観光と言えば京都でしょうし、大阪でも県外の人から見れば、せいぜい大阪城・難波・通天閣程度しか思い浮かばないでしょう。
しかし、最近は少し変わってきています。大阪に来る観光客がかなり増えているのではないでしょうか。特にミナミから通天閣、天王寺、上本町あたりまでの観光客が多い気がします。そんな中で面白いスポットを一つ紹介しておこうと思います。
生国魂神社(いくたま神社:生玉神社)
大阪の中心よりやや南、天王寺より少し北。
ミナミの千日前から東にテクテクと歩いて行くと市内でも最大のラブホテル街があります。
夜に歩くと、まぁ煌びやかな事(^^)。その様子を見ると大阪の電気をここで全部使ってるのではないだろうかと思ってしまいそうな場所です。
漢字を見ているとなにやら生臭くて右翼っぽい恐そうな名前ですね。
ここは「いくたまさん」と呼ばれている神社なのですが、初めて訪れる観光客は、なんでこんなところに神社があるのと不思議に思われると思います。
その理由はわかりません。
生国魂神社は続日本紀(しょくにほんぎ)や更に古い文献にも載っているほどの神社で、大阪では最も古い神社だと言われています。
もともと、現在の大阪城天守閣付近にあったそうですが、例のよって秀吉が大阪城築城に伴って神社を移転させて今の場所に落ち着いたと言うことだそうです。
大阪空襲などで何度も何度も焼失したので、そのせいか現在の社殿は鉄筋コンクリート造りになってしまいました。
この生国魂神社は、江戸時代には相当に賑わっていた場所だったみたいです。
大阪の落語の創始者と言われている米澤彦八さんの碑も建っており、毎年9月の第一土曜日、日曜日には「彦八祭り」が催され、有名な落語家の人々が沢山来て噺をしたり屋台で物を売ったり、身近で噺家さんに声をかけられる場所でもあり結構面白い祭りです。
(開催時期:2013年8月31日(土) - 2013年9月1日(日))
(詳しくは画像をクリック)
江戸時代には、上方で有名な近松門左衛門や井原西鶴といった人も、この神社とは縁が深かったみたいですね。
二人のお墓も、この神社の近くにあります。
確か井原西鶴が有名になったのもこの生玉さんの催しだったと思います。
生玉さんに周りにラブホが多いのはどうしてでしょうか、私の想像ですが・・・、井原西鶴と言えば「好色一代男」など好色物の本もだしており、近松門左衛門の心中ものの書物の中にも色茶屋という名前が出てきます。江戸時代の大阪では大々的な色町としては新町遊郭や道頓堀の北側(宗右衛門町)が色町だったわけですが、神社仏閣の周りにも「泊茶屋」と呼ばれるお茶屋さんが沢山あったそうです。
そう、これがまさしく今のラブホのことです。
江戸時代に賑わった生玉神社。上方落語の中心地でもあったそうなので、当然賑わっていたでしょう。そこにたくさんの出会茶屋(泊茶屋や色茶屋など)があったとしても不思議ではありません。
それが今の谷九ラブホテル街になったのではないでしょうか。なんて想像しています。
さて生国魂神社。
7月の12日に「いくたま夏祭り」が行われました。
参道には出店が出され、道狭しと沢山の見物客が参りました。
場所が場所でもあり、地元の見物客が多いお祭りだと思いますが、その辺の祭りよりも面白いので観光客の人にもっとこの祭りを知ってほしいなと思います。
12日夜には「枕太鼓」などが催されました。
おもしろいですよ。四角い神輿の上に赤い烏帽子を被った6人の太鼓たたきが座り、それを沢山の神輿担ぎが持ち上げます。
そして、勢いよく境内を担ぎ走るのですが、観客の方向にワーっと担ぎ寄ったかと思うと、突然神輿を横向けに倒してクモの子を散らすように神輿担ぎが四方八方に散らばってしまいます。
上に残った太鼓打ち6人はどうなったのでしょうか。
よく見れば、なぜかそのままの姿勢で直角になりながら物も言わずに固まっています。
暫くしてまた神輿を担ぎあげて、今度は反対方向に勢いよく突進して、また神輿を倒します。しかしなぜか上の6人は放り出されずに直角になって固まっています。
人形ではなくて生身の人間が、どんな姿勢になっても「ポン」と太鼓をたたきます。
このほかにも8月11,12日には大阪薪能が催されます。
今年は
1日目には俊寛(観世流)、仏師(和泉流)、雪(金剛流)、一角仙人(観世流)、
2日目には大仏供養(観世流)、鬼瓦(大蔵流)、吉野天人(観世流)、鉄輪(観世流)が演能されるそうです。
(17:30~20:30(開場は16:30)、当日券3500円、学生2000円)
この辺りは観光客には面白い場所なのですが、一度来てみてください。
通天閣あたりから天王寺公園を越えて生玉山に来ても良し。
近くには真田山公園もあります。真田山公園の殆どは戦没者のお墓になっているのですが、大阪の陣で徳川家康を困らせた真田幸村の像などもあります。
大阪には観光スポットが少ない気がしますが、催し物に合わせて来ると結構楽しめる場所が沢山あります。
但し催し物がある日でないと、平時はただの神社ですよ。
ドンキホーテで買い物をするような感覚で大阪の隠れスポットを捜し歩くのも面白いかもしれませんね。