも彼らから学ぶべきことは多い。

 どこにいようと誰でもいつか試練に立ち向かわなくてはならない時がくる。その時には、ここ1週間の日本人のように行動できると思いたい。品位と寛容の心とともに「不屈の精神」によって。


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しかし、その一方で、原発から20~30㎞の屋内退避圏から町ごと疎開するなど
原発を巡る混乱の様子、放射線への不安や風評被害も伝えられるようになてきている。

また、国内でもやはり少なからずこの被害が明らかになりはじめてきた。

窃盗続発、通報250件

他都県応援、パトロール強化―真偽不明のうわさも・宮城

時事通信 3月20日(日)2時33分配信

 東日本大震災で被害を受けた宮城県で、被災店舗の商品を狙う窃盗が続発し、地震から1週間で約250件の通報があったことが19日、捜査関係者への取材で分かった。県警は同日から、警視庁や埼玉県警などの応援を加え、約100人態勢でパトロールを強化する。

 津波の被害を受けた県内のある市街地。アーケード通りには昔ながらの個人商店が並ぶ。ガラスドアが壊れた服飾店の前で、経営者の男性(41)が立ち尽くしていた。「宝石やブランド服が1200万円以上、レジの金も全部取られた」と憤る。店内に散乱しているはずの商品が完全になくなっていた。

 別の通りの商店の60代男性店主は、近くのスーパーで、女性が食品を持ち去るのを目撃した。「空腹に耐えかねたのか」と最初は自身を納得させた。しかし、周りで楽器や陶器も盗まれたと聞くにつれ、「食品から始まり、盗みに抵抗がなくなっているのでは」と危惧する。

 被災した車のガソリンや車内の物品が狙われるケースも報告されているという。同県南三陸町の佐藤仁町長は「夜は明かりも何もない中なので、対策は難しい」と頭を抱える。

 捜査関係者によると、宮城県警が把握している窃盗被害は現金約580万円、物品490万円相当。震災に乗じ増えているという。県警は応援を含め38台のパトカーを確保し、24時間態勢で警戒に当たる。
 ある市では「路地で夜、刺された人がいる」「集団で強盗に来ている」といった真偽不明の話も出回っている。県警は「承知していない」と否定。不安感から広まったうわさとみられ、パトロール強化には防犯に加え、住民を安心させる効果も期待されている。

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被災地のパトロールにあたっている、ある地元消防団員の方からの情報では、
震災後、全く見たことのない人間が徘徊している様子をみかけたという。

これが真実であるなら、まさに火事場泥棒のために現地へ入る人間がいることになる。
震災から10日を数え、被災地の方々の不満、疲労、ストレスはまさに極限状態であろう。
実際に被災された方に、部外者が自制を求めるのはお門違いと言われるかもしれない。
ただし、他所から被災地に窃盗に入る輩に言えることはあろう。

被災地では避難所から離れ、住み慣れた地へとようやく戻った方も大勢いよう。
そこで目にする光景は、果たして生活再建できるのか、途方に暮れる有様でもある。
先祖から受け続いてきたその地から、悩んだ末に離れざるを得なかった方もみえる。
そんな大切なものを沢山失った方々から、さらに何かを奪おうと考える浅ましさは実に醜い。

ハワード・ストリンガーソニー会長がみた、日本人の「品位と寛容の心」そして「不屈の精神」。
被災地から離れた地に居る同じ日本人が私利私欲のために穢すことがあってはならない。